犬の筋肉の役割や衰えたときのリスクは?鍛える方法や食事も紹介
私たち同様、犬も筋肉不足を起こします。
筋肉が衰えると多くのリスクがあるため、飼い主さんは日常でできるトレーニングをおこないましょう。
今回は犬の筋肉の役割や、衰えたときのリスクを紹介します。
筋トレの方法や食事も解説していますので、ぜひ読んでみてください。
犬の筋肉の役割と筋肉不足になりやすい犬の特徴
はじめに犬の筋肉の役割と、筋肉不足になりやすい犬の特徴について見ていきましょう。
犬の筋肉の役割は
犬の筋肉がもつ役割は、大きく分けて以下のとおりです。
- 体を動かす
- 関節を固定する
- 姿勢を保つ
- 熱を産生する
- 衝撃を和らげる
- 血管や内臓を守る
- 血液を循環させる
骨があるだけでは体は動かせず、筋肉が必要です。
筋肉は手や足の外側の部分だけはなく、体の中の組織も動かしていることを知っておきましょう。
関節を固定し姿勢を保つ筋肉をつけておくと、高齢になった際の関節炎予防に役立ちます。
この後トレーニングを紹介していますが、筋トレを行うことで筋肉の衰えが防げる効果が期待できます。
ぜひ試してみてください。
また筋肉は、動かす際に熱を生み出します。
筋肉量が多ければ生み出す熱も多くなり基礎代謝も上がるため、肥満防止にも役立つでしょう。
ほかにも体や血管、内臓に受けた衝撃から身を守るのも筋肉の役割です。
また筋肉は体中に血液を送り出すポンプ機能の役割を果たしているため、筋肉量が多ければ効率的に全身に血を送ることができ、むくみ予防にもなります。
筋肉は犬の生命維持に重要な役割を果たしているといえるでしょう。
筋肉不足になりやすい犬の特徴
筋肉の役割を先に見ることで、筋肉は犬の体にとって必要なものであると理解していただけたでしょうか。
ただし以下の特徴をもつ犬は筋肉不足となりやすいため、注意が必要です。
- 散歩や運動が嫌いな犬
- 筋肉や骨・神経に異常がある犬
- 高齢の犬
順番に見ていきましょう。
散歩や運動が嫌いな犬
散歩や運動が嫌いな犬は、筋肉不足になりやすいです。
筋肉は動かさなければ徐々に弱っていくため、トレーニングを取り入れて意識的に筋肉を鍛えてあげるとよいでしょう。
また散歩が嫌いな犬でなくてもいつも平坦な道ばかり歩いていては、使われていない筋肉が弱っていく可能性があります。
飼い主さんは上り坂やでこぼこ道などをとおり、変化をつけてあげてください。
ちなみに散歩や運動をしたがらない犬は、お出かけで怖い思いをしてしまったために嫌がるようになってしまった可能性もあります。
嫌いな道は通らない、おやつなどを用意して与えながら進むなど、散歩を楽しめる工夫を行うことで改善する場合もあります。
ハーネスや首輪に不快感を感じていないかなどもチェックして、散歩や運動嫌いを改善していく工夫をしてみてくださいね。
筋肉や骨・神経などに異常がある犬
先天的要因や後天的要因で筋肉や骨・神経などの運動器に異常がある犬は筋肉不足になりやすいといえます。
この場合は無理に運動させるのではなく、獣医師による診断をあおぎましょう。
間違った方法でトレーニングをしてしまうと運動器を悪化させてしまう恐れがあります。
獣医師の指導のもと、トレーニングではなくリハビリなどのソフトな運動を取り入れて筋力が衰えるのを防ぎましょう。
高齢の犬
高齢の犬は筋肉不足になりやすいといえます。
加齢に伴い体を動かすことが億劫となるため、筋肉が不足するのはある程度仕方がないことかもしれません。
しかしもう高齢だからと運動を止めてしまうと寝たきりになってしまったり、排尿がコントロールできずおもらししてしまったりするようになってしまいます。
無理は禁物ですが、高齢の犬でも出来る範囲でトレーニングをおこない、筋肉が減っていくスピードを食い止めましょう。
筋肉が衰えることのリスク
筋肉が衰えることで、以下の3つのリスクが考えられます。
- ロコモティブシンドロームになる恐れがある
- 老化のスピードが早まる
- 肥満や生活習慣病にかかる
上記の筋肉不足になりやすい特徴を持つ犬だけでなく、上記のリスクはすべての犬に当てはまります。
順番に見ていきましょう。
ロコモティブシンドロームになる恐れがある
筋肉が衰えることで起こるリスクは、ロコモティブシンドロームです。
ロコモティブシンドロームとは運動器症候群を指し、骨や関節、筋肉などの運動器が衰えてしまった状態を指します。
進行すると要介護や寝たきりなどの危険性が高くなるため、トレーニングをして少しでも筋力の回復を目指すとよいでしょう。
特に犬は後ろ足に大きく重心を置いているため、後ろ足の筋肉が衰えると立てなくなってしまう可能性があります。
立つための筋肉や座るための筋肉など目的別にトレーニング方法を後述していますので、ぜひ見てみてください。
老化のスピードが早まる
筋肉が衰えることで、老化のスピードが早まります。
関節炎や神経疾患を発症し寝たきりになってしまえば、飼い主さんの介護も必要です。
いずれは愛犬の介護を考えている方でも、なるべく長く健康に自分の体を使って歩いてほしいと思う飼い主さんは多いでしょう。
老化は止められるものではありませんが、筋肉をつけることによって遅らせることはできます。
筋肉を鍛えると同時にさまざまな刺激に触れることで認知症の予防にも役立つため、高齢になる前から筋力を保つ工夫をしてみてください。
肥満や生活習慣病にかかる
筋肉が衰えることで愛犬にもたらすリスクは、肥満や生活習慣病にかかることです。
筋肉の役割でも前述しましたが、筋肉は動かす際にエネルギーを必要とし熱を生み出します。
筋肉が衰えエネルギーを使わなくなれば、摂ったカロリーが消費できず肥満や糖尿病などの生活習慣病にかかる恐れがあります。
逆に筋肉を鍛えることで上記のリスクを軽減し、若々しく健康な体を手に入れることができるのです。
犬の鍛えるべき筋肉の部位とトレーニング方法
筋肉の役割や衰えたときのリスクについて見てきましたが、実際にはどんな筋肉をどのように鍛えればいいのでしょうか。
ここからは動作の目的別に使われる筋肉の部位と、トレーニング法を紹介します。
立つための筋肉
犬の立つための筋肉として主に使われているのは前足の肩関節を覆っている「三角筋」と、後ろ足の太もも前側にある「大腿四頭筋」です。
三角筋と大腿四頭筋を鍛えるために、以下のトレーニングをしてみましょう。
- 動くボールを捕まえ、押さえる
- 飼い主と綱引き
動くボールを押さえる動きは三角筋を鍛えるのに役立ちます。
コミュニケーションの一環にもなるため、積極的に行うとよいでしょう。
飼い主さんは愛犬が上から上手にボールを押さえられるよう、低い位置でボールを動かすなど工夫してあげてください。
後ろ足にある大腿四頭筋は踏ん張ることで鍛えられます。
飼い主さんと綱引きなどで引っ張りあいをすることで、楽しみながらトレーニングを行いましょう。
トレーニングといっても堅苦しく考える必要はありません。
愛犬と楽しんで過ごすなかで、無理のないように取り入れてみてくださいね。
前足を動かすための筋肉
前足を動かすための筋肉は首から腰にある「僧帽筋」と、肩から腰にある「広背筋」です。
僧帽筋と広背筋を鍛えるためには、以下のトレーニングを行いましょう。
- 自宅のお風呂にぬるま湯を溜めて犬かきさせる
- 犬用プールなどで泳がせる
僧帽筋と広背筋は前足を動かすために足を引く動きが必要ですが、この動きは陸上で鍛えるのは困難です。
小型犬であれば自宅のお風呂にぬるま湯を溜めてお腹を支え、犬かきさせてあげるとよいでしょう。
中型犬や大型犬であれば犬用プールなどの施設で泳がせてあげるのも、楽しいレジャーとなるのではないでしょうか。
ただし水の好き嫌いは犬の個体差によるところが大きいため、嫌がるようであれば無理をさせてはいけません。
また水でのトレーニングは十分な準備が必要です。
自宅のお風呂であれば常に手で体を支え、犬用プールでもライフジャケットを必ず着せて愛犬から目を離さないようにしてくださいね。
体を支えるための筋肉
体を支えるために必要なのものは体幹です。
体幹を維持するために私たち人間や犬は「脊柱起立筋」や「腹筋群」、「回旋筋腱板」、「腸腰筋群」、「内転筋群」などさまざまな筋肉を使っています。
これらの筋肉や、深層にあるインナーマッスルを鍛えるために効果的なのは以下のトレーニングです。
- バランスボール
日常生活のなかで体幹を鍛えるのは難しいため、バランスボールを使ったトレーニングがおすすめです。
ボールの転がる特性や弾む特性に耐えようとバランスをとることで、体のさまざまな筋肉やインナーマッスルが鍛えられます。
転倒すると危険なので、飼い主さんは必ずすぐに愛犬を支えられる位置に手を置いた状態で行いましょう。
バランスボールは安価で販売されているものもありますが、犬の爪や牙の鋭さを考えて破れないことに重点を置いた機能的なものを選ぶようにしてください。
走るための筋肉
走るための筋肉は、太腿の裏にある筋肉の総称である「ハムストリングス」とお尻にある「臀筋群」です。
ハムストリングスと臀筋群を鍛えるには、以下のトレーニングがおすすめです。
- 走り回る
- スクワットをする
走るためのハムストリングスと臀筋群は、走り回ることにより鍛えられます。
愛犬とのコミュニケーションにもなるため、休日にはドッグランなどでたっぷり体を動かしましょう。
またオスワリ、タテ、マテを繰り返すスクワットの動きもおすすめです。
トレーニングというよりはしつけや遊びの一環として、ご褒美などを上手に使って無理のない程度に楽しんでください。
運動で筋肉を鍛える場合の注意点
筋肉を鍛えるためのトレーニングは犬にとって必要ですが、以下の注意点があることも忘れてはなりません。
- 成長期の終わっていない犬はトレーニングを控える
- いきなりハードなトレーニングは行わない
- 犬に合った運動量を把握する
順番に見ていきましょう。
成長期の終わっていない犬はトレーニングを控える
成長期の子犬はまだ骨ができあがっておらず柔らかいため、トレーニングを行うと骨折してしまう恐れがあります。
また早い段階で筋肉を鍛え始めると骨の成長を妨げてしまうことも考えられます。
トレーニングは成長板が閉じる時期である24ヶ月以降の月齢を目安に始めるとよいでしょう。
いきなりハードなトレーニングは行わない
初めて行うトレーニングで、やりすぎは禁物です。
愛犬の適切な負荷を考えずにトレーニングをしてしまうと、関節を痛めたりケガをしてしまったりする危険があります。
初めての場合や久しぶりにトレーニングを行う場合は、まず物足りないくらい少ない回数から始めることをおすすめします。
トレーニングの最中やトレーニングの愛犬の様子を見て疲労度を判断し、徐々に回数を増やしていくとよいでしょう。
犬の年齢や体調を考慮して行う
筋肉を鍛える際は、犬の年齢や体調を考慮して行いましょう。
筋トレはおすすめですが義務ではないため、体調が優れない場合は中止しても構いません。
トレーニングを始めたばかりの犬や高齢の犬はトレーニング中の体調変化の見極めが難しいため特に注意し、控えめに行ってください。
健康状態の把握にもつながるため、愛犬の体調に常に気を配るとよいでしょう。
筋肉を鍛えるためには食事も重要
筋肉を鍛えるためには運動だけでなく、食事も重要です。
筋肉をつくるために、良質なタンパク質を摂り入れることを意識してみてください。
肉には鶏肉や豚肉、牛肉、ラムなどさまざまな肉がありますが、いずれも脂肪分の少ない部位を選ぶことが大切です。
軽く火をとおし、フードにトッピングしてあげるとよいでしょう。
ただしタンパク質を摂り過ぎてしまうことで、ほかの必要な栄養素のバランスを崩してしまう恐れもあります。
タンパク質を主食にトッピングする場合、一日の食事量の20%以内程度におさめましょう。
関節軟骨を保護するためのグルコサミンやコンドロイチンは食事から摂るのは難しいため、サプリメントを利用してみるのもおすすめです。
通販でも犬用サプリが販売されているほか、動物病院で選んでもらうこともできます。
味や形状などさまざまなものがあるため、愛犬に合ったものを選んでください。
まとめ
今回は犬の筋肉の役割や衰えることでもたらすリスク、鍛える方法や注意点を紹介しました。
健康に一生を過ごすために、筋肉を衰えさせないようにトレーニングを行うことは大切です。
今回紹介した方法をスキンシップや遊びのなかで取り入れてみるとよいでしょう。
また筋肉を鍛えるには運動だけでなく食事も重要です。
筋肉の成長を促す食材を選び、バランスを意識した食事を与えるように心がけましょう。
この記事のライター
satoko
わんちゃん大好きなドッグライターです!愛犬のコーギーに癒される日々を送っています。皆さんにとって有益な情報を発信できるよう頑張ります!
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