山岳救助犬ってどんな仕事をしているの?救助犬としての歴史や活動場所について!
災害救助犬の一つとして活躍する山岳救助犬。あまり聞き慣れない名前ですが、登山を趣味としている人はご存じではないでしょうか。今回は、大自然を舞台に活躍する山岳救助犬についてご紹介します。
山岳救助犬の歴史について
山岳救助犬の歴史は古く、現在も世界中で山岳救助犬が活動しています。特に登山が一般的にもブームとなってきた昨今では、今後も山岳救助犬の活躍がより期待されます。
発祥国はスイス
山岳救助犬の発祥国はスイスと言われています。
始まりは17世紀頃で、アルプスでは雪崩による遭難者が多いことから、山岳救助犬が活躍したと言われています。山岳救助犬として選ばれる犬種は主にセントバーナードという犬種が多いです。山岳救助犬の歴史は長く、古くから私たち人間の生活を支えてくれていたことがわかります。
生涯で40人もの遭難者を救った伝説犬
特に有名な山岳救助犬は、バリーという名前のセントバーナードです。1800年に生まれたバリーは息を引き取る1814年まで何と40人以上の人を救ったと言われており、もっとも有名なセントバーナードといわれています。
バリーについてはこれまでに多くの書籍発売や映画製作などがされています。現在では書籍や映画以外にもスイスのベルンにあるベルン自然史博物館にバリーのはく製も展示されています。
山岳救助犬の頭数
日本では山岳救助犬として専任で活動している犬は少なく、ほとんどが地震救助犬や水難救助犬を含めた「災害救助犬」として活動しています。災害救助犬になるための厳しい試験に合格した犬だけが認定を受けており、山岳救助犬として活躍するためにも日々厳しい訓練を受けています。
日本では、山岳救助犬を含めた災害救助犬の頭数は何頭いるのでしょうか?
2021年時点で出動可能な認定犬は153頭
ジャパンケネルクラブ(JKC)によると、1996年2月に最初の認定試験が実施されて以降、現在までに災害救助犬として認定された頭数は816頭、2021年時点での出動可能な災害救助犬は153頭とされています。
しかし、これは地震や水難などの救助も含めた頭数なので、山岳救助犬という特定の仕事をする犬の数は定かではありません。
山岳救助犬が活動する場所について
山岳救助犬は、その名の通り、世界中の山で活動しており、時期や場所によっては寒さの厳しい雪山で活動することもあります。
日本では、ジャーマンシェパードが山岳救助犬として活躍することが多いですが、世界では様々な犬種が山岳救助犬として活動しています。
山岳救助犬の仕事内容について
山岳救助犬は、山を舞台に活躍していますが、その仕事内容はどのようなものなのでしょうか?山岳救助犬の主な仕事内容をご紹介します。
行方不明者の追及
登山をしていると、急な天候変化や滑落、雪崩などによって遭難事故に遭ってしまうことがあります。そこで、活躍するのが山岳救助犬です。山岳救助犬は、山で行方不明になった人をいち早く探し出すことが主な仕事です。
山岳救助犬は2頭1組で行動していた
遭難者の探索時に2頭1組で行動していたそうです。
遭難者を見つけた場合、1頭は大きな体と樽に入ったお酒で遭難者の体をできるだけ温めます。その間にもう1頭が助けを呼びに行き、遭難者は残った山岳救助犬と一緒に救助を待っていたのです。
遭難者の生存率をより高めるためには、2頭1組での行動がベストだったと言えるでしょう。
山岳救助犬が首から下げている樽は何のため?
山岳救助犬が遭難した人を救助する際、首には小さな樽がかかっていました。 この樽の中身には、食べ物や薬などが入ってると思う人が多いと思いますが、実はラム酒やブランデーといったアルコール度数の高いお酒が入っていました。
救助犬が遭難者を発見したからと言っても、すぐに救助の人間を連れてきたリ下山の手助けをすることができませんから、遭難時にもっとも大切なのは体を温めることなので、体をポカポカ温めてくれる高いアルコール度数のお酒が入っているのです。
またお酒以外にも、簡単な救命道具も装備していたと言われています。
山岳救助犬は危険な場面で頼りになる存在
本来は、山岳救助犬が活躍しない世界であるに越したことはありません。
しかし万が一、登山者が山で遭難してしまった際、いざという時に頼りになるのが山岳救助犬です。行方不明者を探すときには、山岳救助犬は人間の8倍程の早さで発見することもあると言われています。
山岳救助犬の存在によって、山を楽しむ人の命が救われることが多々あると言えるでしょう。
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この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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