【獣医師監修】犬の老化はいつから始まる?身体の現象や気持ちの変化に気づくために
愛犬の様子がいつもと違うと、老化のサインかもと思ったことはありませんか?犬の老化は避けることはできませんが、大切な家族だからこそ、ずっと若々しく元気でいてほしいですよね。
この記事では、老化のサインや平均寿命などについて紹介していきますので、愛犬の様子がいつもと違うなと思ったときは参考にしてみてください。
犬の老化が始まるのはいつから?
犬の老化がはじまるタイミングは、犬種や身体のサイズ、生活環境によって差があります。犬は身体が大きいほど平均寿命が短い傾向があり、グレートデンなどの超大型犬は5〜6歳頃から老化の症状が見られます。
一方で、小型犬は犬の中でも平均寿命が特に長く、9〜10歳頃に老化のサインが目立ちはじめる場合が多いです。また、同じ犬種でも個体差はあるため、老化とみられる症状が出る年齢はさまざまです。
老化の年齢と平均寿命
犬の平均寿命が大体10年で、人間の平均寿命が大体80年だということから単純計算して「犬の一年は人間の年齢に換算すると7〜8年」と考えている方は多いかもしれません。
しかし、犬と人間の年齢換算はシンプルではありません。 犬の老化するスピードはやや複雑で、人間の年齢に換算すると不規則的です。
身体の大きさによって寿命が違うのはなぜ?
哺乳類は身体が大きいほど寿命が長く、小さいほど寿命が短い傾向にあります。例えば、ネズミの寿命は2年程度で、ホッキョククジラは寿命が200年にも及びます。しかし、犬は身体の大きさに反比例して寿命が短いのが特徴的です。
身体が大きな犬ほど寿命が短い原因は、いまだに解明されていません。仮説として、身体が大きな犬は成犬になるまでに急速に成長しなければならないため、身体に負担がかかり、老化を早めているのではないかという説もあるようです。
犬の老化で起こる主な現象について
犬の老化が進むにつれて、さまざまな現象が見られ始めます。そんな老化のサインを見逃さず、犬の年齢や状態に合った環境づくりを心がけましょう。
ここでは犬の老化のサインを、8つ紹介します。
【1】睡眠時間が長くなる
犬は老化すると、睡眠時間が長くなってきます。体力が落ちて疲れやすいので、寝ている時間が増え、活動時間が減るのは自然な現象です。
しかし、睡眠時間が過剰に長い場合は、病気が原因で元気を失っている恐れもあります。急に睡眠時間が増えた時は、注意して様子を見守り、ほかの身体症状が併発していないかをチェックしましょう。
【2】食欲の変化
老化に伴って、食欲が低下してきます。噛む力が衰えてかたいフードが食べにくい、運動量が減ってお腹が減りにくいなど、いくつか要因が考えられます。
食事の回数を増やして1回の量を減らしたり、フードをふやかして食べやすくしたりと、工夫や対策をしてみましょう。消化しやすいものや脂肪分があまり含まれないものなど、フードの質を見直してみるのも良いでしょう。それでもご飯を食べない場合は、早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
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【3】口内や被毛・体格の変化
被毛や体格の変化は老化のサインかもしれません。老化が進むに連れて、食生活や運動量に変化が生じるため、体重が増減することがあります。また、目や鼻、口の周りから白髪が生えはじめ、次第に被毛全体が薄い毛色になることもよくある老化のサインです。
口内環境の変化にも気にかけてください。歯の汚れが目立ったり、口臭が強くなったりした場合は、歯周病の可能性も考えられます。こまめに歯磨きで口の中の病気を予防するとともに、口内環境をチェックしましょう。
ヨダレの量が増えたり、口の臭いがいつもと違う、口周りを気にして舐める回数が増えるなどはトラブルの可能性も高いです。その場合は早めに病院を受診することをおすすめします。
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【4】音に反応しない
耳が聞こえにくくなることで、音への反応が鈍くなる場合があります。名前を呼んでもなかなか反応しない、言うことを聞かなくなる、といった症状が現れたら、老化による聴覚の衰えが一因かもしれません。
【5】運動を嫌がる
老化によって筋肉が衰え、関節の痛みなどから、散歩や運動を敬遠する傾向が現れます。体力も落ちて疲れやすく、歩くスピードも遅くなり、段差につまずいてしまうこともあります。
また、関節炎を発症しているケースもあります。関節炎の症状は、運動を嫌がるだけではなく、伏せやおすわりの状態から立ち上がるのが大変そうになったり、車などに飛び上がることが困難になることもあります。
このような行動の変化だけでなく、触ろうとすると怒るようになるなど性格の変化として見られる場合もあります。関節炎は痛みを伴う進行性の病気なので放置せずに、早めに病院を受診し治療に取り組みましょう。
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【6】トイレの失敗が増える
トイレの失敗が増える原因としては、認知症の進行、不安、膀胱の病気などが考えられます。なかには、腎臓のトラブルで、尿の量が増えるケースも多く見られます。病気が心配であれば、採尿して病院で尿検査を行ったり、血液検査で腎臓の数値をチェックしてもらうのをおすすめします。
屋外だけでなく、室内でもトイレができるように教えておくことで、トイレのストレスを軽減し、失敗の回数を減らすことができます。トイレの失敗があまりにも続く場合は、犬用のおむつなどを活用しましょう。
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【7】ものにぶつかる
老化による認知症の進行だけでなく、視力や嗅覚などの低下で空間把握が難しくなり、ものにぶつかりやすくなってしまいます。家具やテーブルの角にはクッション材を付けたり、ハウスの周りにはものを置かないようにするなど、ケガを防ぐ対策をしましょう。
また、視力が落ちた犬は、感覚で歩くことが多いです。部屋の模様替えはせず、慣れた環境で過ごすことで、ものにぶつかることを回避しやすくなります。散歩中も、周囲の状況に気を配りましょう。
【8】すぐに怖がる
老犬になると、若い頃は平気だったことでも、怖がるようになる場合があります。例えば、若い頃は雷を気にしていなかった犬が、老化が進むと怖がってしまうこともよくあります。
老犬は視覚や嗅覚などの衰えにより、周囲の状況を察しにくくなってしまいます。そのため、突然の音やスキンシップなどが恐怖に感じてしまうのです。カーテンをかけて怖いものを見えなくする、声をかけてからスキンシップをとるなど、犬が安心できるように対応してあげましょう。
愛犬に老化現象が現れはじめたとき飼い主さんができること
どの犬も若くて元気な時期から、徐々に老化に向かって進んでいきます。いざ老化現象が現れた時には、慌てずに受け止めてあげたいですね。
そのためには、元気なうちから環境や習慣を整えてあげることが大切です。その際に気をつけたいポイント、意識することなどについてまとめてみました。
定期的な健康診断
早めに病気を発見するために、大型犬は5〜6歳頃から、小・中型犬は7歳頃からを目安に、半年に1回は健康診断を受けるようにしましょう。老化がはじまる前から定期的に健康診断を受けることで、不調の些細なサインに気づきやすくなります。
年齢を重ねると、癌や白内障、認知症などにかかりやすい傾向があります。そういった病気の兆候に早めに気づくことで、長生きに繋がるでしょう。
老化に合わせた環境づくり
老化によって様々な不具合が生じてきます。安心安全に暮らせるよう、生活環境も見直してみてください。
老化がはじまって慌てて環境整備するのではなく、早めに対策することで、受け止める方も気持ちの余裕に繋がりますよ。
- 床に滑りにくいマットを敷いて足腰をサポート
- コーナーガードで角を覆いケガを防止
- トイレの場所を増やして失敗を減らす
- 摂取カロリーに注意し肥満を防ぐ
- 身体や口腔内のお手入れを通して健康観察をする
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小さなサインに気付いて愛犬の老化にも落ち着いて対応しよう
今回は、犬の老化の症状やサインなどについて解説しました。犬の身体や行動を日頃からよく観察し、小さな変化にも気づいてあげることが非常に大切です。
元気なうちから老化のサインを意識し、老犬が過ごしやすい環境づくりや定期的な健康診断を受けることで、老化の症状が現れた時に落ち着いて対応しやすくなります。
年を重ねた愛犬が、安心して毎日楽しく過ごせるように、色んな点をサポートしていきましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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