ポメラニアンはバリエーション豊富な毛色やカットスタイルがあり、国内外問わず長年愛玩犬として人気を博している犬種です。見た目もとても愛らしく、イギリス王族もポメラニアンを溺愛していたんだとか。今回はそんな大人気のポメラニアンの基本情報から歴史まで詳しく解説していきたいと思います。

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ポメラニアンの基本情報
まずは基本的なポメラニアンのプロフィールをみていきましょう!
原産国 |
ドイツ |
サイズ |
超小型犬 |
体高 |
約18cm~20cm |
体重 |
約1.8kg~3.5kg |
被毛タイプ |
ダブルコート/長毛種 |
平均寿命 |
12歳~16歳 |
ポメラニアンの体の大きさ
ポメラニアンは生後7ヶ月〜1歳を迎える頃には成長がほぼ止まることが多いため、理想の大きさの目安は、1歳の誕生日を迎えた頃のサイズと言われています。
一般的なポメラニアンの標準サイズは上記の通りですが、ポメラニアンの中には4~10kg以上の大きな体に育つ子もいます。これは、親のサイズが関わってきます。例えば、親が体の大きいサイズだった場合は、遺伝により標準よりも大きなサイズに成長することがあります。また、親が小柄でも、祖父母やそれ以前の代に大きなポメラニアンが関わっている場合は、大きいポメラニアンに育つ可能性があるそうです。
ポメラニアンの顔立ち
ポメラニアンの顔立ちは、先祖のサモエドやジャーマンスピッツの要素を濃く引き継いだ「きつね顔」と交配を重ねて生まれた「たぬき顔」があります。
きつね顔のポメラニアンはマズルが長く凛々しい顔立ちで、比較的体格が大きく、たぬき顔はマズルが短く丸い顔をしていて、小さい体格をしています。
ポメラニアンの被毛の特徴
ポメラニアンの毛並みは、触り心地のよいダブルコートが特徴です。【ダブルコート】とは硬くて太い「オーバーコート」と、細くて綿毛のような「アンダーコート」の二重構造になっているタイプのことを言います。オーバーコートには『皮膚を保護する役割』があり、アンダーコートは『保湿や保温などの体温調整』の役割があります。寒さから身を守り体温を保てるように短く密集して生えているのが特徴ですね。
顔の周りや胸元の毛は長く、しっぽの飾り毛は扇のように広がっています。パッチリとした丸い目、背中に向けて巻いてる尻尾と、独特の豪華な毛吹きが魅力的ですよね。
また、ポメラニアンは被毛のカラーバリエーションが豊富でJKC(一般社会法人ジャパンケネルクラブ)の公認色が13種類、それ以外を含めると20種類以上もあると言われています。
ポメラニアンの基本的な性格
ポメラニアンは、パワフルで好奇心旺盛、社交性が高くフレンドリーな子が多いです。飼い主さんに対して忠誠心が高く、甘え上手です。
また、頭の回転が早く物覚えも良い犬種で一見しつけがしやすそうな犬種ですが、「吠え易い・噛み易い」という特徴があるため、個体差はありますがしつけが不十分な子は、手が付けられないほど凶暴になったりするので注意が必要です。
もともと牧羊犬の祖先をもつポメラニアンは注意深い一面があり、自分より大きな者にでも物怖じせずに立ち向かって行こうとします。室内の番犬としてはとても優秀ですが、要求吠えが多い犬種でもあるのでやはりしつけが重要になります。
ポメラニアンの歴史について
ポメラニアンの祖先は元々アイスランドなどでソリを引いていたスピッツ系大型犬だと言われています。ポメラニアンはバルト海に面しているポーランド北西部からドイツ北東部にまたがる「ポメラニア地方」から由来していると言われています。ポーランドにまたがっているのですが、原産はドイツとされています。この周辺では古くからスピッツが飼育されてきました。
ポメラニアンは元はスピッツ系の犬のサモエドが祖先だと言われていています。
ポメラニア地方で発展したサモエドの子孫をまとめて【ジャーマン・スピッツ】と称していますが、このジャーマン・スピッツはサイズの大きさで部類分けされていて、公式(国際畜犬連盟(FCI))には5種類、一般的には6種類(非公認1種)のサイズがあります。
名称 ※上から大きい順 |
体高 |
---|---|
ジャーマン・ウルフ・スピッツ |
42cm~45cm |
ジャーマン・グローサー・スピッツ |
40cm~41cm |
ジャーマン・ミッテル・スピッツ |
30cm~38cm |
ジャーマン・クライン・スピッツ |
23cm~29cm |
ジャーマン・トイ・スピッツ |
21cm前後 ※国際畜犬連盟(FCI)非公認 |
ジャーマン・ツヴェルク・スピッツ |
20cm前後 |
ジャーマン・スピッツとポメラニアンって何か関係あるの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実はこの一番小さい体を持つ『ジャーマン・ツヴェルク・スピッツ』が1つの犬種として独立し、品種改良が進み時を経て「ポメラニアン」となったんだそうです。
ポメラニアンの流行のきっかけはあの人だった
ポメラニアンは1800年代にドイツで最初に作られました。先ほどご説明したポメラニアンの元となる「ジャーマン・スピッツ」が小型化していったのはイギリスでのことでした。
18世紀にシャーロット女王と共に宮廷犬として持ち込まれたのがポメラニアンの祖先となるスピッツ犬です。その頃は9kg〜14kg程のホワイト・スピッツでした。
ポメラニアンは1870年代、イギリスのケネルクラブで公認されていましたが、当時の知名度はそこまでありませんでした。ポメラニアンの火付け役となった理由は、愛犬家で知られるビクトリア女王が1888年にイタリアを旅行した際に手に入れた「ウィンザー・マルコ」という名のポメラニアンを本国に連れ帰ったことにより、イギリスでポメラニアンブームが巻き起こります。
ポメラニアンが犬種として確立したのはビクトリア女王の功績によるもので、ビクトリア女王は欧州各地から毛色の異なるポメラニアンを導入し、自身の犬舎で品種改良や被毛カラーのバリエーションを増やすなどポメラニアンの発展に貢献したそうです。
その後さらに小型化が進み、現在のポメラニアンサイズの大きさになりました。イギリスで小型化したジャーマン・スピッツはポメラニアンとなり、1970年ごろにドイツに逆輸入され、1974年頃、ジャーマンスピッツの1種としてドイツのケネルクラブに認められました。
小型化によって人気を得たポメラニアンはその後アメリカにも渡り、1898年にアメリカのアメリカンケネルクラブに最初のポメラニアンが登録され、1900年には犬種として公認されています。1900年までポメラニアンはどのグループに属するか公式に分類されていなかったのですが、そり犬など使役犬として働くジャーマン・スピッツを祖先とすることや、繊細な性格から番犬の役割を果たすこともあり、改めて【5G:原始的な犬・スピッツ】に分類されました。
ポメラニアンが日本に来たのは
ポメラニアンが最初に日本にやってきたのは1961年(昭和36年)頃と言われていますが、実際には大正時代からポメラニアンの飼育記録があるんだそうです。
ポメラニアンの人気が出始めたのは1970年代以降となります。
マルチーズやヨークシャー・テリア と並んで「座敷犬御三家」として一躍大ブーム犬となりました。当時の「犬」というのは今のように室内飼いではなく、外で飼うのが一般的でした。そんな中、ポメラニアンを含む座敷犬はお散歩以外は家にいることから「座敷犬御三家」と呼ばれるようになりました。
この頃、日本ではマンションブームで住宅事情が変化し、屋外で飼う番犬から室内で飼う座敷犬に人の需要が変わっていったんですね。
ポメラニアンは女王からも溺愛される犬種だった
今回はポメラニアンの基本的な情報から歴史などについて深堀していきました。
なんとあのビクトリア女王もポメラニアンの改良に貢献していたなんて驚きですよね。ポメラニアンは現在でも品種改良が進められていて手のひらサイズくらいの超極小サイズの「マイクロティーカップポメラニアン」なども作出されています。とっても可愛いのですが、身体が小さい分怪我や病気のリスクも高まるのも事実です。ポメラニアン自体も骨が細く怪我をしやすい犬種ですので、もしもの時のために、保険などに加入しておくのもオススメですよ。
ポメラニアンは愛嬌たっぷりで本当に可愛いですよね。この記事を読んで歴史と特徴をよく理解して、更にポメラニアン愛が深まるといいなと思います。
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