【獣医師監修】犬の尻尾に骨はある?尻尾の構造や役割、骨折した場合の対処法について解説します
上や下、左や右へと自由自在に動く犬の尻尾ですが、どこまで骨があるのか疑問に思ったことはありませんか?
今回の記事では、犬の尻尾の構造や種類、役割について解説していきます。また、尻尾を骨折してしまった場合の症状や対処法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。 犬の尻尾に関する知識を深め、万が一、骨折してしまった際にも素早く対応できるようにしましょう。
犬の尻尾の構造と種類
犬の尻尾には、付け根から先端にかけて「尾骨」と呼ばれる骨が存在します。尾骨は尻尾の長さに応じて6〜23個程度が繋がっており、先端にいくほど細くなっているのが特徴です。
そして、尾骨の中心を脊髄神経が通っており、尾骨の周りにある筋肉を支配しているため、犬は尻尾を振ったりすることができるのです。
犬の尻尾の種類
犬の尻尾は、形状の違いによってそれぞれに名前が付いています。代表的なものを以下にまとめました。
犬の尻尾の種類
- カールドテール(巻き尾):上向きにくるっと巻いた尻尾。柴犬など
- ボブテール:尻尾が無い、または断尾で短くされた尻尾。ウェルシュ・コーギーなど
- スクリューテール:らせん状の尻尾。ボストン・テリアなど
- ブルームテール(飾り尾):羽状の飾り毛があり、垂れ下がった尻尾。ゴールデン・レトリーバーなど
- オッターテール:カワウソの尻尾に似た、根本が太く、先端が細い尻尾。ラブラドール・レトリーバーなど
- セイバーテール(立ち尾):剣に似た形状にカーブした尻尾。ビーグルなど
- スクワーラル・テール(リス尾):リスの尻尾に似た、ふわふわした毛で覆われた尻尾。パピヨンなど
犬の尻尾の役割とは
犬の尻尾には主に以下の3つの役割があります。
1.体のバランスをとっている
犬は走っているときや急にターンをするときには、尻尾も一緒に動かし、転倒しないようにバランスをとっています。地上だけでなく、水を泳ぐときにも尻尾を器用に使い、泳ぐ方向のバランスをとります。これは犬だけではなく、多くの動物に見られる特徴です。
2.寒さ対策
犬は尻尾を体温調整にも役立てています。寒い日などに、犬が体を丸めている姿を見たことはありませんか?これは尻尾を体に巻きつけ、体温を上げるための行動です。また、尻尾で鼻を塞ぎ、冷気を吸い込まないようにもしています。犬にとって、尻尾は寒さに対して欠かせない構造なのです。
3.感情表現
犬の尻尾は感情を表現する部分でもあります。「犬が尻尾を振っているときは喜んでいる証拠」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。警戒しているときは尻尾が上向きに真っ直ぐ立つなど、その時々の感情を読み取るのに活用できます。
犬の尻尾が骨折する原因や症状は?
犬の尻尾には尾骨が存在しているため、当然ながら骨折することもあります。犬の尻尾が骨折するのにはどんな原因があるのか、また骨折してしまった際の症状について解説していきます。
犬の尻尾が骨折する原因
尻尾の骨折は、交通事故や転倒といった、強い衝撃を受けて起こることがほとんどです。高齢犬の場合は骨密度が低く、些細な衝撃で骨折することもあるため、注意が必要です。飼い主さんが尻尾を踏んでしまったり、尻尾をドアに挟んでしまったりといったきっかけでも骨折する可能性があるため、室内犬でも危険があることを理解しておきましょう。
犬の尻尾が骨折した際の症状
尾骨の骨折は、骨部分のみのものと内腔の脊髄神経に影響するものとに分けられ、多くの場合痛みを伴うため、以下のような症状が現れます。わかりやすく尻尾の形が変形していれば、飼い主さんも気づきやすいですが、見た目だけでは骨折だと気づきにくい場合もあります。
尻尾を骨折したときに見られる主な症状
- 元気、食欲が無くなる
- 痛がって鳴く
- 尻尾付近が腫れている
- 尻尾の向きがいつもと異なる
- 尻尾を触られるのを嫌がる
- 尻尾を曲げられない
- 歩き方がおかしい、バランスが悪い
- 歩きたがらず、じっとしている
- 排泄ができなくなる
骨折を痛がらない場合も
尻尾が骨折していたとしても、症状が軽度で、普段の生活をする上では痛みを感じていないように見えるケースもあります。スキンシップで尻尾を触った際にビクッと反応することがあるため、愛犬のわずかな行動の変化からも骨折の可能性を疑うようにしましょう。
尻尾が骨折してしまった場合の対処法や治療費について
犬が尻尾を骨折してしまった際の対処法と、治療にかかる費用を解説していきます。万が一に備え、骨折してしまってもすぐに対応できるようにしましょう。
犬が尻尾を骨折した場合の対処法
尻尾を骨折しているかもしれないと感じたら、すぐに動物病院へ連れていきましょう。痛みから攻撃的になっていることも考えられるため、尻尾付近はなるべく触らないようにしましょう。
骨折の悪化を避けるためには、自宅で何か処置をしようとするのは避けて、まずは病院で早急にレントゲン検査や血液検査などを受け、痛み止めなど必要な注射を打ってもらいましょう。麻酔下で行う外科的な処置が必要かどうかは、骨折の状況や程度によって変わってきます。
放置は厳禁
尻尾の骨折が軽度なものだと自己判断し、放置するのはやめましょう。骨折は症状の程度に関わらず、病院で治療してもらう必要があります。
一見平気そうにしていても、時間が経ってから症状が悪化する可能性も十分あります。時間が経ちすぎると、尻尾から感染が起きて壊死してしまったり、骨が変形したままくっついてしまい、元の形に戻らなくなる可能性などもあります。このようなリスクを避けるためにも、早めに治療を受けましょう。
犬の尻尾が骨折した場合にかかる治療費
尻尾の骨折の際にかかる検査や治療の費用は、受診する病院や症状の程度によって変動します。麻酔をかけて外科手術が必要となる場合と、痛み止めの注射やギプス固定といった内科治療のみとなる場合にかかる治療費の目安は、以下の通りです。
- 手術・入院あり:約150,000円〜
- 内科治療のみ:約20,000円~
尻尾の様子を観察するようにしましょう
普段から愛犬の尻尾を観察しておくことで、わずかな異変にも気づけるようになります。いつもより尻尾が上がっていなかったり、変な方向に曲がっている場合は、骨折を疑いましょう。
骨折を発見した際は、すぐに動物病院で治療してもらうことが大切です。治療が早くできるほど、良い経過を期待できます。逆に治療が遅れてしまうと、治るのに時間も費用も余計にかかってしまうことがあります。
尾骨は他の骨に比べて小さいため、わずかな衝撃でも骨折してしまいます。愛犬の尻尾が危険にさらされないよう、日頃から気を配ってあげてください。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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