【獣医師監修】豆柴に与える餌の量ってどれくらい?適量を知って健康に育てよう
肥満や痩せすぎを防ぎ、健康的な体重を維持するためには、愛犬に合った適切な餌の量を把握することが大切です。しかし、いったいどれくらいの量が適当なのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか?「ご褒美でおやつもあげたいけど、その分主食は減らした方がいいの?」と気になる方も少なくないと思います。そこで今回は、愛犬に合った餌の量を知る方法と、餌が多いとき・少ないときに見られるサインなどもあわせてご紹介します。今与えている量がちょうどいいのか知りたいという方はぜひ参考にしてくださいね。
はじめに|豆柴の適正体重について
人間と同じで肥満や痩せすぎは怪我や病気のもとになり得るため、適正体重・体型を把握して体重管理をすることは愛犬の健康を守るにあたって重要なことです。
一方で、犬種標準として提示されている体重や基本情報として掲載されている体重はあくまで目安や平均であり、それぞれの個体差を考慮すると、「〇㎏でなければいけない」と一概に言い切ることはできず、愛犬の体重をなにをもって適正と判断するかは難しいところでもあります。
犬の体高や体重は犬種クラブで定められている基準を参考にすることが多いものの(※)、豆柴においては、日本最大の畜犬団体であるJKC(ジャパンケネルクラブ)や日本最古の犬種団体である日本犬保存会では正式な犬種として認められていないので、犬種標準(スタンダード)が定められていません。また、豆柴を犬種として認め血統書を発行している団体でも体重については規定がなく、どれくらいが望ましいのか目安となる数字は示されていませんが、一般的な傾向として豆柴はオスが約5~6㎏、メスが約4~5㎏程度であることが多いようです。
しかし、先述した通り、犬の体重には個体差があり、標準よりも大きい子小さい子というのは珍しくないので、「豆柴」として扱われている子であっても上記の体重よりも軽い子、重い子もいるかもしれません。
愛犬に元気に育ってもらうには、「犬種標準や平均から外れているからうちの子は肥満気味or痩せ気味」と断定するのではなく、「愛犬」の適正体重を知り、その子に合った体重管理をすることが大切なのです。
※犬種によっては体重が定められていないこともあります。
豆柴のサイズについてはこちらの記事もチェック!
BCSを参考にしよう
愛犬が適正体重かどうか飼い主さんが判断する基準として役立つのがBCS(ボディコンディションスコア)と呼ばれる指針です。適正体重(理想体重)はその子によって変わってくるので、まずは愛犬の体型から「愛犬の適正体重」を把握しましょう。
BCSには5段階評価と9段階評価がありますが、5段階評価であればBCS3が理想体重、9段階であればBCS4またはBCS5が理想体重となります。体重を量らなくても愛犬の身体を見たり触ったりすることで肥満度が分かるため、以下の指針を参考に愛犬の体型をチェックしてみてください。BCS3であれば、理想的な体重をしているということになります。
自分で判断するのが難しければ、かかりつけ医に相談しましょう。
■BCS1:痩せ
脂肪がなく、あばら骨や腰の骨、骨盤が触らなくても視認できる状態。横から見たときに、お腹や腰のくびれが吊り上がっている。
■BCS2:やや痩せ
あばら骨に容易に触れることができる状態。上から見たときの腰回りのくびれが顕著で、横から見たときのお腹の吊り上がりも明白。
■BCS3:理想体重
無駄な脂肪がついておらず、あばら骨に触ることができる状態。上から見たときにあばら骨の後ろに腰のくびれが見られる。お腹もゆるやかに吊り上がっている。
■BCS4:やや肥満
若干の脂肪がついているが、あばら骨に触れることができる状態。上から見たときに、腰のくびれがやや確認できる。お腹周りもやや吊り上がっている。
■BCS5:肥満
脂肪がたくわえられ、あばら骨に容易に触れることができない状態。腰回りや尻尾の付け根にも脂肪があり、くびれがほとんど確認できない。お腹は垂れ下がっている。
引用:環境省自然環境局「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~」P14
出典: www.env.go.jp
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愛犬に合った給餌量を知る方法①計算する
愛犬に合った給餌量を知る方法は大きく分けると「①計算式で算出する方法」と「②食べているときの様子を観察して調整していく方法」の2つです。まずは計算式を用いて算出する方法をご紹介します。
愛犬に合った給餌量を計算してみよう
愛犬に合った給餌量を知るにはまず、「1日に必要なカロリー」を把握する必要があります。計算式を見ていきましょう。
■1日に必要なカロリーの計算式
- 体重の0.75乗×70×活動係数(ライフステージ)
活動係数の一例は下記の表を参考にしてみてください。
式だけ見ると難しそうですが、0.75乗の計算は√キーのある電卓があれば簡単に計算することができますよ。携帯がiPhoneの場合は電卓アプリを横向きにすると√キーが出てくるので、以下の例を参考に計算してみてください。
<例>「6㎏の去勢済みの成犬」
- 体重×3をします。 →6×6×6=216
- 216が表示されている状態で√キーを2回押します。 =3.83
- これに70をかけます。 →(3.83×70)=268
- 最後に活動係数をかけます。 →268×1.6=429KCal
6㎏の去勢済みの成犬の場合、1日に必要なカロリーは429KCalということが分かりました。この数値と、現在与えているドッグフードのカロリーで1日の給餌量を割り出すことができます。
■1日のご飯の量の計算式
- 愛犬が1日に必要なカロリー÷ドッグフードの100gあたりのカロリー×100
100gあたり320KCalのドッグフードを与えている場合、
429(KCal)÷320(KCal)×100=134(g)
となり、134gが1日のご飯の量になります。 メーカーによってドッグフードのカロリーや含まれている成分は異なるので、ドッグフードを変えた場合には、計算し直すと安心かもしれません。
ただし、ここで算出された数字は愛犬の状態に即した量にはなってはいるものの、それでも完璧とは言い切れない部分もあります。例えば「いつもより多めに運動をした!」という日にはご飯の量を少し増やしてあげる必要がありますし、上記の量をあげてみて便の状態が緩い・硬いなどの様子が見られたら少し多い・少ないということになります。
だいたいの目安として与えてみて、愛犬の食べているときの様子や便の状態で調整していきましょう。
適量を把握することができたら計量カップに目印をつけて毎日決まった量をあげるようにしてくださいね。
おやつを与える場合は注意
しつけのご褒美やコミュニケーションで愛犬におやつをあげることがありますよね。しかし、上記で算出した量とは別であげてしまうと、おやつの分のカロリーで1日に必要なカロリー量を上回ってしまい、肥満の原因となってしまいます。
おやつは1日の摂取カロリーの10%程度(多くても20%)に留めるのが目安だと言われているので、肥満を予防するためにも、1日に与えてもいいおやつの量もあわせて計算しておきましょう。
ただし、おやつはあくまでおやつです。総合栄養食と記載のあるドッグフードは、それだけで十分な栄養を摂取することができるように作られています。
おやつの量が増えてしまうとメインの主食を食べなくなってしまうケースもあるので、愛犬の身体のためにも、健康的な食生活を意識することが長生きしてもらうために大切だということを忘れないようにしましょう。
■1日に与えても良いおやつのカロリー
- 1日に必要なカロリー÷10
先ほど算出した例に当てはめると、
429(KCal)÷10(%)=約42.9KCal
となり、1日にあげてもいいおやつのカロリーは42.9KCalです。
「√の計算はよくわからない・・」「手元に電卓がない」という場合には、数字を入力するだけで計算してくれるサイトがあるので、活用してみてくださいね。
■参考:計算ツール
・https://www.vets.ne.jp/cal/pc/dog.html
・https://www.ugpet.com/guide/dog/food/ingredient/calorie/calc
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愛犬に合った給餌量を知る方法②様子を見て調整する
愛犬に合った給餌量を知る方法の2つ目は、ご飯を食べているときの様子を見て量を調整していく方法です。まずはドッグフードのパッケージに記載されている量を与えてみて、食べ残しているのか、物足りなさそうなのかを観察しましょう。
量が多い場合
毎回残しているのであれば、あげすぎているかもしれません。ただし、犬はそのときの気分や一時的な体調不良、ストレス、発情期、高齢化、または病気などの理由から餌を残すことがあるため、「ご飯が残っている=量が多い」ではないこともあります。
また、元気はあるのに残しているという場合、わがまま(好き嫌い)で残しているというケースも。この場合、食べないからと言って人間の食べ物や嗜好性の高いものを与えてしまうと、「気に入らないものは食べなければもっといいものをもらえる」と認識してわがままになるので注意が必要です。
犬は1日~1.5日ほどであれば水のみでも大丈夫だと言われているため、食べるまでそのままにしておくのではなく、15分ほど立ったらフードボウルを片づけましょう。置きっぱなしにしているとフードが傷んで下痢や嘔吐の原因になったり、だらだら食べにも繋がります。「食べないとなくなっちゃう」と思えば諦めて食べるようになるケースもあるので、ご飯の時間はメリハリをつけるようにしてください。
量が少ない場合
ご飯を食べ終わったあともフードボウルを舐め続けていたり、ご飯を催促するような様子が見られるのであれば、量が少ない可能性があります。特に成長期は十分な栄養素を摂取することができないと発育に影響を及ぼすため、愛犬に合ったご飯の量を把握しておくことはとても大切になります。
一方で、早食いをしていて満腹感が得られず「もっと食べたい!」とアピールしているケースも考えられます。丸飲みをしていて食べるスピードが早くご飯を催促してくるという場合には、早食い防止のフードボウルを用意したり、ドッグフードをふやかすなどの対策をしましょう。
また、犬は量よりも回数が増えるほうが喜ぶと言われているので、ご飯が終わってもそわそわしているような様子が見られたら、1回あたりの量を減らしてご飯の回数を増やしてみてみるのもおすすめです。
便の状態も判断基準になる
「便は健康のバロメーター」とよく言われますよね。先ほど少しお話ししましたが、便の状態は健康状態だけではなくご飯の量が適当かどうかの判断基準にもなります。食べているときの様子とあわせてチェックするようにしましょう。
- 耳たぶほどの柔らかさで拾うと便のあとが少し残る…ご飯の量が適切
- 硬くてコロコロしている…ご飯の量が少ない、もしくは水分が足りていない
- 柔らかくて掴めない…ご飯の量が多い
ただし、ダイエットフードなど通常とは異なるフードを食べさせている場合には便の硬さが変わることがあります。
犬の健康維持に必要な栄養素としてドッグフードには食物繊維が含まれていますが、 ダイエットフードは消化吸収しにくくしたり、腹持ちをよくして満腹感を出させるタイプの食物繊維が多く含まれています。
一方で、食物繊維を多くとることで便の量が増え、質感も硬くなりやすい傾向にあり、上記の基準に当てはまらなくなってくるので注意が必要です。
ご飯の量が少ない・多い場合のサインとリスクは?
ご飯の量が少ないとき・多いときに見られるサインと、それによるリスクは下記の通りです。
■餌の量が足りない場合に見られるサイン
- 嘔吐
- 体重が減る(痩せる)
- 便が硬い
餌の量が足りない場合には上記のような様子が見られます。栄養不足による体重の減少や病気・怪我のリスクが高まるほか、特に子犬期は空腹で低血糖症を引き起こす恐れがあるので注意が必要です。
■餌の量が多い場合に見られるサイン
- 嘔吐
- 体重が増える(太る)
- 軟便や下痢をする
餌の量が多すぎる場合に見られるサインは上記の通りです。肥満になると足腰に負担がかかったり、糖尿病や内臓疾患などの病気のリスクも上がります。
餌の量はずっと同じでいいの?
愛犬にとって適切な餌の量が分かったら、生涯同じ量を与え続けてもいいのか気になる方もいるのではないでしょうか?人間と同様、犬も成長するにつれて必要なエネルギー量は変化していくので、ライフステージによって食べる餌の量(必要な餌の量)は変化します。計算式で給餌量を算出する際に参考となる「活動係数」からも分かるように、肥満気味や妊娠中などの状況にも応じて変えていかなければいけません。
「今」の愛犬の状態に即した量を用意するために、ご飯の量は定期的に見直しましょう。
愛犬に合った量を知ることはとても重要!
今回は愛犬に合ったごはんの量を知る方法をご紹介しました。
ドッグフードは「なんとなくこれくらい」という感覚であげてしまうかもしれませんが、犬にとっての数gはわたしたちが思っている以上に大きな差があります。愛犬に合った量を把握するのはなかなか難しいことですが、適量は1匹1匹異なるので、まずはドッグフードに記載されている量を与えて、ボディコンディションスコアで体型をチェックしながら少しずつごはんの量を調整していくようにしてみてください。適量が把握できたら、毎日決まった量をあげるようにしてくださいね。
豆柴は身体が小さいところも魅力の1つではありますが、ペットショップやブリーダーによっては「大きくならないように餌をあまり与えないで」と食事制限を促されることもあるようです。
しかし、生き物である以上大きく育つこともあります。大きくなってほしくないからと言って餌を制限することは絶対にしてはいけないことです。適切な量を与えなければ十分な栄養を摂取できず歯並びが悪くなったり怪我や病気にかかりやすくなることもあります。愛犬に健康で長生きしてもらうためにも、十分な餌と適切な運動量を確保するようにしましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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