【獣医師監修】犬にマテを覚えさせるコツとは|しつけのポイントと注意点を知ろう
犬の動きを制止させる「マテ」は、しつけの基本中の基本です。散歩時や来客の際など、愛犬の動きをコントロールする必要がある場面でマテができると、トラブルを未然に防ぐことができます。とはいえ、愛犬がなかなかマテを覚えてくれないと悩んでいる飼い主さんもいるのではないでしょうか。
そこで今回は、犬にマテを教えるときのコツや注意点などをご紹介します。
まずはじめに「マテ」の意味を知っておこう
愛犬がおやつやごはんを食べる前に待たせるのを「マテ」と思っている人もいるかもしれませんが、おやつやごはんを目の前において犬を待たせるのは、正確にいうと「マテ」ではなく「お預け」です。
「マテ」と「お預け」は、とても似ているため、飼い主さんも間違えていることがあります。では、本来の犬のしつけ「マテ」とは、どんなときにさせるものなのでしょうか。
マテとは直前の動作のまま待つこと
犬の「マテ」が意味するのは、動作をやめて「待つ」ことです。マテの指示が解除するまで継続することが、「マテ」なのです。
たとえば、お座りをして「マテ」をさせた場合、解除の合図がでるまでずっとお座りの状態で待ちます。伏せをして「マテ」といわれたら、解除の合図がでるまでずっと伏せをして待ちます。つまり、「マテ=直前の動作のまま待て」ということです。
犬にマテを教えたほうがよい理由
犬にマテを教える必要性は、以下のような理由があるからです。
【1】我慢することができるようになる
犬のマテは、興奮しやすい犬やせっかちな犬に効果があります。たとえば興奮しやすい犬には、テンションがあがる前に「マテ」をさせます。そうすることで、興奮する心を犬自身が徐々に抑えられるようになります。
また、せっかちで散歩に行く時間になると、そわそわし要求吠えをするような犬の場合、マテをすることで落ち着かせることができます。
【2】 危険なことから回避できる
散歩中の交差点でマテをすることで、車や自転車との衝突を避けることができます。また、他の犬とすれ違うときも、マテをさせることで犬同士のトラブルを未然に防げます。
このほかにも、他の方に飛びつくことをやめさせたい、ドアを開けると同時に外に飛び出るといった行動を抑えることにもマテは有用です。
このようにマテができると、思いもよらない事故から愛犬の身を守ることができるので、優先してマテを教える必要があるのです。
犬にマテを上手に教える方法
まずマテを教える前に、「マテ」のコマンドと一緒に出す手のサインを決めておきましょう。というのも、ザワザワしたうるさい場所でも、手のサインで合図をすることができるからです。手のサインは、手のひらを犬に見せる「ストップ」のようなサインが一般的です。
手のサインを決めたら、以下の手順でマテを教えていきましょう。
ステップ【1】お座り(伏せ)をさせる
お座り(もしくは伏せ)をさせた状態で、愛犬にマテのコマンドと手のサインを出します。1〜2秒でもじっとすることができたら褒めてあげましょう。
ステップ【2】解除の合図を出す
マテをいつまでしていればよいのか犬は判断できないので、マテの解除の合図も一緒に覚えさせなければなりません。マテをしている愛犬に、「よし」「OK」などの解除の合図を出し、犬に見せていた手のサインを下げます。このときに解除の合図も統一するようにしましょう。
ステップ【3】マテの時間を少しずつ延ばして練習する
いきなり長い時間、マテと言ってもその通りに行うことはできません。まずは1〜2秒から始めて、徐々に時間を延ばして練習していきましょう。目標とするのは、お座りのマテなら1〜2分、伏せのマテならもう少し長くても良いでしょう。
いつでもどこでもマテをできるようにするために、室内や庭だけでなく、公園や他の犬がいる場所といったように環境を変えて練習しましょう。
犬にマテを教えるときのコツ
愛犬にマテを覚えてもらうために、教え方のコツを押さえておきましょう。
最初は愛犬が集中できる環境で教える
愛犬の気が散ってしまわないように、集中できる環境を整えてから教えるようにしてください。静かな場所であることはもちろん、愛犬のお気に入りのおもちゃなども見えないところに片付けましょう。
集中できる環境でマテができるようになってきたら、今度は敢えておもちゃを周りに置いたり、テレビを付けたりといった環境にして、気が散る要素がある状況でもできるように練習していきましょう。
失敗したときは1ステップ前に戻ってやり直す
愛犬がうまくできず失敗してしまったときは、1つ前のステップに戻ってやり直しましょう。じっと動かないで待てないからといって、強く叱ったりしてはいけません。できないことを叱ってしまうと、「マテ=嫌な合図」と認識してしまい、とっさのときに合図を無視してしまう可能性があります。
また、信頼関係が崩れる原因にもなってしまうので、愛犬のペースを尊重し気長に教えていきましょう。
楽しい雰囲気を作って教える
愛犬がなかなか覚えてくれないと、ついつい険しい表情や強めの口調になりがちですが、楽しい雰囲気作りを心がけて教えましょう。
犬は飼い主さんの表情や声から、その感情を感じ取る能力を持っているので、威圧的な態度で接すると萎縮してしまいます。柔らかな声のトーンと表情を意識し、愛犬が楽しみながら練習できるように工夫してあげましょう。
上手にできたらご褒美をあげる
上手にできたらご褒美をあげましょう。犬は飼い主さんに褒められたり、ご褒美をもらえたりすると嬉しくなります。
そのため、マテができたときにご褒美をあげると、「マテをするといいこと(楽しいこと)がある!」と認識し、習慣的にできるようになっていきます。また、自身の行動を認めてもらえたことで、飼い主さんへの信頼度も上がります。
最初は、上手くできたらたくさん褒めてご褒美をあげてください。そして、安定してできるようになってきたら、ご褒美のおやつをあげる頻度を徐々に減らしていき、最終的にはおやつなしでもできるようにしていきましょう。
犬にマテを教える際に気をつけること
適切に教えないと、「いつまでたっても愛犬がマテを覚えない……」ということにもなりかねません。そのようなことがないよう、マテを教える際の注意点を覚えておきましょう。
短時間で終わらせる
年齢やその犬の性格などにもよりますが、犬は5~10分程度しか集中力が保てないので、マテの練習は欲張りすぎずに、短時間で終わらせるようにしましょう。長い時間やると疲れてしまい、逆効果になってしまいます。
集中力が切れて失敗してしまう前に練習を終わらせ、気分転換に遊んであげましょう。楽しいことや成功体験で終わらせることがポイントです。
コマンドを統一する
コマンドは、必ず統一させるようにしましょう。「マテ」と言うときもあれば、「wait(ウェイト)」と言うときもあると、犬は混乱して覚えられません。しつけを始める前に、使うコマンドを家族みんなで決めて統一しましょう。
焦らず根気よく続ける
はじめのうちは、なかなか上手くできず、たった1秒でさえもじっとしていられないかもしれません。しかし、決して諦めてはいけません。何度も繰り返すことで、少しずつ覚えることができます。
上手くできないときは場所を変えてみる、いったん休憩させたり遊ばせるなどしてから再び練習してみるなど工夫してみましょう。焦らず根気よく続けることが非常に大切です。
愛犬の成長過程を楽しもう
マテは、犬のしつけのなかでも基本中の基本のしつけで、生活のいろいろな場面で使用します。しっかりと覚えるまでには時間がかかりますが、愛犬との信頼関係を築きながら、根気よく教えてあげてください。
マテができるようになるまでの愛犬の成長過程は、飼い主さんにとって貴重な出来事のはずです。
練習のときには楽しい雰囲気作りを心がけ、愛犬を導いてあげてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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