【獣医師監修】病気が潜んでいることも。愛犬のお尻が臭う原因と対処法
愛犬のお尻が臭う場合は、もしかしたら体調に異常をきたしているかもしれません。犬のお尻が臭くなる原因は様々ですが、最悪の場合は命に関わる病気を発症していることも考えられます。
今回は、犬のお尻が臭い場合に考えられる原因と、発症している可能性のある病気について解説していきます。自宅でできる対処法も紹介しているので、愛犬の健康のためにも、ぜひ参考にしてみてください。
犬のお尻が臭う場合に考えられる3つの原因
愛犬のお尻から、いつもと違う嫌な臭いがする場合に考えられる原因を3つ紹介します。原因により対処法も変わってくるため、どれに当てはまっているのかをしっかりチェックしておきましょう。
考えられる原因|1.腸内環境が乱れている
犬の腸内環境が乱れており、便臭がきつくなっているため、お尻が臭くなっている可能性があります。
食欲不振や吐き戻し、便秘や下痢を併発している場合は、腸内環境が乱れている可能性が高いです。お尻の状態だけでなく、排泄後の便の状態(かたさ、色、臭い)も確認してみるようにしましょう。
考えられる原因|2.「肛門のう」に分泌液が過剰に溜まっている
犬のお尻には肛門のうと呼ばれる器官があり、臭いの強い分泌液が溜まる構造になっています。この分泌液が過剰に溜まり、お尻が臭い原因になっていることがあります。
分泌液は基本的に便と一緒に出ていきますが、健康的な犬でも自力で排出できていない場合があるのです。排出できていない場合、犬はお尻を気にして床にこすりつけるような仕草をすることがあります。一般的に、小型犬や高齢犬は、自力で排出できていないことが多いといわれています。
他の犬がおしりのニオイを嗅いでくるのは正常なこと
愛犬のお尻のニオイを他の犬がしきりに嗅いでくる際に、「うちの犬のお尻が臭いのかな?」と思ったことはありませんか?こういった行動は犬同士があいさつをするために行うものなので、特に気にする必要はありません。コミュニケーションの一環だということを理解しておきましょう。
考えられる原因|3.お尻周りの皮膚に炎症がある
犬のお尻の周りの皮膚が炎症・化膿などを起こしている場合、嫌な臭いの原因になりえます。その場合、お尻が赤くなっていたり、腫れていたり、傷がついていないかを確認してみましょう。
パッと見ただけでは毛に隠れて気づかない場合もあるので、毛をかきわけて皮膚の状態を注意深く観察してみてください。
犬のお尻が異常に臭う場合に考えられる病気
病気によって、犬のお尻が異常に臭う可能性もあります。ここでは、発症する可能性のある病気を3つ紹介していきます。
いずれの病気も、お尻を気にして舐めようとする・地面にこするといった症状がみられることが多いため、愛犬にこういった行動が見られる場合は注意が必要です。
考えられる病気|1.犬の肛門周囲腺腫
肛門周囲腺腫とは、犬の肛門の周辺にある肛門周囲腺に硬いしこりができてしまう病気です。しこりといってもイコール癌というわけではなく、良性のものと悪性のものがあります。自宅で観察していて、この病気が疑われる症状がみられたら、まずは病院で細胞診検査を受けることをお勧めします。
違和感があることから、犬がお尻を強く擦ったりするため、しこりが化膿し、感染症を併発する恐れがあります。去勢をしていない雄の高齢犬が発症しやすいといわれています。
重症化すると排便が困難になってしまい、日常生活に支障をきたすため、早期に治療することが大切です。
考えられる病気|2.犬の肛門のう炎
肛門嚢炎とは、犬の肛門嚢に分泌液が過剰に溜まることで炎症が起きる病気です。症状としては、かゆみや違和感を引き起こします。
長期間放っておくと、肛門嚢が大きく腫れ、炎症が進み、最終的には破裂が起こります。これは「肛門嚢破裂」と呼ばれ、皮膚を突き破って血や膿が出てくる危険な状態です。
したがって、犬が違和感を感じているという初期段階での早期治療が重要とされます。
考えられる病気|3.犬の肛門のうアポクリン腺癌
アポクリン腺癌とは、犬の肛門のうにあるアポクリン腺が癌化してしまう病気です。みられやすい症状としては、肛門の周りの皮膚の赤み、炎症、血便などが挙げられます。
がんがリンパ節や他の臓器に転移すると、症状が重症化してしまう可能性が高いと考えられます。この病気は転移率が高いため、早期発見がなによりも大切といえます。些細な異変にも気づけるよう、普段からお尻の状態を観察しておきましょう。
犬のお尻が臭い場合に飼い主ができること
愛犬のお尻の臭いを改善するための対処法を紹介します。いずれも臭いの原因を見つけてから行うようにしてください。
対処法|1.食餌の種類を変えて、腸内環境を整える
お尻の臭いの原因が便臭だった場合は、主食となる食餌の種類を変えて腸内環境を整えてあげましょう。腸内を整えるのには、乳酸菌や酵素を含んだサプリメントや食餌がおすすめです。
また、その子の体質にもよりますが人間の食べ物を控えるのも、腸内環境を整えるのに効果的です。
対処法|2.皮膚の炎症に気づいたら動物病院へ
皮膚炎による化膿が原因でお尻が臭くなっている場合は、すぐに病院へ連れて行きましょう。皮膚が炎症を起こす原因は数多く考えられ、適切な処置を行わないと悪化する恐れがあります。
そのため、自己判断で治療しようとせず、あやしい症状がみられた場合には獣医師に相談するようにしましょう。また、アレルギーに起因する炎症などが疑われる場合は、犬のアレルギー血液検査を行ってみるのも効果的です。
対処法|3.肛門腺絞りをする
肛門嚢に分泌液が溜まっていることが原因だった場合、月に1回程度「肛門腺絞り」のケアを行いましょう。肛門腺絞りとは、自力で分泌液を排出できない犬のために、飼い主さんが代わりに肛門腺にたまっている分泌液を絞り出してあげるという一般的な日常ケアです。
愛犬の体調の変化を見逃さないようにしましょう
犬のお尻はとてもデリケートな部分であるからこそ、今の健康状態を反映しやすい場所です。日ごろから注意深く観察し、些細な異変にも気が付けるようにしておきましょう。
また、普段の状態と比べて臭いと感じた場合は、原因を探るためにも一度病院へ連れて行くことをおすすめします。平気だと思っていても、重大な病気が隠れている可能性があるからです。
愛犬のお尻に気を配り、長く健康的な生活を送れるようにしてあげましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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