ルーツは狼?!珍しい犬種「サールロース・ウルフドッグ」について
サールロース・ウルフドッグという犬種をご存じですか?実は、狼とジャーマンシェパードドッグとの交配によって生まれた珍しい犬種です。調べた限りでは、日本でサルロース・ウルフドッグを扱うブリーダーはおらず、海外であってもブリーダーが少ないようで入手が困難といわれている希少犬種です。
今回は、飼育が難しく上級者向けといわれるサールロース・ウルフドッグの歴史や特徴、性格や飼い方をご紹介します。
目次
サールロース・ウルフドッグについて知ろう!
まずは、サルロース・ウルフドッグが誕生するまでのルーツと歴史を見ていきましょう。
ルーツ
サールロース・ウルフドッグは、オランダのリンデルト・サーロス氏が野生の卓越した能力を持つ狼と、学習能力の高いジャーマンシェパードを交配させて作り出した犬種です。
まず、メスの狼とオスのジャーマンシェパードを掛け合わせ、生まれたハーフ犬をまたオス親のジャーマンシェパードと戻し交配させるという方法で作られました。その結果生まれた25%の狼の血を引いた犬種を、さらに交配を重ねて生まれたのがサールロース・ウルフドッグです。
犬種グループは?
JKCにおけるサールロース・ウルフドッグの犬種グループは、牧羊犬・牧畜犬のグループに入っていますが、サールロース・ウルフドッグは特定された目的のために作られた犬種ではありません。
資質としては飼い主に忠実なハウス・ドッグやコンパニオン・ドッグの要素を多く備えています。
軍用犬・牧畜犬・番犬の適正はなかった
サールロース・ウルフドッグはその運動能力の高さから軍用犬として用いることが考えられましたが、野生の狼の持つ臆病な性格が強く、軍用犬にはなれず、また内向的で用心深いところから牧畜犬としても使えず、狼の特徴である遠吠え以外には吠えることも少ないため、番犬としての役目も果たせませんでした。
訓練すれば警察犬や盲導犬などにもなれる資質はありましたが、訓練のコストが高く実用にはなりませんでした。
結局はコンパニオンドッグとして
使役犬としてはことごとく不合格となったサールロース・ウルフドッグですが、狼の野生的な肢体と身体能力の高さからウルフドッグとして人気が高まり、1975年にFKCに承認登録されました。
現在ではスポーツドッグやショードッグとして活躍しており、希少ではありますが大型コンパニオンドッグとして、上級の犬愛好家達の間では密かに人気の高い犬種です。
サールロース・ウルフドッグの性格について
サールロース・ウルフドッグは狼の血を受け継いでいるため、警戒心が強く内向的です。そのため飼い主や家族には忠実で優しく接しますが、それ以外の人にはあまりなつきません。
自分の家族だと認識した人や犬には深い愛情を示し、家族が危害を加えられそうになったら敢然と立ち向かっていく強さを持っています。用心深く警戒心が強いので環境の変化に弱く、慣れないところでは脱走を試みることがあるので注意が必要です。
狼の群れで行動する習性が強く残っているため、単頭飼育には向いていません。多頭飼いが基本となり、最低でも2頭飼いする必要があります。この習性のためひとりでの留守番や庭での番犬などはとても苦手です。
サールロース・ウルフドッグのしつけ
サールロース・ウルフドッグのしつけは、極めて難しい犬種といえるでしょう。
野生の狼の気質を多く残しているため警戒心が強く内向的なので、子犬期に社会性を育てることが必須条件となります。
サールロース・ウルフドッグのしつけの訓練期は短く、社会性を育てる訓練は生後3週から16週のあいだに徹底的に行う必要があります。この時期に多くの人や犬と触れさせ、慣れさせることで成犬後の社会への順応性が育ちます。
サールロース・ウルフドッグのしつけの中で一番重要なのは、信頼関係の確立です。
飼い主が頼りになるリーダーであると理解させることが必要で、この関係が築けないと手に負えなくなり最悪大きな事故に繋がりかねません。
そういった意味で、サールロース・ウルフドッグは初心者が簡単に飼うことのできない犬種です。しつけには高度な技量が必要なので、経済的に余裕があればドッグトレーナーに訓練してもらうことも考えておきましょう。
サールロース・ウルフドッグの平均寿命と健康管理について
サールロース・ウルフドッグの寿命は11年〜14年で、大型犬としては長生きの部類に入ります。
大きな遺伝的疾患は見当たりませんが、大型犬に多い股関節形成不全や脊髄症などには注意が必要です。これらの疾患は肥満が要因となっておこることが多いので、体重管理には十分気をつけましょう。
サールロース・ウルフドッグは運動不足や環境の変化によるストレスにも弱い犬種です。ストレスは問題行動の原因になるだけでなく、健康寿命にも大きな影響を与えます。
サールロース・ウルフドッグの運動量
サールロース・ウルフドッグは多くの運動量を必要とする犬種です。
1日2〜3時間以上の運動が必要で、自転車などで並走させたり野山を走らせたりするのも有効です。サールロース・ウルフドッグは多頭飼いが基本となりますので、運動には人手も体力も必要となります。
サールロース・ウルフドッグの適正体重
サールロース・ウルフドッグの適正体重はオス40kg、メス35kgです。
ウルフドッグのため主食には多量の生肉を必要としますが、与え過ぎるとカロリーオーバーとなり肥満に繋がります。適切な運動量と正しい食餌量で、常に適正体重をキープするようにコントロールする必要があります。
サールロース・ウルフドッグの被毛の特徴について
サールロース・ウルフドッグの被毛は短毛のダブルコートで、春から夏にかけてたくさんのアンダーコートが抜けややスマートな体型になりますが、冬にはアンダーコートがびっしりと生えてくるので、しっかりとした体型になります。
毛色にはウルフグレーやフォレストブラウンなどがあります。
サールロース・ウルフドッグの被毛のお手入れ方法
サールロース・ウルフドッグの被毛のお手入れはそれほど難しくはありません。
短毛のためトリミングの必要はありませんが、週に1度はブラッシングをしてやる必要があります。特に春から夏の換毛期には多くのアンダーコートが抜けるので毎日のブラッシングは欠かさないようにしましょう
サールロース・ウルフドッグの被毛には匂いがありません。頻繁なシャンプーは必要なく、汚れが目立つときにシャンプーしてやる程度でかまいません。
こちらの記事もチェック!
日本でサールロース・ウルフドッグに会える?
日本ではサールロース・ウルフドッグのブリーディングは行われておらず、日本で取り扱っているところはありません。
JKCによると、サールロース・ウルフドッグは2019年時点で1頭しか登録されていません。
サールロース・ウルフドッグを迎えるときは海外ブリーダーからの輸入になりますが、サールロース・ウルフドッグのブリーダーは海外へ出すことを良しとしていないので、輸入そのものがとても難しいそうです。
日本では出会うのが難しい犬種ですが、機会があれば一度は会ってみたいものですね。
こちらの記事もチェック!
この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
ウルフドッグに関する記事
飼い方/育て方
ウルフドッグはどんな性格?特徴や得意な遊びとしつけ方まで
オオカミのような外見と野性味あふれる立ち振る舞いで、いかにも独立心が強そうなイメージのウルフド...
2022年12月22日
健康管理/病気
ウルフドッグって聞いたことある?体重・寿命・かかりやすい病気まで
オオカミに酷似した凛々しい風貌で欧米では人気のあるウルフドッグは、オオカミと犬それぞれの血統を...
2022年12月9日
犬の生態/気持ち
野性感のあるウルフドッグについて|可愛い子犬時期の成長スピードや育て方について
ウルフドッグとは、オオカミと犬を掛け合わせたハイブリッド犬のことです。日本ではほとんど馴染みが...
2022年12月9日
犬の生態/気持ち
クールでかっこいいチェコスロバキアン・ウルフドッグ!気になる性格や特徴など
凛々しいオオカミのような風貌を持つチェコスロバキアン・ウルフドッグは、ジャパンケネルクラブ(J...
2022年11月14日
飼い方/育て方
ルーツは狼?!珍しい犬種「サールロース・ウルフドッグ」について
サールロース・ウルフドッグという犬種をご存じですか?実は、狼とジャーマンシェパードドッグとの交...
2023年5月8日