【獣医師監修】犬の組織球腫とは。自然に消える?かかりやすい犬種や治療法を解説
犬の疾患のひとつ「組織球腫」について耳にしたことはあるでしょうか?おそらく、実際に自分の愛犬が発症したという飼い主さん以外には、ご存知の方は少ないと思われます。組織球腫は犬特有の腫瘍のひとつであり、人間や他の動物では発症しないという特徴があります。
今回は、犬の組織球腫の初期症状や原因、治療法などについて解説していきます。
犬の組織球腫という病気について
組織球腫とは3歳未満の若齢犬に多く見られる細胞の腫瘍のひとつで、ほとんどが良性だといわれています。顔などの皮膚にできることが多く、見た目はピンクのドーム状です。
また、不思議なことに数ヶ月で自然と消えてしまうことが多く、治療も必要ないケースがほとんどです。
初期症状とチェック項目
頭部や脚の皮膚に赤いドーム状の腫瘍ができます。患部が赤くなったり、脱毛したりすることもあり痛そうに見えますが、痛みは伴わない場合がほとんどで、犬も気にする様子を見せません。
しかし、悪性腫瘍との見分けが難しいので、ドーム状の腫瘍を発見した場合は「組織球腫だから大丈夫」と安心せず、必ず動物病院で細胞診の検査をしてもらうようにしましょう。
他の犬や人間にうつる?
現時点では、犬の組織球腫は他の犬や人間にはうつらないと考えられています。しかし、ウイルスが原因で他の犬に感染する可能性もあるとも考えられているので、小さな可能性として念頭に置いておきましょう。
ちなみに、組織球腫という疾患は犬の皮膚特有のもので、人間や他の動物は発症しないのが特徴です。
犬が組織球腫を発症する原因は?
犬の組織球腫は現在でも謎が多く、発症する原因はわかっていません。ここでは、組織球腫の原因に関する説や、かかりやすい犬種や年齢について解説していきます。
ウイルス
犬の組織球腫はウイルスが原因で発症するという説もあり、これが本当であれば、他の犬に感染する可能性も否定できません。しかし、原因となるウイルスが発見されたわけではなく、ウイルスによる感染が認められた例もないので、ウイルスが原因だと断定はできない状態です。
かかりやすい犬種や年齢は?
組織球腫は雑種よりも純血種の方が発症しやすく、その中でもダックスフンド、グレート・デーン、コッカースパニエル、ボクサーが特にかかりやすい犬種として挙げられます。発症する犬の50%が2歳未満で、他の腫瘍と違って若齢犬に多く発症するのが特徴です。
犬の組織球腫の治療法
犬の組織球腫は数週間から3ヶ月ほどで退縮するケースがほとんどで、治療を行わず経過観察を行う場合が多いです。しかし、組織球腫が大きくなって退縮しない場合は手術で切除する場合もあります。
治療にかかる費用
組織球腫の切除が必要になった場合は、2~6万円程度の費用が必要になります。組織球腫は経過も良好で、日帰りで手術できる場合が多いため、治療費も他の腫瘍と比べると負担が少ないことが考えられます。
犬の組織球腫は予防できる?
犬の組織球腫は原因がはっきりとわかっていないので、予防をすることが難しいです。そのため、日頃からボディタッチをしっかりと行い、しこりをいち早く発見することが大切です。
組織球腫は緊急性が低く、治療しなくてもよい場合が多いですが、組織球腫に似た腫瘍には早急な治療が必要な悪性腫瘍もあるので、しこりを見つけたら、必ず動物病院を受診するようにしましょう。
再発する可能性
組織球腫の中の持続性再発性組織球腫は、再発する可能性が比較的高いのが特徴です。しかし、ほとんどの場合は再発することもなく、経過もいいので、過剰に心配する必要はありません。
愛犬が組織球腫を発症したら
犬の組織球腫は現在でも原因がはっきりとわかっておらず、予防も難しいです。しかし、発症しても特別な治療を必要としない場合が多く、何もしなくてもそのままなくなるケースがほとんどです。そのため、緊急性もなく過剰に心配する必要はありません。しかし、組織球腫に似た腫瘍のなかには、治療が必要な悪性腫瘍もあるので、自己判断せず、できものを見つけたら必ず動物病院を受診しましょう。
参考文献
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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