柴犬は凶暴な犬種なの?急に吠える・噛むようになったときに考えられること
小柄ながらも凛々しい佇まいとキリっとした表情で人気の柴犬は、日本でも飼っている人が多いですよね。SNSではクールな見た目に反して可愛らしい姿がたくさん投稿されているので、いつか飼ってみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。そんな柴犬ですが、「急に凶暴になった」という声も・・。そこで本記事では柴犬が凶暴だと言われる理由や突然凶暴になったときに考えられる可能性についてご紹介します。
柴犬の基本的な性格について
まずはじめに柴犬の基本的な性格傾向をご紹介します。もちろん個体差があり、すべての柴犬が以下のような性格であるというわけではないので、参考程度に留めてくださいね。
賢く勇敢
一説には縄文時代から狩猟犬として人々とともに生活していた歴史を持つと言われている柴犬は、飼い主の言うことをよく聞く賢さと勇敢さを持ち合わせています。
むやみやたらに吠えることは少ないと言われている一方で、警戒心は強いので、見知らぬ人や犬に対して吠えることは珍しくありません。
かつてはこの性質を活かして番犬としても活躍していましたが、住宅同士の距離が近い都市部などでは室内飼いだとしても吠え声が近隣トラブルの原因ともなりかねないため、しっかりとしつけることが大切です。
過度なコミュニケーションは苦手
柴犬は愛玩犬ではないので、ベタベタとしたスキンシップや構われすぎるのが苦手だと言われています。愛おしさから行動をずっと観察したりたくさん遊んだりしたくなってしまいますが、じっと見られたり、必要以上に触られたりするとストレスを感じてしまうこともあるので、適度な距離感を持って接するようにしましょう。
ただし、飼育環境が変わって狩猟犬としての役割を持つことも少なくなってきた現在では、飼い主さんとたくさん遊びたい!構ってほしい!という子も増えてきているようです。
綺麗好きで頑固
犬は基本的に綺麗好きな生き物だと言われていますが、中でも柴犬は特に綺麗好きだと言われています。そのため、サークル内に寝床とトイレを設置してしまうと排泄しない子もいるんだとか。寝床とトイレの距離が近いと嫌がる子は多いですが、同じ空間に設置されること自体を嫌がるのはちょっぴり神経質だと言えるかもしれません。
また、自立心が強いので、柴犬の行動に対して頑固だと感じる場面も出てくるでしょう。SNSでよく見かける「拒否柴」は意思の強さが表れていますよね。
柴犬が凶暴と言われることがあるのはなぜ?
関わり方には少しコツが要るものの、忠誠心が強く、理由もなく吠えることはあまりないと言われている柴犬ですが、凶暴な犬だと言われてしまうことがあるのはなぜなのでしょうか。
他人が「柴犬は凶暴」だと思うケース
【吠え】に関して
柴犬は”無駄吠え”をすることはほとんどないと言われています。しかし、先述した通り警戒心がとても強い性格をしているので、不審だと感じたものや相手に対しては激しく吠えてしまうことも珍しくありません。
また、子犬期に十分な社会化ができていないと恐怖や不安を感じやすくなり、もともとの警戒心の強さも相まって、見たものすべてに吠えてしまうような吠えやすい子に育ってしまうケースもあります。
「家の前を通っただけ」、「お散歩時にすれ違っただけ」で吠えられたことのある人は、柴犬に対して「すぐ吠えるから凶暴な犬なのかも」という印象を持ってしまうのだと考えられます。
【噛む】に関して
柴犬限定の話ではありませんが、子犬期の甘噛みを放っておいたことで噛み癖がつき、成犬になって噛む力が強くなったことで、本人は遊んでいるつもりでも誰かに怪我を負わせてしまったり、楽しいという気持ちが高ぶって興奮を抑えられず、遊んでいる相手を本気噛みをしてトラブルを引き起こしてしまうことがあり、凶暴だと認識されてしまっていることもあります。
また、社会化不足による恐怖心や威嚇などの理由から噛みつくケースの場合、本来であれば「噛む」という行動を起こす前にボディランゲージを使って相手に警告のサインを出します。しかし、柴犬はボディランゲージが分かりにくいため相手にうまく伝わりにくく、警告のサインが見逃されてしまうことも多いので、「いきなり噛みついてくる凶暴な犬」だと思われてしまうようです。
飼い主さんが「柴犬は凶暴」だと思うケース
【吠え】に関して
柴犬はもともと狩猟犬として活躍していたので運動量が豊富な犬種ですが、運動欲求が満たされていないと吠えて散歩を要求したり、吠えることでエネルギーを発散しようとすることがあります。
縄張り意識も強いので、たとえ飼い主さんであっても「自分のお気に入りのスペースに侵入された!」と認識すると吠えて追い出そうとすることも。
このような背景が理由で吠えているということが分からないと、「飼い主に対してすごく吠えてくる・・凶暴な犬なのかも・・」と思ってしまいますよね。
【噛む】に関して
狩猟犬・番犬として活躍していた歴史を持つ柴犬は、比較的噛み癖がつきやすい犬種です。柴犬が噛む理由はさまざまで、必要以上に構われることが嫌で「放っておいて!」という気持ちから噛む、ストレスが溜まっていて噛む、何らかの要求があって噛むなどが一例として挙げられます。身体に触られることが苦手な子は多く、ブラッシングやシャンプー、爪切り、歯磨きなどの必要なお手入れを拒んで噛みついてくることも日常茶飯事のようです。
頑固な一面も持ち合わせている柴犬は、特に自分の嫌なことを強要されたり気に入らないことがあると唸ったり噛みついたりすることも珍しくありません。
「これをされるのは嫌なんだろうな」ということは分かりつつも、愛犬があまりにも噛もうとしてくると、悲しくなってしまいますよね。
また、吠える理由と同様、子犬期の社会化不足で恐怖心から他の犬を噛みつこうとする様子を見て、「うちの子は凶暴かもしれない」と悩んでしまう飼い主さんもいます。
噛み癖について詳しくはこちらの記事をチェック!
柴犬が急に凶暴になったときに考えられること
吠えることも噛むことも犬の本能なので、これらの行動自体は自然なことです。行動の程度には個体差はありますが、全く吠えない犬はいませんし、歯の生え始めや生え変わりのむず痒さでどうしても物を噛んでしまう時期もあります。
しかし人間社会で一緒に暮らしていくためには、良いこと・悪いことをしつけを通して教えていかなければいけないので、子犬のうちに根気よくトレーニングをしたというご家庭は多いのではないでしょうか。
一方で、これまでは吠えたり噛んだりすることはなかったのに、急に凶暴になってしまったと悩まれる人も少なくありません。愛犬が突然吠えたり噛んだりするようになってしまったときに考えられる原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
健康上の問題によるもの
怪我や病気による痛みや不快感などが原因で、突然攻撃的になってしまうことがあります。身体を触ろうとしたときに吠える・唸る、噛みつこうとするなどの様子が見られたら、どこか怪我をしていたり、具合が悪いのかもしれません。
この場合、攻撃性が見られるほかにも食欲不振や元気がない、便の状態がいつもと違うなど普段と異なる様子が見受けられることも多いので、かかりつけ医に相談してください。
環境の変化
引っ越しや飼い主さんの結婚・出産による家族構成の変化、近所で大きな工事が始まったなど環境の変化が原因で不安を感じたり気持ちが落ち着かなくなって吠えたり噛んだりするようになることもあります。
新しい環境に慣れるまでは、適度な距離感は保ちつつも気にかけてあげるようにしたり、愛犬のお気に入りの毛布やおもちゃなど柴犬が慣れ親しんだものをそばに置いておくだけでも負担が軽減されます。
大きな音に対してはなるべく静かな部屋にケージを移動する、愛犬が隠れることができる避難場所を作るなどの対策をしましょう。防音カーテンを活用してみるのもよいかもしれません。あまりにもストレスを感じているようであれば、一時的にペットホテルや親戚に預ける、工事が行われている時間にお散歩に行くなどの方法も検討してみてください。
異常行動・行動障害の可能性も
単調に吠え続けるようになったという場合、常同障害と呼ばれる問題行動の症状の1つかもしれません。常同障害は長期間ストレスにさらされることで引き起こされると言われており、意味もなく同じ行動を繰り返してしまう状態です。犬がストレスを感じる理由は上記のような環境の変化はもちろん、長時間の留守番や運動不足、飼い主さんとのコミュニケーション不足、恐怖・不安感など多岐にわたり、ストレスを感じていることが原因で噛みついてくることもあります。
また、認知機能が低下することで理由もなく吠えたり、攻撃性が増して触ろうとすると噛みつこうとするなどの様子が見られることも珍しくありません。認知症は12歳以上で発症率が急増し、すべての犬が発症する可能性がありますが、柴犬は特に発症しやすい傾向にあると言われています。
早期に発見することができれば、症状を緩和させたり進行を遅らせることができるので、愛犬の様子の変化に対して「高齢だから」と決めつけるのではなく、「いつもと違うかも?」と違和感を抱いた時点でかかりつけ医に相談しましょう。
柴犬は「しつけ」と「距離感」が大事な犬種
「柴犬は凶暴な犬」というわけではありませんが、関わり方もしつけ方も洋犬とは異なる部分もあり、飼育難易度は高めな犬種です。柴犬を迎えたいと考えている場合には、まず、警戒心の強さ、噛み癖のつきやすさ、過度なスキンシップは苦手といった柴犬の特性をしっかりと理解しておきましょう。
吠え癖も噛み癖も1度ついてしまうと直すのは相当な根気が必要になるので、「子犬期の社会化」、「噛んでもいいもの・噛んではいけないものをしっかりと教える」ことがとても重要です。
また、飼い主さんに従順な犬種と言われてはいますが、独立心が強く頑固な性格傾向にあるため、自分が気に入らないことはなかなか受け入れることができないところもあります。特に身体を触られることに対して苦手意識を持っている子は多いですが、動物病院での診察や日々のグルーミングなど、身体を触られる機会はとても多いので、さまざまな刺激を受け入れやすい子犬期に「ボディコントロール」のトレーニングをしておくとよいでしょう。
洋犬や愛玩犬に分類される犬と比べると、構われすぎることを嬉しく思わない子も多いです。犬を迎えたら頻繁にスキンシップをとりたい!と思う方も少なくないと思いますが、構いすぎてしまうとうっとうしいと思われたり、「触るな!」「近づくな!」という意思表示で吠えたり噛んだりしてくることもあります。嫌だと感じることを続けてしまうと信頼関係を築くこともできないので、柴犬と関わるときには柴犬の気持ちを読み取り、適度な距離感をキープすることを意識するようにしてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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