シェットランドシープドッグの平均寿命は?かかりやすい病気や健康管理コツを知っておこう
シェルティの愛称で親しまれているイギリス最北端にあるシェットランド諸島原産の牧羊犬がシェットランドシープドッグです。別名トゥーニードッグ(農場の犬)とも呼ばれる小型犬のシェルティは、明るく、活発、賢い犬種で、その見た目の美しさや訓練性の高さから日本でも家庭犬として人気があります。
今回は、そんなシェルティの寿命、かかりやすい病気、健康管理方法について解説します。
シェットランドシープドッグの寿命は?
シェットランドシープドッグの寿命を知るためには、原産国の環境を理解しておくことが大切です。また、シェットランドシープドッグは、さまざまな犬種が掛け合わされて誕生した犬種のため、遺伝疾患などを持って生まれることも多いのです。
まずは知っておきたいシェットランドシープドッグのこと
シェットランドシープドッグは、スコットランドの北東海岸沖にある荒涼としたシェットランド諸島で誕生した犬種です。コリーによく似た外観から小型のコリーと呼ばれることもありますが、ラフコリーの子孫ではありません。もともとこの島にいた小型犬とスコットランド原産のコリータイプの牧畜犬やキング・チャールズ・スパニエルを基礎犬として、アイスランドのシープドッグ、グリーンランドのヤッキドッグなどのスピッツ系の犬種などさまざまな犬種と育種されたと言われていますが、詳しいことはわかっていません。
原産地であるシェットランド諸島は、平均気温が10度以下という寒冷地で強い風が吹く自然環境の厳しい小さな島々から成り立っています。上質な羊毛が産出されることでも知られているシェットランド諸島は、その厳しい自然環境から動物や植物は小型のものが多く、シェットランドシープドッグも牧畜犬を小型化し誕生したとされています。
暑さにはとても弱い
シェットランドシープドッグの平均寿命は12〜14歳と言われていますが、遺伝疾患がなければ比較的健康な犬種のため、20歳前後まで長生きをする子もいます。
また、自然環境の厳しい地で誕生し育ったため、元来とても健康な犬種ですが、ダブルコートの豊富な毛量が特徴のため、日本の高温多湿の気候が苦手です。シェットランドシープドッグを健康で長生きに育てるためには、気温や湿度の管理がとても大切となります。
シェットランドシープドッグがかかりやすい病気
基本的には健康なシェットランドシープドッグですが、犬種ブームによって無理な交配や無謀な交配が繰り返されたことから、遺伝疾患を発症する子が多くいることも事実です。特に、より小型化しようとしたり特殊な色を作出する傾向にあるため、遺伝疾患を発症する原因ともなっているのです。ここでは、シェットランドシープドッグが好発犬種としてあげられている病気をご紹介します。
免疫介在性の疾患
シェットランドシープドッグは、自己免疫が過剰に反応して発症する免疫介在性の疾患に注意が必要です。
シェルティー皮膚症候群(家族性皮膚筋炎)
皮膚筋炎は遺伝によって発症します。自己免疫によって皮膚と筋肉がともに攻撃され破壊されるという病気で、鼻や目の周り、尻尾の先端などに多く発症します。
免疫介在性多発性関節炎(関節リウマチ)
自分の免疫異常によって起こる関節炎です。関節の痛みを伴いながら進行していき、最悪の場合は関節が溶けてしまいます。これも原因不明の病気で、完治が難しいとされています。
水疱性皮膚エリテマトーデス
体の柔らかい部位をはじめ、全身の皮膚に水疱や潰瘍ができ発熱やむくみなどのさまざまな症状が出る病気ですが、発症の原因は解明されていないため、完治が難しいとされています。
マール遺伝子による疾患
シェットランドシープドッグで人気となっている被毛カラーの一つが、ブルーマールと呼ばれる色です。ブルーがかった毛色や白っぽい毛色、ブルーが入った目の色はこのマール遺伝子によって作出されます。マール遺伝子とは、メラニン色素の異常を引き起こす遺伝子で、マール遺伝子をもって生まれた個体は、難聴、視覚障害、虚弱体質などさまざまな異常を発症する確率が高まります。
コリーアイ(CEA)
眼球や網膜に栄養を送る役割をはたしている脈絡膜の発育不全や網膜の異常などが起こる遺伝疾患です。視覚障害や失明などの危険性がある眼病ですが、進行には個体差があります。
胆嚢粘液嚢腫
胆嚢の中に胆泥が蓄積し胆嚢破裂、胆嚢炎、胆管炎、膵炎、腸炎、肝炎などを引き起こす可能性がある病気です。シェットランドシープドッグは遺伝によって発症することが多いとされています。
イベルメクチン中毒
シェットランドシープドッグは、フィラリア予防薬として一般的に使われている薬・イベルメクチンで中毒を起こす可能性があります。特に、近親交配を繰り返してきた場合、遺伝疾患として現れる確率が高いとされています。
シェットランドシープドッグの健康管理のコツ
元来、とても健康なはずのシェットランドシープドッグですが、人間の勝手な都合によって遺伝疾患を抱えて生まれてくる子が多くいます。遺伝疾患は早期発見、早期治療が基本となりますが、まずはシェットランドシープドッグの性質に合わせた生活環境を整えて健康的な毎日を送れるようにしてあげることが大切です。
シェットランドシープドッグの適正体重とごはんの量
シェットランドシープドッグは、毛量が多いため見た目では痩せているのか太っているのか気が付きにくいですが、運動不足になると太りやすい体質のため、しっかりとした体重管理を行うことが大切です。
適正体重
さまざまな犬種から作出されたシェットランドシープドッグは個体差がある犬種です。そのため、適正体重にも幅がありますが、AKCでは約6.8〜11kgをスタンダードと定めています。
適正なごはんの量で肥満にさせない体作りを
牧畜犬として活躍してきたシェットランドシープドッグは、他の小型犬種より多くの運動量を必要とする犬種です。運動不足となってしまうと、肥満になりやすい体質であることからごはんの量はしっかりと管理することが重要です。
子犬期には、カロリーの高い子犬用のフードまたは手作り食で体の基礎を作り、8ヶ月齢~1歳になる頃に成犬用の食事に切り替えます。健康体であれば、高カロリー低脂肪のドッグフードや手作り食で健康をキープできますが、皮膚疾患の発症が多い犬種でもあることから食物アレルギーには十分に注意しましょう。
運動量が必要なシェットランドシープドッグの散歩時間はたっぷりと
牧畜犬として、農場を走り回ることを使役としていたシェットランドシープドッグにとって、走ることができない生活は大きなストレスとなります。小型犬だからといって、リードで短時間のお散歩をする毎日ではなく、ドッグランなどの広い場所で思いっきり走らせてあげることがとても大切です。
毎日の散歩時間の目安は、朝晩30〜40分程度ですが、週に1~2回は広いドッグランなどで思いっきり走らせてあげることが必要です。また、賢く敏捷で何かを追いかけることが好きなシェットランドシープドッグは、アジリティ、ボールやフリスビーなどのドッグスポーツにも向いています。
たっぷりの運動と刺激が長生きの秘訣
健康に気をつけて暮らしていけば、長生きも夢ではないシェットランドシープドッグ。ある研究では、シェットランドシープドッグの知能の高さは、1つのコマンドを理解するのに、5回未満の繰り返しで学習できるとされています。そんな抜群の知能の高さだけではなく運動能力にも優れているシェットランドシープドッグにとって刺激のない生活は、不健康そのものだと言えます。シェットランドシープドッグが長生きできる環境づくりは、飼い主にとっては大変なことかもしれません。しかし、環境がシェットランドシープドッグの健康に大きく影響することは確か。たっぷりの運動に加えて、精神的な刺激も受けられるような環境を用意して、1日でも長生きできるようにしてあげてくださいね。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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