犬のおしっこの回数や量は?マーキングや排泄をしない原因について
「犬は1日にどれぐらいおしっこをするの?」「外で排泄させてもいいの?」
これから犬を飼う方や犬を飼い始めたばかりの方は、こういった疑問を抱えているのではないでしょうか。
犬の排泄について知っておくことは、愛犬の健康管理に役立ちます。
この記事では、犬のおしっこやマーキング、排泄をしない場合に考えられる病気について解説します。
目次
犬のおしっこの回数や量
愛犬の普段の排泄回数や量を知っておくと、体調の変化や病気の兆候に早く気づけます。
月齢・年齢ごとに紹介していますが、個体差がありますのでだいたいの目安にしてください。
子犬の場合
子犬のおしっこの回数は、1日あたり7〜10回程度です。
0ヶ月〜6ヶ月の子犬は膀胱が未発達なので、たくさんの尿を溜めておくことができず、トイレの回数も多くなります。
「子犬の月齢」=「おしっこの間隔/時間」が、1日の目安になります。
例えば、月齢が3ヶ月の子犬の場合は3時間に1回です。
24時間のうちに8回程度となります。
生後6ヶ月をすぎると、成犬と同じ3〜5回程度に落ち着いていきます。
成犬の場合
成犬のおしっこの回数は、1日あたり3~5回程度です。
膀胱の機能も発達し、尿を溜められるようになるので、1日のトイレの回数も子犬の頃より減っていきます。
ただし、犬種の違いや生活環境によって、回数に差があります。
例えば、お水をしっかり飲む子とお水をあまり飲まない子、室内で過ごしている子と外飼いの子では、おしっこの回数が変わってきます。
こうした体質や環境によって、中には1日10回近くおしっこをする犬もいます。
平均の回数にこだわりすぎず、愛犬の普段の排泄を把握しておきましょう。
老犬の場合
老犬のおしっこの回数は、1日あたり5~6回程度です。
小型犬か大型犬かにもよりますが、だいたい7〜8歳がシニア期の始まりです。
シニア期に入ると、成犬の頃よりもおしっこの回数が多くなりますが、これは
内臓機能の低下が原因の一つと考えられています。
膀胱に尿を溜めておけなくなり、トイレを失敗することも増えてきます。
もし愛犬のトイレの失敗が目立つようになったら、おしっこを我慢したり失敗したりしないで済むように、飼い主さんが手助けをしてあげましょう。
おしっこの量
健康な犬が1日にするおしっこの量は、体重1kgあたり20〜45mlです。
1日のおしっこの量が体重1kgあたり50mlを超えると「おしっこの量が多い」といわれています。
愛犬のおしっこの量を知りたい場合は、使用前と使用後のトイレシートの重さを比べることで、だいたいの量を計測することができます。
犬のおしっこの回数と量は、月齢・年齢・生活環境、体質や健康状態によって個体差があります。
一概に回数や量を決めることはできないので、毎日の愛犬のおしっこをチェックしてみましょう。
犬の散歩は排泄を済ませてからがマナー
マナーというとなんだか息苦しい感じがしますが「周りの人たちへの気遣いと思いやりが、犬と人の幸せに繋がりますよ」ということです。
犬との幸せな暮らしのために、ぜひ現代のマナーを取り入れましょう。
散歩は運動が目的
散歩の際におしっこをさせてしまうと、トラブルを招く可能性があります。
環境省 平成22年住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドラインでは”散歩のときは必ず処理袋を携行し、ふんは自宅に持ち帰って処理をしましょう。場所によっ ては排尿の跡を水で洗い流すなどの配慮も必要です。 日ごろから、自宅で排泄を済ませてから散歩に行くような習慣をつけましょう。”という記載があります。
ガイドラインが設定された理由は、散歩中の犬のおしっこによる苦情やトラブルが多いからです。
住宅の塀や電柱はおしっこで汚れたり腐食しますし、子供が遊ぶ公園や人が直接座るような芝生におしっこをすると不衛生です。
人と犬に共通して感染する病気もあるので、衛生面への配慮が必要です。
犬の散歩はあくまでも「運動が目的」です。
現代のマナーでは、排泄させるために散歩に行くという習慣を見直すことが求められています。
散歩前にトイレシートで排泄を
愛犬とのお散歩は「トイレシートで排泄を済ませてから」出かけましょう。
厳しいマナーだと感じる人もいるかもしれませんが、マナーは時代とともに変化していくものです。
例えばタバコも、昔は会社のオフィスや電車の中で吸えましたが、今は喫煙場所は限定されています。
「犬のおしっこは外で」という考え方も時代に合わせて変わっています。
外での排泄が習慣になっていると室内でトイレをするのを嫌がる愛犬もいますので、少しずつトイレトレーニングをしていきましょう。
室内でトイレができると、愛犬にも飼い主さんにも以下のようなメリットがあります。
今後の暮らしのためにも、ぜひ室内での排泄を習慣にしましょう。
- いつでも自由にトイレができるので健康に良い
- 暑い日・寒い日・雨の日に無理に外に出ないで済む
- 飼い主さんや愛犬の体調が悪い時も、家でゆっくり過ごせる
- 愛犬が年老いた時にケアがしやすい
犬が散歩中に排泄をしたくなったら
犬が散歩中に排泄したくなったら、以下の対応をしましょう。
- トイレシートを敷く
- お水で流す
- うんちは持ち帰る
詳しく紹介していきます。
トイレシートを敷く
外でもトイレシートを活用しましょう。
愛犬が排泄しそうな動きをしたらトイレシートを敷き、その上で排泄させましょう。
「排泄はトイレシートでするもの」という一貫性のある習慣になりますので、愛犬が混乱することもありません。
お水で流す
地面におしっこをしてしまった場合は、お水で流しましょう。
ミョウバン水など、消臭効果のあるお水を使うのもおすすめです。
できるだけ匂いが残らないように、しっかり流しましょう。
うんちは持ち帰る
愛犬のうんちの処理は、きちんと対処されている飼い主さんが多いです。
普通のビニール袋とトイレットペーパーでもかまいませんが、匂いの漏れない袋もありますので、お出かけ先や予定に合わせて使い分けるのがおすすめです。
こうしたマナーは東京都や新潟県など、都心部・地方を問わず啓蒙されています。
愛犬の排泄をどこでさせるかということを、飼い主として考えることが大切です。
犬がおしっこでマーキングをする理由
犬はどうしておしっこでマーキングをするのでしょうか?
ここではマーキングの意味について解説します。
縄張り
犬のマーキングは、自分の縄張りをアピールするためです。
男の子の方が縄張り意識が強いとされていますが、女の子もマーキングをすることがあります。
足をあげておしっこをするのは、より高いところに匂いをつけることで大きく強い犬の縄張りだと主張するためです。
ストレス
ストレスや恐怖のせいでマーキングがひどくなる場合もあります。
人は悲しさや恐怖で涙を流すと、涙と一緒にストレス物質も排出されます。
これと同じように、犬も排泄することでストレスを軽減しているという説があります。
もし愛犬が室内でマーキングをする場合は、以下のことが考えられます。
- 自分がリーダーだと主張している
- 環境の変化や何かしらのストレスを発散しようとしている
- 強い恐怖心を感じている
室内でのマーキングは困りものですが、まずは愛犬のストレスや恐怖を取り除いてあげましょう。
病気の可能性も
男の子・女の子を問わず「急にマーキングが始まった」「マーキングの回数が増えた」という場合は、膀胱炎などの病気の可能性があります。
炎症のせいで膀胱が刺激されて、膀胱に尿が溜まっていなくてもおしっこを出そうとしてしまうのです。
マーキングなのか膀胱炎なのかは、尿検査ですぐにわかります。
もしもいつもと違うマーキングに気づいたら、かかりつけの病院を受診しましょう。
犬がおしっこをしない原因
体重1kgあたり7ml以下になると「乏尿」、2ml以下になると「無尿」と言われます。
1日おしっこが出ていない、出ても量が少ない場合は、病気のせいでおしっこが出なくなっていることがあるので注意が必要です。
考えられる病気についてみてみましょう。
尿路結石症
ミネラル成分が結晶になって尿の中に混じるのが、尿路結石症です。
固まった結石が腎臓・膀胱・尿道を傷つけてしまい、炎症が起こっている状態です。
結石が尿道を塞いでしまうため、
・愛犬が頻繁にトイレに行くのに尿が出ていない
・歩きながらポタポタとおしっこが漏れる
などの症状が見られます。
細菌性膀胱炎(膀胱尿道炎)
細菌性膀胱炎は、尿の中にある細菌が炎症を引き起こしている状態です。
膀胱炎になると強い残尿感を感じるため、
・何度もトイレに行くがおしっこがほとんど出ていない
・そわそわと動き回る
という行動がみられます。
膀胱の粘膜で出血が起きると痛みを伴うため、
排尿時にキャンと鳴いたり、おしっこに血が混じって赤くなることもあります。
腎臓病
尿は腎臓で作られているため、
腎臓病になると尿を作ることができず、体内の老廃物を排出できなくなります。
・急性腎障害の場合
おしっこの量が少なくなる「乏尿」の状態とともに、食欲がなくなり嘔吐やげりなども起こります。
尿路結石症や膀胱炎、前立腺肥大症などの他の病気が要因で、急性腎障害が引き起こされることもあります。
2〜3日の短期間で症状が悪化し、痙攣や体温低下から死に至る場合もあるため、注意が必要です。
・慢性腎臓病の場合
慢性腎臓病はゆっくりと長い期間をかけて進行します。
高齢の犬がかかりやすい病気です。
急性腎障害とは違い「お水を飲む量・おしっこの量が増える」という特徴があります。
また、痩せてしまったり貧血を起こしてしまったりといった症状もみられます。
完治することのない病気のため、病気の進行を遅らせる点滴や薬を投与してケアします。
前立腺肥大症
男の子の高齢犬に多い病気ですが、若い犬でも発症することがあります。
腫瘍によって前立腺が大きくなり、それが尿道を圧迫するせいで排尿がしづらくなる病気です。
・うまく排泄ができず尿漏れしてしまう
・トイレに行ってもおしっこが出ない
といった症状がらみられます。
前立腺肥大は去勢手術によって予防できます。
去勢手術に悩む飼い主さんも多いですが、将来の病気を防ぐことを考える必要があります。
犬がおしっこをしない場合は病院へ
おしっこの量の減少や以下のような症状が一緒に出ているときは、命にかかわることもあります。
こうした状況になった時は、迷わず病院を受診しましょう。
- 食欲がない
- 嘔吐や下痢の症状
- 尿に血が混じっている
食欲がない
犬は腎臓に問題がおこると水を飲む量が増え、ご飯を食べなくなることがあります。
「お水はたくさん飲んでいるのにおしっこの量が少なく、食欲がない」というときは、腎臓の病気が疑われます。
嘔吐や下痢の症状
病気によっておしっこが排出されなくなると、老廃物や毒性物質が血液中に残ってしまいます。
この場合、嘔吐や下痢の症状があらわれることがあります。
尿に血が混じっている
尿路結石などの場合、膀胱や尿道が傷ついて出血し、おしっこに血が混じることがあります。
まとめ
トイレの回数や量、マーキングの癖など、愛犬の普段の状態を把握していると、病気の予兆に早く気がつけます。
急性腎障害の場合、自宅で様子をみている間に症状が急変して亡くなってしまうケースもあるため、1日おしっこが出ていないときや、他の体調不良の症状も合わせて出ているときは、すぐに病院を受診しましょう。
この記事を愛犬の健康チェックに役立てて、楽しい毎日をお過ごしください。
この記事のライター
sachi
穏やかな性格の愛犬とまったり暮らすドッグライターです。魅力たっぷりなワンちゃんたちの癒され記事をお届けします。
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