犬は体調が悪いときや病気が原因で口をくちゃくちゃすることがあります。病気の場合だと、軟便、下痢、嘔吐、食欲低下などの消化器症状を併発することが多いので、愛犬の体調をよく観察しましょう。病気が原因の場合は様子を見ているうちに悪化してしまうことも考えられるので、心配な症状がある場合は適切なタイミングで病院を受診しましょう。

てんかんとは、神経細胞の興奮が過剰になることにより、てんかん発作が繰り返される脳の病気です。てんかん発作というと全身がブルブルとけいれんするイメージがあるかもしれませんが、他にも口をくちゃくちゃ・パクパクさせる、よだれを垂らす、自分の尾を追いかけながら旋回するなどといった異常行動、意識を失うといった症状が見られることもあります。

また、様子を見ているうちに、繰り返し異常行動が起こったり、症状の程度がだんだんと重くなることがあるので注意が必要です。てんかん発作の症状の頻度と重症度によっては、抗てんかん薬の内服を開始して発作を抑えていく必要があります。

犬は吐き気を感じたときに唾液が過剰に分泌され、それに伴ってぺろぺろと鼻を舐めたり、口をくちゃくちゃすることもあります。

空腹時に吐き気が見られる場合もあれば、食べてはいけないものや消化に悪いものを口にして消化不良を起こしている場合もあります。また、犬も乗り物酔いをするため、口腔内が唾液でネバネバして気持ち悪くなっていることもあります。

犬は嘔吐しやすい動物と言われていますが、激しく嘔吐していたり、吐き気の原因が不明である場合などは早めに動物病院を受診することをおすすめします。

口腔内に違和感や痛みがある場合にくちゃくちゃしていることは、珍しくありません。では、犬はどのようなときに違和感や痛みを感じるのでしょうか。

歯肉や口腔内の粘膜が炎症を起こして痛みを感じていたり、抜けそうな歯がグラグラして違和感を感じていることがあります。3歳以上の犬の80%以上が歯周病になっているとも言われているので、自宅でも歯磨きなどのデンタルケアを行って歯周病の予防に努めましょう。

また、口腔内の腫瘍が原因で口をくちゃくちゃすることもあります。口腔内にできる腫瘍は肉眼で確認できるものもあるので、口を開けて歯肉、口腔内の粘膜にできものが無いか確認してみましょう。

歯や歯茎に食べ物が付着していたり、自分の被毛が歯に絡んで口をくちゃくちゃしていることがあります。また、硬いおもちゃやヒヅメなどのおやつで口腔内を傷つけて、違和感を感じることもあります。

ビニールやおもちゃの破片など、口にしてはいけない異物を口にしているときは要注意です。飲み込む前に取り出すようにしましょう。危険なものは犬の届かない場所に保管したり、口に入れたものを自ら離させるしつけを日頃からしておくことが大切です。

子犬の乳歯は生後2ヶ月目くらいに全て生え揃い、生後4〜7ヶ月ころまでに乳歯から永久歯へと生え変わります。歯の生え変わりの時期はむずがゆい感覚があるため、口をくちゃくちゃさせたり、家具など色々なものをかじることがよくあります。

飼い主さんの手を噛んでくることもありますが、噛むことが癖になったり、よその方を噛んでトラブルになってしまうこともあるので、噛んでも良い、誤飲しにくい形状のおもちゃを与えるなどの対策を講じましょう。

ちょっと意外に感じるかもしれませんが、犬は精神的な理由から口をくちゃくちゃすることもあります。

犬には「カーミングシグナル」という、自分自身を落ち着かせるための行動があります。遊びに夢中になり過ぎたときや、苦手な相手と出会って緊張を感じたときに見られ、口をくちゃくちゃする以外にもあくびをする、仰向けになるといった様々な行動があります。

相手の気持ちを落ち着かせるためにカーミングシグナルを見せることもあり、飼い主さんが犬を叱っているときに「まあまあ落ち着いて」とカーミングシグナルを出すこともあります。

飼い主さんが優しく撫でているときや、自分のお気に入りのスペースでくつろいでいるとき、安心して眠りにつく前、食事の後など、精神的にリラックス状態にあるときにくちゃくちゃする場合があります。これは母犬の母乳を飲んでいた頃の名残ではないかと推測されています。

飼い主さんを信頼している気持ちや、安心できる生活環境が整っているときに見られる行動とも言えるようです。

犬が口をくちゃくちゃするときは、単純に歯に異物が付着していることもあれば、吐き気があったり、腫瘍など重大な病気が隠れていることもあります。日頃から愛犬の様子をよく観察し、異変があればすぐに見つけられるようにしましょう。

そして、頻繁にくちゃくちゃしている様子があれば口を開けて中を観察し、異物があれば除去したり、自宅での対処が難しい場合や病気の疑いがある場合には動物病院を受診しましょう。

こちらの記事もチェック