アジリティーで愛犬と楽しみたい!基礎知識まとめ
犬と一緒にスポーツを楽しみたい人におすすめしたいスポーツの1つが「アジリティー」です。トンネルをくぐったり、ポールを交互に走ったり、壁をジャンプで飛び越えたりと、アジリティーはフィールドに置かれた障害物を飼い主と犬が一体となってクリアしていくまさに障害物競争。ここでは、犬と飼い主が一体となれるアジリティーについて、実際にどのような競技・スポーツなのかを解説するために、コースや障害物・ルールといった基礎知識をご紹介します。また、アジリティーに向いている犬種・性格や、練習方法から大会エントリーの方法もご紹介しますので、ぜひ愛犬と一緒にアジリティーを楽しむ様子を想像しながら読んでみてください。
目次
そもそもアジリティーってなに?
1978年イギリスのドッグショーでデモンストレーションとしてアジリティーがお披露目されて以来、ヨーロッパを中心に世界各地で人気を集め、現在では世界選手権が開催されているドッグスポーツがアジリティーです。アジリティーには英語で敏捷性、機敏さという意味があり、その名の通り、アジリティーは、フィールドに設置された障害物を決められた時間内にクリアするタイムレースです。「犬の障害物競争」と表現されることも多々あります。
日本では、1994年からジャパンケネルクラブが本格的に競技会を開催しており、現在では世界選手権へ日本代表選手を派遣したり、全国で年間約30回の競技会が開催されています。
愛犬とアジリティーに挑戦する醍醐味
アジリティーの魅力は、犬と犬に指示を出す飼い主(ハンドラー)が一体となれるところにあります。犬が障害物を効率良く素早く越えるために、飼い主は自分の犬の犬種特徴や犬の性格、運動能力、健康状態を把握している必要があります。アジリティーには、犬と飼い主の信頼関係の強化、犬や飼い主さんの運動不足解消といったメリットがあることから、趣味としても人気のあるスポーツです。また、競技を通じて愛犬家の仲間に出会える点も魅力の1つと言えますね。
アジリティーに向いている犬の性格・犬種とは?
競技会を聞くと「ウチのコでも挑戦できるのかな?」と心配に思われる方も多いですが、アジリティーは健康な犬であれば、どんなコでも楽しめるドッグスポーツです。特に、元気いっぱいで走り回ることが大好きな犬や普段は思いっきり走り回ることができない環境で暮らしている犬におすすめできます。また、飼い主とのアイコンタクト、意思の疎通が重要なドッグスポーツであるため、飼い主との絆をより深める方法として最適です。
アジリティーが特に向いている犬種
常にアジリティーの大会で上位入賞を果たしているボーダーコリーやシェットランドシープドッグ、シェパード、ウェルシュコーギーなどの牧羊犬種やトイプードル、ラブラドールレトリバーなどの狩猟犬種、またアクティブなことで知られるジャックラッセルテリアなどがアジリティーに向いている犬種と言えます。
アジリティーが特に向いている性格
アジリティーは、基本的に犬種問わず、どんな犬でも楽しむことができますが、特にアジリティーに向いている犬種や性格として、飼い主と一緒に何かを楽しみたい、飼い主の指示に従うことが大好きな犬種や運動能力が高く日常のお散歩では満足できない犬種にピッタリのドッグスポーツと言えます。またアジリティーを練習することで、待て、コイやアイコンタクトといった基本的なしつけの場になるというメリットもあります。
アジリティー競技会の基本ルールとは?
アジリティーは、犬とハンドラーがペアになってクリアしていく障害物を用いた競技です。決められた順序通りに障害物をクリアしていきますが、競技会のたびに障害物の配置が変わるため、競技直前にハンドラーがコース内を下見し、本番で犬をコース通りに導く必要があります。犬にとってはぶっつけ本番、飼い主さんにとっては限られた時間でコースを下見→愛犬に指示を出す場所・タイミングの検討といった具体的な作戦を練ることが求められます。以下、開催団体によって若干ルールは異なりますが、アジリティー競技会の基本的なルールをご紹介します。
勝ち負けの決め方
犬と楽しむアジリティー競技は、減点方式で審査が行われ、勝ち負けが決められます。コースごとに標準タイムと呼ばれる制限時間が設定されており、標準タイムをオーバーしたり、障害物の前でためらう等をすると減点の対象となります。また、標準タイムをオーバーしたり、障害物の順番を間違えてしまうと失格となってしまう難しさもあります。
失敗がなく標準タイムと呼ばれる制限時間内にクリアしたペアのうち、最もタイムが少ないペアが優勝となります。
どんな犬も楽しめる3つの出場枠
アジリティーは、犬の体高によって、スモール・ミディアム・ラージの3つに出場枠が分るされています。そのため、身体の小さな犬も大きな犬も有利・不利が生じずに楽しむことができます。「スモール」は体高35㎝未満、「ミディアム」が体高35㎝以上43cm未満、「ラージ」が43cm以上となっています。
コース設計で難易度が決まる
アジリティー競技会では、スタートからゴールまで100~200mのコースが設置されます。最低24m×40mの広さのあるリングの中に、15~22個の障害物が設けられ、競技会ごとにコース設計は変わります。また、障害物の配置の仕方などのコース設計の仕方によって難易度が「1~3」までの3クラスに分類されており、どの難易度に出場するかは過去の成績によって決められます。
また、障害物は入る方向が決まっていて逆向きに入ってしまうとその場で失格になってしまいます。飼い主さんの指示出しが非常に重要で、無駄なく走ってもらうためにはどうするべきか?等を考える必要があるため、体力だけでなく頭も使うスポーツと言えますね。
競技種目は2つ
アジリティー競技にはJP(ジャンピング)とAG(アジリティー)と呼ばれる2種目があり、それぞれの競技種目に出場し、順位を決定していきます。「ジャンピング」はハードル・ウォール・タイヤ・ロングジャンプなどのジャンプをしてクリアする障害物がメインで、「アジリティー」は、犬が必ず接触しなければならないゾーンがあるドッグウォーク・シーソー・Aフレームといったタッチ障害が追加されます。
アジリティーで使う基本的な道具とは?
アジリティーでは様々な道具を使用しますが、ここでは基本の同府であるハードル、チューブトンネル、シーソー、スラローム、Aフレーム等、全部で9種類の道具をご紹介します。これらの道具のうち数種類は、柔らか素材で作られた組み立て式のタイプが市販されているので、室内や自宅の庭でも練習できるところが特徴です。
1.ドッグウォーク(歩道橋)
高さ1.2~1.3m、幅30cm、長さ3.6~3.8mの橋で作られた障害物がドッグウォークです。入口と出口に色分けされたタッチ部分があるため、ここに足が触れないと減点となってしまします。
2.Aフレーム
ドッグランなどでも見かけることが増えてきた道具で、2枚の板をAの形になるように組み合わせた障害物です。斜面的には等間隔に細い板で滑り止めがついています。色分けされた部分に犬の足が触れていないと減点になるため、最後までジャンプさせないように指示が必要になります。
3.スラローム
アジリティの花形ともいえる障害で、等間隔に置かれたポールをジグザグに走り抜けます。ポールの数は全部で12本。1本目のポールは必ず犬の左肩から入るようにしなければならないといった細かなルールがあります。
4.シーソー
その名の通り、シーソーを歩いたり走って渡ります。片側が地面に着地していて、犬が中央地点を超えると重心移動が起こり、板の着地が逆側になりますが、このときに途中で横に飛び降りてしまうのは減点の対象になります。
5.チューブトンネル
チューブ状になったトンネルを潜り抜ける障害で、競技ではトンネルに1つ以上のカーブがつけられています。これまで見えていた飼い主さんの指示が見えなくなってしまう競技のため、日頃のトレーニングが非常に重要になります。
6.ロングジャンプ
ロングジャンプは、ジャンプをする障害物ですが、高さではなく距離を意識してジャンプをする必要があります。少し手前に傾いた板(ユニットと呼ばれる)が並んでいるため、それを全て飛び越えます。犬の体高に合わせた出場枠「スモール」「ミディアム」「ラージ」によって、飛び越える距離が異なりますが、ラージの場合には1.2m~1.5mを華麗に飛び越える犬の美しい姿に惚れ惚れします。
7.タイヤ
タイヤは、見た目からもコレだ!と分かりやすいアジリティー道具ですね。チェーンなどで宙につるされていて真ん中が空洞になったタイヤの真ん中をジャンプして潜り抜ける障害です。地面から開口部中央までの長さが体高に合わせて決まっています。
8.ウォール
犬がジャンプをして超えるという点ではハードルと同じですが、ウォールはジャンプした先が見えにくい点が特徴です。ウォールは、その見た目からレンガ・壁とも呼ばれます。
9.ハードル
アジリティーで最もよく使われる基本的な道具が「ハードル」です。人間の高跳びを想像してもらうと分かりやすいですが、バーが少し引っかかると簡単に落ちてしまうため、まずはバーを落とすことなく飛び越えることが第一歩と言えます。競技種目によっては、高さの違う2つのハードルを組み合わせた障害物が設定されることもあります。
アジリティーの練習・トレーニング方法とは?
アジリティーは、屋外はもちろん室内でも練習できるところが大きな特徴です。実際のアジリティー競技では、犬の体高、競技レベルによって部門が分かれ、使用する道具やコースが設定されますが、まずは基本的な道具を使って練習します。アジリティ習得のコツはこまめな練習にあります。何度も繰り返すことで、障害をクリアすることに慣れ、結果としてスピードアップにつながります。
スクールに通うのがおすすめ
アジリティーの練習では、走る、ジャンプするなど障害物を使って練習するため、ある程度の広いスペースと専門の道具が必要となります。そのため、まずはアジリティーの訓練を行っているスクールに通うことがおすすめです。スクールによって教え方が異なるため、相性の良いスクールを見つけることがポイントとなります。
スクール以外での練習方法
ハードルやスラロームなどの道具は、ホームセンターで似ている道具を揃えることができます。また、自作することもできるため、自宅で練習することが可能です。最近では、ドッグランにアジリティー機材を設置しているところもあるので、そのような場所を練習に利用するのも一つの方法です。スクールで習った基本を繰り返し練習することが上達のコツとなるので、スクール以外でも練習できる環境を整えることも大切です。
アジリティー競技会に参加する方法は?
犬がアジリティを本格的に練習する場合は、道具を揃えているしつけ教室や訓練所に通うのが近道です。専門的なしつけ教室や訓練所では、競技会に出るための本格的な練習や競技会の日程、申し込みなどを行っています。また、個人で競技会についての詳細を知りたい場合は、主催する団体に大会日程、参加資格などについて問い合わせをしてみてください。
アジリティーの大会開催団体と申し込み方法
現在、犬のアジリティーの大会は、一般社団法人ジャパンケンネルクラブ(JKC)と、NPO法人犬の総合教育社会化推進機構(OPDES)の2つの団体によって開催されています。どちらの団体も競技種目やルールに大きな違いはありませんが、会員と非会員では参加可能な競技が異なる場合があるため、参加を希望する場合はそれぞれの団体に問い合わせる必要があります。
JKCの場合は、JKCクラブ会員の所有する登録犬が主な対象となります。OPDESは雑種を含むすべての犬に出場資格がありますが、競技会に出場するためにはチームテストに(社会認定試験)に合格する必要があります。
より愛犬との絆が深まるアジリティに挑戦してみては?
アジリティは、犬も飼い主も楽しみながらさまざまなしつけが出来る有効な方法です。特に、運動不足でストレスがたまっている犬やしつけがなかなか入らない犬、犬と一緒に何かを楽しみたいと考えている飼い主にとっては最適なスポーツです。ただ、競技会に出場する場合は、飼い主が犬と同じだけのスピードで走れる必要があります。そのため、飼い主の体力も重要なポイントになりますので、アジリティを楽しみたい!と考えている方は、普段から少しだけ体力づくりをしておいてくださいね。
この記事のライター
ずーこ
動物全般が大好きで現在は猫を飼ってます!犬もだいすきなのでpetanでは犬に関する様々な情報を発信していきたいと思います!!