犬の「おへそ」はどこにあるの?「でべそ」は臍ヘルニアという病気の可能性も
人間のおへそは場所がわかりやすいですが、犬は被毛で覆われていることが多く目立ちません。そのため犬のおへそはどこにあるのか、そもそもおへそがあるのか疑問に思ったことはありませんか?哺乳類である犬にもおへそはあり、まれに「でべそ」な子もいます。犬の「でべそ」には病気が潜んでいる可能性もあるので注意が必要です。今回は、犬のおへそについて解説していきます。
犬の「おへそ」はどこにある?
犬のおへそは胴体の真ん中あたり、お腹の毛が薄い場所にあります。なかにはへその緒が切られた時の傷跡が残っている子もいるので、よく観察すれば見つけることができます。しかしお腹はデリケートな部分であるため、嫌がる場合は無理に探さないようにしてください。
犬の「おへそ」の役割は人間と同じ!
おへそは赤ちゃんが母犬のお腹の中にいた時に、母犬と赤ちゃんを繋いでいたへその緒の跡です。母体から栄養を貰う道として活用されていました。お腹面にあるためなかなか見る機会はありませんが、犬のおへそは平なため見つけにくいです。
「へその緒」は栄養の通り道
へその緒の役割は人と同じく、母犬から赤ちゃんへ栄養や酸素を血液によって運ぶ器官です。犬の妊娠期間である2ヶ月ほど活躍してくれます。
生まれた時の「へその緒」
子犬は羊膜に包まれて生まれます。母犬は羊膜を口で破ると、へその緒を歯で噛んで切り、胎盤を食べます。母犬がへその緒を噛み切らず放置してしまうと赤ちゃんが危険な状態になりますので、そのような場合は飼い主が子犬のへそから1、2cmほどの位置でへその緒を縛り、清潔なハサミで切ってあげる必要があります。その際、短く切りすぎると血が止まらなくなることがあり、長いと赤ちゃんや母犬が気になっていじってしまいます。
また、まれに母犬がへその緒を噛みちぎりすぎて子犬の皮膚まで噛み傷つけてしまうトラブルもあるそうです。
へその緒は獣医師やブリーダーさんに処理してもらうのが安心ですね。
犬の「でべそ」は注意が必要
臍ヘルニアの臍とは、へそのことです。でべそだからと言って必ずしも臍ヘルニアであるというわけではありませんが、臍ヘルニアだった場合、放っておくと重篤な病気を引き起こす可能性もあります。
臍ヘルニアとは
出産後、噛みちぎられた「へその緒」は、その後乾燥していき1週間ほどでとれます。だいたい生後半年までには自然に閉じていきますが、臍ヘルニアはへその部分が開いたまま、本来身体の中にあるべき内臓や脂肪などの一部が外に飛び出してしまっている状態で、一見するとでべそのように見える病気です。
ヘルニアが大きい場合、放置してしまうと腸閉塞を引き起こしたり締め付けられて血行不良になることもあるため注意が必要です。
原因は特定されておらず、生まれつき臍ヘルニアになってしまうことが多いようです。子犬のときにヘルニアであっても、小さければ成長するにつれ治ることも少なくありません。穴が塞がらなかったり、心配な方は獣医師に相談しましょう。
臍ヘルニアになりやすい犬種としては、プードル、チワワ、ペキニーズやキャバリア、シーズー、日本テリア、アメリカンコッカースパニエル、バセンジーなどがあります。発症しやすい犬種のなかでも特にメスに多く見られるようです。
後天的に臍ヘルニアになることもある
まれに後天的に臍ヘルニアになる子もいます。後天性臍ヘルニアは症状がなかった臍ヘルニアが成長や肥満、外傷、妊娠などで腹圧が上昇して発生するケースがほとんどです。厳密には先天性とほぼ同じですが、発生時期の区別のためにそう呼ばれています。
臍ヘルニアの治療は手術
臍ヘルニアの治療には手術を行います。犬への負担を減らすため避妊手術などと同時に行うこともでき、手術後は1週間から10日で抜糸が行われます。
臍ヘルニアのチェック
臍ヘルニアをチェックする方法はいくつかありますが、最終的には獣医師の判断となります。へその中心を押してみた時に、奥に穴の淵を感じる、腹圧がない時に凹んでいる時がある、大勢により膨らみが変化するなどの場合は臍ヘルニアの可能性が高いようです。
そうはいっても素人目に判断するのは難しいので、愛犬が「でべそ」かもしれないと不安に思ったら、一度問題がないか動物病院で診察を受けてみましょう。
「へそ天」はリラックスしている証
お腹面を上にして寝ている状態をへそ天といいます。リラックスしている証なので、飼い主としては嬉しい仕草ですよね。その無防備さからも可愛いと大人気なポーズですが、お腹は大切な部位なので、慣れていてもへそ天で寝てくれない場合もあります。
インスタグラムやツイッターなどにはへそ天姿のペットの写真がたくさん投稿されているので、癒されたい方、気になる方は検索してみてくださいね。
へそ天に関する記事はこちらもチェック!
犬の「おへそ」を見てみよう
犬にとってお腹には大事な臓器が詰まっており、守らなければならない場所です。そんなお腹を見せるのは信頼してくれている証です。お腹を触って嫌がらないのであれば、観察のチャンス!毛をかき分けておへそを探してみてくださいね。
この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。
飼育に関する知識に関する記事
健康管理/病気
【獣医師監修】犬の血糖値の正常範囲を知っておこう|高い・低い場合に考えられる代表的な病気も
皆さんは、犬の血糖値について気にされたことはありますか?子犬の低血糖は危険といった話はよく知ら...
2023年8月4日
健康管理/病気
【獣医師監修】愛犬が火傷を負ってしまったらどうすればいい?正しい対処法と予防法を知ろう
皆さんは熱湯を扱う時や調理の際に、しっかりと愛犬を離れた所に隔離していますでしょうか? 犬の...
2023年7月24日
健康管理/病気
【獣医師監修】犬の肛門腺絞りのやり方と頻度が知りたい|愛犬の健康を保つために知っておきたいケアについて
『肛門腺絞り』というケアは、愛犬と暮らしている方ならきっと誰もがご存知かと思います。ですが、初...
2023年6月30日
犬の生態/気持ち
【獣医師監修】犬と汗に関する基礎知識|人間の汗腺との違いを知って暑さ対策に役立てよう
気温が高くうだるような暑さの中でも、犬が人間のように汗をかいている姿はほとんど見ることはありま...
2023年6月26日
健康管理/病気
【獣医師監修】犬が発熱しているときのサインとは?症状や考えられる病気を解説します
人間と同じように、犬も病気によって発熱することがあります。しかし問題なのは、人間と犬は生態が異...
2023年6月7日