【獣医師監修】去勢手術・避妊手術後は犬の性格が変わる?術後の注意点と接し方について
犬の去勢手術・避妊手術は日本では近年一般的になりつつありますが、身体的なメリット、デメリットのほかに、手術をすることで愛犬の性格が変わる可能性があることをご存知でしょうか?今回は、去勢手術・避妊手術をすることによって愛犬の性格が変わるのか、変わるならどう変わるのかということをご紹介していきます。犬の去勢手術・避妊手術は、飼い主さんが愛犬の幸せを考えるうえで判断しなければならない難しい問題のひとつです。もし手術をするかしないか迷っている方がいらっしゃったら、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
去勢・避妊手術をすると性格が変わる?
去勢手術・避妊手術をしたら、攻撃的な一面のあった愛犬が穏やかになったという話を聞いたことはありませんか?一見、性格に関係がなさそうな去勢手術・避妊手術ですが、本当に愛犬の性格が変わることはあるのでしょうか。詳しく解説していきます。
変わることもあれば変わらないこともある
去勢手術・避妊手術をすることで犬の性格が変わると言われることもありますが、性格が変わる子もいれば変わらない子もいます。
また、性格が変わるといってもガラリと変わるわけではなく、「何となく違う気がする」という程度のことが多いようです。そのため、「性格が変わったように見えることもある」という言い方の方が正しいかもしれません。愛犬の性格が変わったように見えるのには、ホルモンの分泌の変化が考えられます。
オスの場合、去勢手術により精巣を摘出すると、本来そこから分泌される雄性ホルモンであるテストステロンの分泌が行われなくなります。その結果、マーキングなど雄性ホルモンが原因と考えられる行動が減り、今までの行動と違って見えることから「去勢手術をすると性格が変わる」と言われています。
メスの場合、発情期のストレスが抑えられるため、そわそわしたり、反抗的になったり、逆に甘えたりするなどの気性の変化が緩やかになる傾向にあります。ただし、メスは攻撃性が高い、縄張り意識が強いという子はオスと比べて多くないことがほとんどなので、避妊手術による性格の変化は分かりにくいでしょう。
去勢・避妊手術後の性格はどう変化する?
一言で性格が変わるといっても、具体的にどう変わるのか気になるところですよね。ここからは、実際に愛犬の性格がどう変わるのかを見ていきましょう。
問題行動が少なくなる
去勢手術後には、性ホルモンによって起こるいわゆる「問題行動」が少なくなるとも言われています。具体的には、発情期の女の子を追いかけて脱走する、縄張りをめぐるケンカ、マーキングなどが減る傾向にあります。
男の子の場合、片足をあげておしっこをさせたくないという考えから、足を上げるおしっこスタイルが定着する前に去勢手術を行いたいと考える飼い主さんも多いです。しかし、既に足を上げておしっこをするスタイルが定着してしまっている場合、去勢手術を行ってもそのスタイルは続いてしまうことがほとんどだと言われています。
愛犬が女の子の場合、避妊手術による発情時の問題行動の抑制もありますが、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍などの病気の予防になるというメリットが大きいです。
性格が穏やかになる
去勢手術、避妊手術をした犬は、手術前よりも穏やかになると言われることが多いです。性ホルモン分泌の変化で、発情から開放され縄張り意識も弱まると言われています。
避妊手術の場合も同様で、臆病だった子が甘えん坊になったりします。
手術によってネガティブな変化が起こるとも
犬の去勢手術・避妊手術はアメリカを中心に推進する動きや見方が活発で、その流れを受けて日本における認識も変化している一方、実はヨーロッパ諸国では動物福祉の観点から正反対の認識もあるとされています。つまり、犬に去勢手術や避妊手術を施すことに反対する意見が多く、実際に手術の実施割合も大変低くなっています。
2017年に発表された研究結果によると(※1)、犬の去勢手術によって攻撃性がむしろ高まり訓練性の低下が確認されたという報告があります。一概に、去勢手術・避妊手術が犬の性格にポジティブな変化を与えるだけとは言えないことが、この研究から分かっています。
去勢手術・避妊手術をしたからといって必ずしもプラスの結果が生まれるとは限らないのです。
手術のあとに愛犬と接するときの注意点
去勢手術、避妊手術の手術時間は1〜2時間ほどなので、日帰り手術のこともあれば、動物病院に1〜2泊することもあり、病院によって異なります。愛犬が無事手術を終えて帰宅したら、まずは慣れない場所で心細く過ごしてきた愛犬を温かく迎えてあげましょう。ここからは、手術後の注意点をご紹介していきます。
1.しっかりと愛犬を観察する
全身麻酔をして手術という大きな仕事をこなしてきた愛犬は、そのストレスやショックで食欲をなくしているかもしれません。まずは、自宅でゆっくりと過ごしリラックスさせてあげましょう。身体にも少なからずダメージを負っている愛犬に過度に構うようなことはせず、優しくなでてあげたり、そばで見守ってあげてください。
また、手術のあとはエリザベスカラーや術後服などを装着していることが多いです。そのストレスなどの影響でいつもと違う様子が見られる場合も考えられます。ただし、翌日になっても元気がなくご飯を食べないなど飼い主さんから見て心配な症状が続くようなら、動物病院に連絡し指示を仰ぎましょう。
2.飼い主さんはいつもどおりが一番
手術のあと愛犬をお迎えに行ってすぐに、「痛かった?」「怖かったよね」などと飼い主さんが騒ぎ立てるのはNGです。飼い主さんが心配そうにしていると、その不安を愛犬も感じ取ってしまい負のスパイラルに陥ってしまうことがあります。心配な気持ちは押し殺して、手術前と同じいつもどおりの態度で愛犬を迎えてあげましょう。普段と変わらない飼い主さんの振る舞いに愛犬は安心するはずです。
3.体重の増加に注意
去勢手術、避妊手術を行うことで男の子、女の子ともに性ホルモンが分泌されなくなるため、活動量が減り、その結果、基礎代謝量も低下します。
そのため、手術前と同じ量の食餌を与え続けると、知らない間に体重が増えてしまっているということになりかねません。一度太ってしまうと、ダイエットはとても大変。さらに、肥満は万病の元とも言われ、肥満が原因でさまざまな病気にかかりやすくなってしまいます。手術後は、今まで以上に愛犬の体重管理をしっかりと行いましょう。
愛犬の性格が変化したとしても愛情たっぷりに接する
みなさんの愛犬も、去勢手術、避妊手術のあとに性格が変わったと感じることがあるかもしれません。そしてそれは、飼い主さんが望んだような変化ではないこともあります。ですが、愛犬の本来の姿は変わっていないはず。手術による影響が多少あったとしても、手術後の愛犬を思いやり、今までと変わらず愛し続けましょう。
参考サイト
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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