ゴルゴ13と関係がある?ことわざ「子供が生まれたら犬を飼いなさい」の意味とは
「子供が生まれたら犬を飼いなさい」ということわざの意味を知っていますか?「犬の十戒」「虹の橋」とともにさまざまなところで紹介され、特に犬の飼い主にとっては、基本知識として広く知られた詩となっています。飼い主さんの多くが一度は聞いたことがあるこの詩ですが、バックグラウンドや作者はご存知でしょうか?今回は「子供が生まれたら犬を飼いなさい」という詩について掘り下げてご紹介していきます。
目次
謎に包まれた「子供が生まれたら犬を飼いなさい」の由来
「子供が生まれたら犬を飼いなさい」ということわざ。正確な形式としては、ことわざというよりも詩の範疇に入りますが、それは次のようなものです。
子供が生まれたら犬を飼いなさい。
子供が赤ん坊の時、子供の良き守り手となるでしょう。
子供が幼少期の時、子供の良き遊び相手となるでしょう。
子供が少年の時、良き理解者となるでしょう。
そして子供が青年になった時、
自らの死をもって子供に命の尊さを教えるでしょう
この詩の由来については、作者不明でイギリスで生まれたと伝えられていますが、最近では日本生まれという説が有力となってきています。
イギリスで生まれたものではない?
この詩の内容は名言やことわざにふさわしい高い説得力を持っています。そのため犬の飼い主の増加、インターネットの普及など時代の変化によって、以前より多くの人がイギリスの原詩を探すようになりました。すると、2005年ぐらいから、同じようにイギリスの詩と言われている前記した「犬の十戒」「虹の橋」は、英語の原詩が検索で見つかるにもかかわらず、この詩だけは見つからないという投稿が、ブログやHPで多く登場してきました。英語の詩が出てきても、それは日本人が日本語を英訳したものばかり。そのため、日本生まれなのでは?という説が浮上してきたのです。
あの『ゴルゴ13』が原作なのでは?
この詩の由来を語る上で避けては通れないのは、実は有名なコミック『ゴルゴ13』です。なぜなら、この詩が初めて登場したのは、ゴルゴ13シリーズの130巻に収録されている「黄金の犬」という一話だからです。その話の最後に次のような一文があります。
●「ゴルゴ13」のとあるページ
「犬はかけがいの無い、人間のパートナーであり、その関係は神秘的ですらある。そんな犬好きの、誰かが言った。
『子供が産まれたら子犬を飼うがいい、
子犬は子供より早く成長して、子供を守ってくれるだろう。
そして子供が成長すると良き友となる。
青年となり多感な年頃に犬は年老いて、死ぬだろう。
犬は青年に教えるのである、死の悲しみを』」
この話の初出は1999年2月、現在もまだ連載中のビッグコミック(小学館刊)において。もちろん作者は劇画家さいとうたかお氏 と さいとうプロです。1968年から続いている同シリーズの中でも、屈指の人気作であり感動作のひとつとなっています。ご覧頂ければ分かるように明らかに前述の一文が「子供が生まれたら犬を飼いなさい」の元となっていると考えられるのです。英語の詩を探しても見つからないのはこれが理由かもしれません。
「子供が生まれたら犬を飼いなさい」に込められている意味
「子供が生まれたら犬を飼いなさい」に込められた意味を理解するには、原作のストーリーを知る必要があります。このシリーズは「ゴルゴ13」と呼ばれているプロのスナイパーが主人公となる話です。『黄金の犬』のあらすじは長くなるため「詳しくはこちら」を参考にしてください。
語りきれない示唆があるかも
この回に描かれているのは、表面的には動物の帰巣本能ですが、底流には、詩の前に書かれている人間と犬とのパートナーシップの神秘性があり、犬好きは涙なしでは読むことができない話となっています。そして最後の締めにこの詩が登場。この回を読み終わるときに、この詩が意味することは、ここでは説明できないほどの、深くて多岐にわたる示唆を含んでいると言えます。
「子供が生まれたら犬を飼いなさい」のストレートな意味
たとえ由来やバックボーンを知らなくても、この詩は多くの意味を含んでいます。この詩の直截的な意味は、言葉どおりの以下の4つと言えます。
犬は・・・
- 子供を守ってくれる
- 子供の遊び相手になってくれる
- 子供の理解者になってくれる
- 命の尊さを教えてくれる
家族にとっての犬の存在とは
犬と暮らした経験がある人ならば、すんなりと理解できるでしょう。犬も子どもも、お互いにお互いのことをかわいがり、面倒を見て、遊びます。また家族のような信頼関係も育まれ、お互いに理解し合います。これらは子どもの成長に伴って持続していき、子どもは犬から思いやりや信頼など多くの大切なことを学びます。
また、犬は短い命なので、普通は子どもより先に逝ってしまいます。子ども、あるいは青年になってもその犬の死によって、命の尊さや死の意味などを伝えてくれます。そして、それは大人も含めて年齢・性別・国籍を問わず、私たち人間すべてに当てはまるのです。
詩の内容は実際にみられる光景?
この詩に書いてある内容は、実際に頻繁に見られる光景と一致しています。犬は赤ちゃんや子どもをすぐに認識します。そして幼い者をいたわり守ろうとします。もし子どもが泣いていれば心配そうな表情をしたり慰めようとします。親が子どものことを怒っているときに、勘違いして間に入ろうとする例もよく見られます。さらに、夫婦喧嘩の仲裁に入ることも珍しくありません。
また、犬はいっしょに遊ぶことも、理解者となることも日常的に行い、それは相手が大人の場合でも同じです。ただし、信頼関係が結ばれていることが大前提です。それさえ構築されていれば、犬はまさに家族の一員のような振る舞いを、時にはそれ以上の行動をみせる動物なのです。
まさに、「子供が生まれたら犬を飼いなさい」は、私たち人間にとって、大きな課題を投げかけている詩であるとも言えるのです。
「子供が生まれたら犬を飼いなさい」から学べること
由来や出所が「ゴルゴ13」という漫画であっても、重要なのはその内容です。犬に関する有名な名言・ことわざとして、日本で多くの人々が受け入れ、しかもこれほど定着しているということは、詩の内容に納得し、賛同している証ですよね。この詩・名言・ことわざが伝えようとしている真意を心に刻んで、犬との生活を過ごしていくことが大切ですね。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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