【獣医師監修】犬が快適に過ごせる湿度を知っておこう|愛犬の健康のための湿度管理
愛犬のための熱中症対策や寒さ対策など、温度管理をしっかり行っている方は多いと思いますが、見落としがちなのが湿度対策です。湿度が高すぎたり低すぎると、人間と同様、犬も体調を崩しやすくなってしまいます。そこで今回は、愛犬が快適に過ごせるための湿度対策法を紹介します。
湿度が高いと不調をきたしやすくなる
梅雨から夏にかけての湿気の高い時期や、冬の乾燥しているシーズンは人間も体調を崩しやすくなる季節ですが、それは犬にとっても同じで、湿度が高すぎたり低すぎることで病気にかかりやすくなってしまいます。ここでは、一年を通した湿気の変化によって起こる、犬の体調変化について解説します。
梅雨や夏の時期に起きやすい犬の体調変化
梅雨は湿度だけでなく気温も高いため、体温調節が苦手な犬は何もしなくても体力を消耗しています。また、雨が続くと毎日散歩に行けずにストレスがたまり、体の不調を引き起こすこともあります。
湿度が高いと犬は皮膚疾患を起こしやすくなる
梅雨や夏の時期に湿度が高くなると、犬は皮膚疾患にかかってしまうリスクが大きくなります。
犬は身体が被毛で覆われているので、湿度が高い環境では菌が増殖して、皮膚疾患を起こしやすくなってしまいます。
細菌であるブドウ球菌が増殖して膿皮症(のうひしょう)という病気を起こすと、強い痒みが発生します。また、マラセチア性の皮膚炎も梅雨の時期に多い病気です。マラセチアは健康な犬の皮膚にも常在している真菌(カビ)です。通常は特に問題のないものですが、犬の免疫が落ちていたり、湿気によってマラセチアが異常に増殖することで、外耳炎や皮膚炎を引き起こす原因となります。
犬が快適に過ごせる湿度について
ここでは、犬が快適に過ごせる適切な湿度について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
犬が快適に感じる湿度
犬種によって少し違いはありますが、一般的に犬が快適に感じる湿度は40%〜60%です。室内で犬と暮らしている場合は、気温だけでなく湿度もきちんと管理してあげる必要があります。
ただ、犬が呼吸器系にトラブルを抱えている場合は、湿度70%前後が適切な場合もあるので、犬の体調や状態に合わせて、快適な湿度を判断することが大切です。
冬の湿度が低すぎる環境は、水分不足やウイルスに罹患する確率が高くなり、夏のジメジメした湿度は、熱中症のリスクが高まったりダニやカビが増殖します。そのため、季節や湿度の変化に応じて湿度対策をしていきましょう。
犬が快適に過ごせる湿度対策【梅雨~夏・冬】
湿度が高すぎても低すぎても、犬は快適に過ごせません。そのため、梅雨から夏にかけての湿度の高い時期と、冬の乾燥した時期に合わせて、湿度対策をする必要があります。ここでは季節ごとの湿度対策方法を紹介します。
梅雨から夏にかけての湿度対策
梅雨から夏に、犬が健康で快適に過ごせるための湿度対策は以下のとおりです。
- 除湿器やエアコンを使う
部屋の日当たりが悪い場合は、除湿器やエアコンの除湿機能を使って湿度を下げるのもおすすめです。エアコンは室内温度や室内湿度を一定に保つ機能が高いので、安定した湿度管理を行えます。エアコンの電気代が高額になってしまう場合、気温があまり高くない日には除湿器だけを使うと比較的経済的です。
- 植物を外に出す
部屋に観葉植物を置いている場合は土から水分が出ているので、湿度の高い時期は外に移動するのがおすすめです。
- 換気を徹底する
梅雨の時期は難しい場合もありますが、晴れている日は窓を開けてマメに換気をして風通しをよくしましょう。この時期は、換気扇をこまめに回すことも湿度対策として有効です。
冬の湿度対策
湿度が低く空気が乾燥する冬は、犬も身体が乾燥して痒くなったり、細菌の増殖によって病気を引き起こしやすくなってしまいます。また、冬は暖房器具を使用するのでさらに部屋が乾燥しやすくなります。そのため、冬は加湿器を使用して部屋の湿度を調整することが大切です。
ただ、アロマオイル入りの加湿器は、嗅覚の優れた犬にとって刺激が強く、あらゆるアロマが犬にとって安全かどうかの証明もされていません。そのため、アロマオイル入りの加湿器を使用する場合はできるだけ事前に、専門家に種類や濃度などを相談してみるのがおすすめです。
また、犬がいるケージやサークルの近くに濡れたタオルを置いたり、洗濯物を干したりすることでも湿気を上げられます。
愛犬に快適に過ごしてもらうために湿度にも気を配ろう
湿度が低すぎたり高すぎると人間にとっても不快で体調を崩しやすくなりますが、犬にとっても同じく体調のトラブルが発生する原因となってしまいます。 犬が1年中健康で快適に過ごすためには、温度対策だけでなく、しっかりと季節に応じた湿度対策をすることが大切です。
湿度の高い季節は菌が繁殖しやすいため、湿度管理をするとともにこまめな耳掃除やブラッシング、シャンプーなどで対策し、乾燥する季節は加湿器を上手く利用して調節してあげましょう。
こちらの記事もチェック
この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
獣医師監修に関する記事
健康管理/病気
【獣医師監修】犬の顔が突然腫れてしまった場合に考えられる原因とは。対処法と予防法も併せて解説
愛犬の顔が突然腫れてしまったら、何があったのかと驚きますよね。犬の顔が腫れる原因はいくつか考え...
2024年11月21日
犬の生態/気持ち
【獣医師監修】癒し効果も?犬が飼い主さんをじっと見つめる理由を解説します
犬がじっとこちらを見てくることはありませんか?近寄ってくるわけでもないため「何を考えているのか...
2023年3月24日
健康管理/病気
【獣医師監修】犬のワクチンの副作用について|アナフィラキシーショックやアレルギー症状に注意
みなさんは、愛犬に「狂犬病ワクチン」「混合ワクチン」をきちんと接種させていますか?日本では、狂...
2023年2月10日
健康管理/病気
【獣医師監修】病気が潜んでいることも。愛犬のお尻が臭う原因と対処法
愛犬のお尻が臭う場合は、もしかしたら体調に異常をきたしているかもしれません。犬のお尻が臭くなる...
2023年2月1日