犬の早食いは体に悪いって本当?5つのリスクや対処法について解説
愛犬が「1分でご飯を食べ終えてしまう」「ご飯をお皿に入れている最中から食べようとする」など、早食いで悩む飼い主さんも多いのではないでしょうか?
急いで食べている姿もなんだかかわいく見えますが、実は早食いは健康を害する恐れがあるんです。
そのため、放置せずなるべく早めに対処した方が良いでしょう。
今回は、犬が早食いをする理由やそのリスク、対処法についてご紹介します。
犬が早食いをする理由
犬が早食いをするのは行儀が悪いからではなく、大昔からの習性といわれています。
犬の先祖であるオオカミは群れで暮らし、シカや猪などを狩って生活していました。
食事の際に狩った獲物をゆっくり食べていると、あっという間にほかの仲間に自分の分も食べられてしまいます。
また、明日も同じように獲物が狩れるとは限りません。
生き延びるためにも、食べられるときに食べられる分だけ口にする必要があったのです。
このような名残から、今でも犬は早食いをしてしまうといわれています。
しかし、犬の習性だからといって、「放置しておいて良い」というわけではありません。
早食いにはさまざまなリスクが伴うため、なるべく辞めさせるようにした方が良いでしょう。
では早食いのリスクとは、一体どのようなものがあるのでしょうか?
早食いのリスク
犬の早食いは、健康被害をもたらしたり、最悪の場合死に至ったりと危険が伴う可能性があります。
愛犬を危険な目に遭わせないためにも、しっかり確認しておきましょう。
窒息のリスク
フードをしっかり噛まずに一気に丸呑みしてしまうと、喉に引っかかり息ができなくなる可能性があります。
窒息してしまい、最悪の場合は死に至ることもあるでしょう。
水分が少ないドライフードは、喉に詰まりやすいため早食いには気をつけてください。
特に、飲み込む力が弱っているシニア犬や子犬は要注意です。
また、急いでご飯を食べると、誤ってドッグフードが気管に入ってしまうことがあります。
食べ物や細菌によって誤嚥性肺炎を引き起こす可能性もあるため、特にシニア犬の早食いには注意しましょう。
肥満のリスク
早食いは、肥満のリスクを高める原因になります。
ご飯を食べ終わった後に、「もっとご飯が食べたい!」と愛犬から要求されたことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか?
フードを急いで食べることで満腹感が得られず、「もっとご飯が欲しい!」と要求してしまうのです。
犬の要求通りにご飯をあげてしまうと、どんどん太ってしまいます。
肥満になると、関節や心肺機能に負担をかけるだけではなく、病気にかかりやすくなってしまうでしょう。
飼い主さんがしっかりご飯の量をコントロールしながら、肥満を避けることが大切です。
健康に長生きできるように、愛犬の要求には応えず1日の摂取量を守りましょう。
嘔吐のリスク
一気にたくさんのご飯を食べることで、消化不良を起こしフードを吐いてしまうことがあります。
愛犬が急に吐くと、驚いてしまいますよね。
犬はよく吐く生き物のため、吐いた後も元気がある場合はあまり心配をする必要はありません。
しかし、頻繁に吐く場合は注意が必要です。
胃に大きな負担をかけたり、吐いたときに逆流した胃酸によって食道や胃粘膜が荒れたりしてしまいます。
吐いた後にぐったりしていたり、嘔吐を繰り返したりする場合は、違う病気が隠れている可能性もあるためすぐに病院へ連れて行きましょう。
胃拡張や胃捻転のリスク
勢いよくご飯を食べることで空気も一緒に取り込んでしまい、胃が膨れあがり胃拡張を引き起こす可能性があります。
胃拡張によって膨らんだ胃はねじれやすい形となり、胃捻転を引き起こしやすくなるのです。
胃が膨らみすぎると血管やほかの臓器を圧迫してしまうため、早めに処置をしないと高確率で命を落としてしまうでしょう。
詳しい原因はわかっていませんが、早食いがきっかけで胃拡張や胃捻転のリスクが高まると考えられています。
また、胃拡張や胃捻転は大型犬がなりやすい病気ですが、満腹時の激しい運動でもリスクが高まるといわれているため、犬種問わず注意するようにしましょう。
歯周病のリスク
早食いは、歯周病を発症するリスクをより高める原因になります。
噛まずに勢いよくフードを食べることで唾液があまり分泌されなくなり、細菌が繁殖したかたまり「歯垢」が付きやすくなってしまうのです。
歯垢の中にいる細菌が原因で歯茎の炎症が起き、歯周病を発症してしまいます。
ほとんどの犬が歯周病になるといわれているほど、歯周病は犬にとって身近な病気です。
歯周病を放置すると、あごの骨が折れたり心臓病の原因になったりと、さまざまな問題へとつながってしまうため注意が必要です。
早食いしがちな犬の種類・特徴
ワンちゃんのなかには、早食いしがちな犬種や特徴がある子がいます。
愛犬に当てはまっていないか確認してみましょう。
早食いしがちな犬種
フードの早食いや丸呑みをしがちな犬種は、以下のとおりです。
- フレンチブルドッグ
- ビーグル
- コッカー
- レトリバー
- コーギー
- テリア種
上記の犬種は、食べ物への執着が強かったり食いしん坊だったりと、食べることが好きな子が多いです。
しかし、上記の犬種に当てはまるからといって、必ずしも早食いをするというわけではありません。
性格や生活環境によって食べ方は大きく変わるため、犬種は参考程度にしておいてくださいね。
早食いしがちな犬の特徴
では、早食いをしてしまいがちなワンちゃんは、どんな性格の子が多いのでしょうか?
こちらも一覧でご紹介します。
- 食べるのが好き
- 性格に勢いがある
- 多頭飼いされている
- 栄養が不足気味である
先ほどご紹介した犬種同様、食べるのが好きな子は早食いをしがちな傾向にあります。
また、多頭飼いされている家庭のワンちゃんは、早食いをしてしまう子が多いです。
「ほかの犬に自分の食べ物が奪われてしまう」といった気持ちから、急いで食べようと早食いをしてしまいます。
多頭飼いが原因で早食いをしてしまう場合は、食事環境を見直すことが大切です。
犬の早食い対策
早食いは、肥満や窒息などさまざまなリスクが伴います。
なるべく早めに辞めさせるように対処しましょう。
しかし、早食いは叱って辞められるものではないため、飼い主さんの工夫が必要です。
ここから、犬の早食いへの対処法をご紹介します。
食事内容・回数・量を見直す
早食いを防止するために、食事内容・回数・量を見直してみましょう。
一つずつ紹介します。
食事内容
いつものフードとはサイズや形が異なるものを、普段与えているフードに混ぜてあげてみてください。
超小粒のフードを混ぜる・少し大きめの粒を混ぜるなど、サイズを変えるだけで食べにくくなり、ゆっくり食べるようになるかもしれません。
しかし、喉に詰まらせてしまう可能性があるため、いきなり大きすぎるフードに変えるのはNGです。
回数
ご飯への執着心が強い子の場合は、ご飯をあげる回数を1日3回や4回に増やす方法がおすすめです。
食事回数を増やすことで空腹時間が短くなり、ご飯への執着心が減少し早食いをしなくなる可能性があります。
しかし、食事回数を増やしたとしても、1日の摂取量は今までどおり守ることが大切です。
量
愛犬への食事量が、基準どおりであるかを改めて確認してみてください。
早食いの原因は、愛犬にあげている食事量が基準よりも少なく足りていないからかもしれません。
ドッグフードのパッケージを確認し、体重や年齢に合った食事量をあげているかをしっかりチェックしましょう。
フードをふやかす
「急いで食べてしまうため満腹感が得られない」という場合は、ぬるま湯でドライフードをふやかしてあげてみてください。
ふやかすことでドッグフードが水分を含んで膨らみ、満腹感が得られやすくなります。
また、水分量が多いフードなら、喉詰まりの心配も軽減されるでしょう。
愛犬がふやかしたフードを嫌がる場合は、犬用スープにドライフードを入れて食べさせてみてください。
水分補給にもなるため、水をあまり飲まない子やシニア犬の脱水症状も防げますよ。
食器を変える
早食いを防ぐためには、今使用している食器から早食い防止の食器に変えるのがおすすめです。
早食い防止の食器は、ペットショップやネットショップなどでさまざまなものが販売されています。
- デコボコの突起がある食器
- いろいろな場所に空いている穴から、少しずつ餌が出てくる食器
- ゆらゆらと左右に揺れる食器
どれも食べるのに時間がかかるため、早食いを防ぐのにピッタリです。
しかし、早食い防止食器は洗いにくいものもあるため、飼い主さんが普段使いしやすいものを選ぶと良いでしょう。
広い皿やマットなどにフードを広げて置く
早食い防止食器を嫌がる子やマズルが短い犬種には、広く浅い皿やマットなどにフードをばらまくように広げて置く方法もおすすめです。
普通の皿だとご飯が一箇所にまとまっているため、一度にたくさんの量を食べることができます。
たくさん食べられる環境は、早食いにつながりやすくなるのです。
マットや床にフードをばらまくように広げて置けば、顔や体を動かしながら食べるため食事のスピードが落ちやすくなります。
早食い防止食器が使えない場合は、ドッグフードを広げて置く方法を試してみましょう。
おもちゃを使用する
フードを中に入れられる、知育おもちゃを利用する方法もあります。
コロコロ転がしたり、噛んだりすることでフードがでてくるため、早食い防止にはとてもおすすめです。
また、遊び感覚でご飯が食べられることから、犬の退屈時間を解消することにも役立つでしょう。
しかし、知育おもちゃのなかには、難易度が高いタイプもあります。
最初から難しいタイプを与えてしまうと、食べることを辞めてしまう場合もあるため、難易度の低いタイプから挑戦してみましょう。
ほかの犬や動物とは離して食べさせる
多頭飼いをしている場合、食事の際はほかの動物との距離を離したり、違う部屋でご飯をあげたりと食事環境を見直してみてください。
近くでほかの動物がご飯を食べていると、「自分のご飯が取られるかも」という気持ちから急いで食べようとしてしまいます。
別々の場所でご飯をあげたり、姿が見えないようにスペースを分けたりと食事環境を見直すことで、ゆっくり食事が食べられるようになるでしょう。
まとめ
犬の早食いは、本能であることが多いです。
しかし、早食いをすることで肥満や窒息などのリスクが高まるため、早めに改善をした方が良いでしょう。
早食い防止の食器や知育おもちゃなどを使い、早食いを防ぐことが大切です。
愛犬の健康を守るためにも、よく噛んで食べられる環境作りを心がけてくださいね。
この記事のライター
42ba
動物が大好きで、小さいころから犬や猫などいろいろな子たちと暮らしてきました。犬好きの皆さんのタメになるような情報をお届けできたらと思います。
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