チワワがかかりやすい病気と怪我について|予防するために飼い主さんができることとは
チワワはとても小柄ですが、身体が弱いわけではありません。しかし、犬種によってかかりやすい病気や多い怪我というものは存在しています。事前に対策を講じておくことで予防できるのであればそれに越したことはありませんよね。今回は、チワワがかかりやすい病気や怪我について、その原因や予防方法を解説します。
チワワがかかりやすい病気
チワワは身体が弱い犬種というわけではありませんが、かかりやすい病気がいくつか存在します。1つずつ見ていきましょう。
流涙症(涙やけ)
涙が瞳からあふれ、酸化したり、細菌が繁殖することで被毛が赤茶色に変色してしまう状態です。色素沈着しているので、拭いても取れません。涙が必要以上に流れてしまう原因は、鼻涙管が細い、涙点が開いていないといった先天的なものと、アレルギーや老廃物の蓄積、逆さまつげなどが刺激となっているといった後天的なものがあります。
また、何らかの眼疾患が原因で涙が過剰に分泌され涙やけを起こしているケースもあるため、愛犬の目の周りが赤茶色に色素沈着していたら、動物病院を受診しましょう。
水頭症
水頭症は、脳室で作られている脳脊髄液が、脳の内部に過剰に溜まることで脳が圧迫され、さまざまな機能障害が起こる病気です。水頭症の多くは先天性であり、アップルヘッドのチワワは好発犬種と言われています。後天的に水頭症を発症する原因としては、外傷による脳の損傷や脳腫瘍、脳の炎症などが考えられます。
歩行異常や旋回運動、斜視やけいれん発作などの症状が見られたら、水頭症の可能性があるため、なるべく早く獣医師に相談するようにしましょう。
気管虚脱
何らかの原因により気管が潰れたり変形することで、呼吸器障害を引き起こす病気です。初期の段階では運動時や興奮時に咳が出たり、「ガーガー」という呼吸音が聞こえます。はっきりとした原因は分かっていませんが、遺伝的に気管の軟骨が弱かったり、肥満により首周りが圧迫されることや高齢になって首の筋肉が落ちることが原因ではないかと考えられています。また、首輪により気管に負担がかかることも原因の1つと言われています。
進行性の病気で、長期的に薬を服用することになります。気管が潰れてしまった場合は、外科手術をするしかありませんが、全身麻酔によるリスクは高く、投薬でも手術でも再発する可能性が高い病気です。治療方法は愛犬の状態に合わせてかかりつけ医と相談しましょう。
気管虚脱は犬にとって苦しい状態であるため、咳をしている、呼吸音がおかしいなどの様子が見られたらすぐに動物病院へ連れて行ってください。
僧帽弁閉鎖不全症
シニア期の小型犬に多く見られる心臓病です。遺伝や高齢になることで僧帽弁という弁が閉じにくくなり、左心室から左心房へ血液が逆流してしまう状態を指し、病気の発見が遅れると心不全となってしまうことがあります。初期の段階では無症状であることも多く、元気がなかったり疲れやすいなどの様子が見られることもありますが、年齢によるものだと思われ見逃されてしまうケースも多いです。
病気が進行すると、チアノーゼや呼吸困難を引き起こし、放置してしまうと命に関わるため、なるべく軽度のうちに病気を発見することが重要となります。
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チワワに多い怪我
チワワは骨が細いため、少しの衝撃でも怪我をしやすいです。ここではチワワに多い怪我をご紹介します。
骨折
骨折とは骨が折れたり、ヒビが入ってしまう状態です。原因として、転倒や高所からの落下のほか、ドアに挟まれてしまったり、交通事故などの外傷なども考えられます。骨折してしまった場合、地面に足をつけないようにして歩いたり、排泄がうまくできなくなったり、患部が腫れたり、歩くのを嫌がる様子が見られることが多いですが、痛がっている素振りを見せない子もいるので、愛犬の骨折に気がつくことができないケースもあります。
抱っこを嫌がったり、足を触ろうとすると攻撃的になるという場合、骨折しているかもしれません。愛犬の様子がおかしいと思ったら、患部に負担をかけないよう注意しながらできるだけ早く動物病院へ連れて行ってください。
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膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼は通称「パテラ」と呼ばれ、症状の重さによってグレード1〜グレード4までの4段階に分けられています。膝のお皿が本来の位置からずれてしまったり、外れてしまう状態で、チワワの他にもトイプードルやポメラニアンにも多く見られます。先天的に形成不全があるケースのほか、転倒や外傷など後天的に膝に負荷がかかることで発症してしまうこともあります。また、肥満が原因となって膝に負担がかかり膝蓋骨脱臼を引き起こすこともあります。
運動を嫌がる、1つの足をかばうように歩く、スキップのような歩き方をするなどの様子が見られたら、パテラを引き起こしている可能性が高いでしょう。症状が重くなければ内服薬で様子を見ることもありますが、根本的に治療するには外科手術しかありません。ただし、年齢や体重、脱臼の状態などによって治療方法は変わるので、場合によっては手術ができないこともあります。
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病気や怪我を予防するためにできること
愛犬にはできるだけ健康でいてほしいですよね。病気や怪我を予防するために飼い主さんができることをご紹介します。
病気|流涙症(涙やけ)
先天的なものが原因である場合、予防することは難しいですが、後天的なものであれば、予防することができる可能性もあります。チワワは瞳が大きく涙が出やすいので、目元が濡れていることに気づいたらこまめに拭き取ってあげるようにしましょう。シートタイプやスプレータイプなどの涙やけクリーナーも売っているので、使ってみるのもおすすめです。無香料で肌に優しいタイプの物を選んであげてください。
また、目の周りの被毛が長い子の場合は、トリミングサロンに行くタイミングで目に入らないようカットしてもらうと安心です。
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病気|水頭症
先天的に発症することが多いため、予防することは困難です。日頃から愛犬のをよく観察し、行動に違和感を覚えたら、獣医師に相談するようにしましょう。軽度の場合、無症状であることも多いですが、放っておくと死に至ることもあるため、早期発見・早期治療が重要です。
外傷などが原因となることもあるので、頭をぶつけないような環境を整えたり、物が落ちてきてチワワに当たることがないよう家具の配置に気を付けるなどの対策をしましょう。
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病気|気管虚脱
遺伝が原因となっている場合は予防することが難しいですが、首輪や肥満による気管への負荷はあらかじめ防ぐことができます。しつけの面では首輪が好ましいですが、ある程度しつけが済んだらハーネスに変える、首の一点に負荷がかかりにくいタイプのものを選ぶなどの工夫をしましょう。また、愛犬に適した給餌量を把握しておくことで肥満を予防することができます。肥満は関節への負担にもなるほか、さまざまな病気の引き金ともなりかねないので、毎日の体重管理がとても大切です。
環境面でいえば、マズルの短いチワワは高温多湿の環境や興奮状態になることで呼吸器疾患が悪化する可能性があります。室温だけでなく湿度にも気を配りましょう。興奮しそうになったら、「待て」や「伏せ」などのコマンドで落ち着かせるようにしつけておくのがおすすめです。
適切な餌の量に関する記事はこちら
病気|僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症には効果的な予防方法がありません。塩分の高い食事を避け、肥満にならないよう適度な運動をし、なるべく心臓に負担がかからないようにしましょう。健康診断でなくても、気になることがあればその都度かかりつけ医に相談しておくことをおすすめします。
1度罹患すると完治は難しいものの、早期に発見することで長生きできることが分かっているので、些細な異変も見逃さないようにすることが大切です。愛犬がシニア期に入ったら年に2回は健康診断を受診するようにしましょう。
怪我|骨折
骨折はどんな犬種でも起こる可能性がありますが、チワワは骨が細いため日常生活でも気をつけなければいけない場面が多々あります。骨折しやすい部位としては四肢だけでなく、尻尾も該当するので、誤って踏んだりドアなどに挟んだりしないように注意してください。
人間と同じで高齢になるほど骨折しやすくなります。ちょっとした段差にも気を配るほか、ソファに座ったり歩いたりするときには近くに愛犬がいないか確認する癖をつけておくと安心です。
愛犬がソファや段差のあるところに登りたがるという場合は、犬用のステップやスロープを設置してあげると高低差が少なくなるのでおすすめです。骨折の危険性がある場所にはバリケードを設置して立ち入ることができないようにするのも、予防策として効果的でしょう。
普段から、骨をサポートするサプリや、カルシウムが豊富に含まれているドッグフードを与えるのも、骨折の予防になると言えます。
怪我|膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼は、フローリングで滑って転倒し、脱臼してしまう、高いところからジャンプして、着地の衝撃で脱臼してしまうなどのケースが多く見られます。愛犬が過ごすスペースには滑り止めのマットを敷く、フロアコーティングをするなどの対策をしておくと安心です。なるべく階段の上り下りもさせないようにしましょう。
飼い主さんが抱っこしているときに飛び降りてしまい脱臼することもあるので、立ったままの抱っこは避ける、落とさないようにしっかり抱っこするなど意識しておくことが大切です。
また、肥満は関節に負担がかかるので、膝蓋骨脱臼のリスクが高くなります。愛犬の体型に合った体重管理をして、パテラを予防しましょう。
些細な変化も見逃さないようにすることが重要
初期症状がみられるものもあれば、病気の中には初期症状がほとんど見られないものもあります。そのため、普段から愛犬の様子をよく観察し、異変を感じたらすぐに動物病院に連れて行ってあげることが重要です。
また、日頃から健康診断を受診するようにしておきましょう。元気なうちでも1年に1回、シニア期に入ったら半年に1回(1年に2回)が受診の目安です。
動物病院によってはオプションで詳しい検査を受けることもできます。愛犬の健康状態に合わせてかかりつけ医と相談しておくと安心です。
愛犬の健康を守るためにも、違和感を見逃さず、歳だからと納得せず、健康管理をしてあげてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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