毛のない犬の最大の特徴は、何といっても被毛がほとんどないことです。生えていたとしても頭部や尻尾、足先などの一部分にしかありません。そのため、抜け毛やフケが少なく、特にアレルギーを持つ人に向いていると言われています。 

また、古くから愛玩犬として親しまれていただけではなく、毛がない犬は体温が高いため、湯たんぽや温湿布のような役割を果たしていたと言われています。その効果から、古代エジプト人は毛のない犬に特別な力があると信じていました。 

毛がほとんど生えていないヘアレスドッグは現在世界中で7種類と言われています。全身にほとんど毛がない犬種の他に、身体の一部分だけに毛が生えている犬種もいます。毛のない犬種は以下の７種類です。

名前を見ると分かるように、毛のない犬の主流は中南米原産の犬種となっているのが特徴です。 なお、紀元元年前後にはすでに存在していたと言われるエジプシャン・ヘアレス・ドッグというエジプト原産のヘアレスドッグがいましたが、現在生存状況が分からず、絶滅したとされています。

日本ではあまり見かけることがないヘアレスドッグですが、どのような特徴があるのでしょうか。室内飼育にも向いていると言われる毛のない犬種の特徴をご紹介します。

チャイニーズ・クレステッド・ドッグには頭、尻尾の先、足の周り以外には毛のないへアレスタイプと、全身が細く長い毛に覆われたパウダーパフタイプの2種類がいます。体重は約5～6kg、体高は約23～33cmと小さく、性格は活動的で明るく、優雅な犬です。この犬の原産地には諸説あり、はっきりとしたことはわかっていません。またチワワの祖先犬と言われることもあります。

原産国には諸説がありますが、ペルー原産とされているヘアレスドッグです。かつては食用でしたが、その後貴族の愛玩犬となり、さらに改良が行われ、全身の色が黒色のこの犬種（陽射しに強いことも特徴）と、薄い茶色の「ペルービアン・インカ・オーキッド」の２つの犬種に分かれました。

外見の特徴は目の上とヒゲ以外の毛がなく、脚が長くスリムな体型で、長めの立ち耳とサーベル形の垂れ尾を持ちます。大型・中型・小型と３サイズに分かれ、体重は約4～25㎏、体高は約25～60cmほど。愛情深く、知性的で用心深い性格です。

ペルー原産のヘアレス犬種で、ペルービアン・ヘアレス・ドッグの兄弟種です。こちらの方が肌の色が薄く日焼けに弱いため、ムーンフラワー・ドッグという別名を持っています。兄弟種のため容姿の特徴は似ています。３つのサイズに分けられ、体重は約4～25kg、体高は約25～65cmほどで、元気があり愛情深く、飼いやすい性格ですが、他人には警戒心は強い面を見せます。

メキシコ原産のメキシカン・ヘアレス・ドッグの特徴は、ほぼ完全に被毛がなく、スムースで柔らかい皮膚を持つことです。身体は幅広い胸を持ち、四肢と尾は長く、サイズはミニチュアからスタンダードまで3つのサイズがあり、体重は約4～14㎏、体高は約25～60cmほどです。性格は明るく、落ち着いていて、お利口で用心深いです。決して攻撃的ではないので番犬としてもペットとしても向いています。ディズニー映画「リメンバー・ミー」に出てくるダンテという犬はショロイツクインツレです。

先祖はペルービアン・ヘアレス・ドッグで、これに現地ボリビアの犬との掛け合わせにより作り出された犬種です。がっしりとしたポッタリータイプと、背が高く細身のサイトハウンドタイプがおり、いずれも首と足が長くすらっとした体型で、立ち耳とサーベル形の垂れ尾を持ちます。

頭部にはたてがみが生えていますが、その他は無毛。肌はしっとりしていて滑らか。体重はポッタリータイプが約7～14㎏、サイトハウンドタイプが約8～14㎏、体高はポッタリータイプが約36～43cm、サイトハウンドタイプが約43～51cm。性格は警戒心が強いが、穏やかで攻撃的でなく、遊ぶ事が大好き。原産国ではペットとして人気を博し、ボリビアの国犬にも指定されています。

アルゼンチンのブエノスアイレス原産で、15世紀に誕生した犬種です。希少な種類でアルゼンチン国内でもなかなか見ることができません。また絶滅も危惧されています。ペルービアン・ヘアレス・ドッグ、及びペルービアン・インカ・オーキッドがこの犬種の基礎犬となっているので非常に似た容姿をしています。

体高は約25～40cm程度。性格は飼い主や家族に対しては深い愛情を示します。ほかの人や犬に対しては警戒心が強く、神経質な面もありますが攻撃的ではないので、家庭犬として飼うこともできます。

アメリカが原産の新しい犬種で、アメリカン・ラット・テリアのヘアレス版です。原産国以外ではほとんど飼育されていません。特徴はヘアレス犬種であるため、やはり体には全く毛が生えていません。肌はなめらかであたたかく、地色が薄桃色でブラックの斑があります。

マズルは短く、目は大きく、耳は長めの立ち耳。体は引き締まっていて脚が長く、尾はサーベル形の垂れ尾です。サイズはトイとスタンダートに分かれ、体重は約2.5～7kg、体高は約18～41cmですが、個体差が大きいです。テリア特有の好奇心に満ちあふれ、人懐こくペットとしても向いていますが、小動物には敏感に反応します。

日本ではあまり見かけることのないヘアレスドッグですが、もしも一緒に暮らすとなったらどのような点に注意する必要があるのでしょうか？

犬は寒さに強いというイメージを持っている人は多いと思いますが、たとえダブルコートの犬種であっても小型犬は寒さが苦手な子も多く、寒さ対策が必要です。そのため、毛のないヘアレスドッグにはさらにしっかりとした防寒対策が必須となります。

外出時は必要に応じて洋服を着せる、エアコンを使って快適な温度を保つ、ケージの中には自分で調整できるよう毛布を入れてあげるなどの対策をしましょう。また、皮膚のケアとして犬用のクリームを塗って乾燥対策もしましょう。

強い紫外線を浴び続けることで皮膚や目のトラブルを起こしやすくなります。ヘアレスドッグは被毛がないことで紫外線によるダメージをじかに受けてしまうため、日差しが強くなる季節は特に注意しなければいけません。

また、毛があまり生えていなくても定期的なシャンプーは必要です。

被毛が生えていないヘアレスドッグは皮膚の怪我にも注意が必要です。本来は被毛によって草むらに入ったり生垣や小枝に触れても多少の刺激であれば守られていますが、ヘアレスドッグは被毛がないので外部の刺激に弱いです。ちょっとしたことでも皮膚が傷つきやすい

ので、お散歩に行くときは洋服を着せる、室内でも先のとがったものや家具の角にはクッション材で保護をするなどの工夫が必要になります。

また、害虫による虫刺されなどにも気を付けましょう。

ヘアレスドッグは遺伝的に通常よりも歯が少ないことが多いと言われています。そのため、ひづめや角などの硬すぎる食べ物は避け、歯に優しい適度な硬さのごはんやおやつを選ぶとよいでしょう。

犬は被毛に覆われていることが前提となって認識されている生き物です。そのため毛がない犬というのは、その外見をはじめ、暖かさや肌触りなど、普通の犬にはない独特の特徴があり、古代から人はその魅力に惹かれてきました。現在でも興味を持つ人は多いことでしょう。もし毛のない犬を飼うならば、その犬種の特徴を把握した上で、寒さや紫外線、乾燥などのケアを忘れないようにしましょう。

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