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犬の殺処分ゼロに向けてできること|日本の現状とペット先進諸外国との違い

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日本における犬猫の殺処分数は減少傾向にあるものの、殺処分ゼロにはまだまだ程遠く、ボランティアの方を含め各自治体は引き取り数の減少、譲渡の推進のためにさまざまな取り組みをおこなっています。一方、諸外国の現状はどうでしょう?今回は、ペット先進国であるアメリカ、イギリス、ドイツの例を挙げ、これらの諸外国との違いや日本の殺処分の現状についてお伝えしていきます。

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目次

  1. 日本の殺処分の現状
  2. 都道府県別|殺処分の現状
  3. 欧米の殺処分の現状
  4. 殺処分ゼロに向けてわたしたちが出来ること

日本の殺処分の現状

犬 檻
Sarah Leo

まず、日本では年間にどのくらいの犬猫が殺処分になっているのか、現状を知っておきましょう。

犬と猫の殺処分件数

環境省が公表している統計資料によると、2018年度における犬の殺処分数は7,687頭、猫の殺処分数は30,757匹です。(※1)

犬と猫とでは、猫の殺処分数のほうが圧倒的に多く、その理由としては、避妊去勢手術をしていない猫の外飼いや、避妊去勢手術をしていない野良猫が子猫を産むことなどが挙げられます。実際、引き取られた猫のうちの60%が幼齢猫です。

殺処分数の推移

図

(※1、画像の出典元:環境省)

2009年度から2018年度までの10年間の犬猫の殺処分数は、以下のように推移しています。

・2009年度:犬64,061頭 / 猫165,711匹

・2010年度:犬51,964頭 / 猫152,729匹

・2011年度:犬43,606頭 / 猫131,136匹

・2012年度:犬38,447頭 / 猫123,400匹

・2013年度:犬28,570頭 / 猫99,671匹

・2014年度:犬21,593頭 / 猫79,745匹

・2015年度:犬15,811頭 / 猫67,091匹

・2016年度:犬10,424頭 / 猫45,574匹

・2017年度:犬8,362頭 / 猫34,854匹

・2018年度:犬7,687頭 / 猫30,757匹

犬の殺処分数も猫の殺処分数も、年々減少しています。この背景には、動物愛護管理法の改正、行政と民間の動物保護団体が連携し、新たな飼い主への譲渡を推進していることなどがあります。

殺処分率の推移

図

(※1、画像の出典元:環境省)

犬猫の引き取り数に対する殺処分率の推移は、以下の通りです。

・2009年度:84.6%

・2010年度:82.0%

・2011年度:79.1%

・2012年度:77.3%

・2013年度:72.7%

・2014年度:67.1%

・2015年度:60.6%

・2016年度:49.2%

・2017年度:42.9%

・2018年度:41.8%

殺処分率も大幅に減少しているものの、2016年頃からの減少率は鈍化しています。

都道府県別|殺処分の現状

犬 寂しげ
feverblue

次に、都道府県別における殺処分数の現状を見ていきましょう。

殺処分数が多い都道府県

2018年度において、殺処分数が多い都道府県ワースト1~3位は以下の通りです。(※2)

・1位:愛媛県 1,987匹

・2位:福島県 1,770匹

・3位:香川県 1,585匹

殺処分数ワースト1位の愛媛県は、他の自治体を参考にしながら、適正飼養の啓蒙や野良猫の繁殖対策、譲渡制度のさらなる周知など、殺処分削減のためにさまざまな取り組みをしています。

殺処分ゼロを実現・継続している神奈川県

神奈川県は、2013年度から2019年度までの7年間にわたり犬の殺処分数ゼロを、猫においては2014年度から2019年度までの6年間、殺処分数ゼロを継続しています。

このような状況を実現できているのは、犬猫保護のために懸命に活動しているボランティアの方々の協力が大きく影響しています。また、神奈川県獣医師会と提携し、負傷している犬猫の治療、人に慣れさせるための犬のしつけやトレーニングなどの譲渡の推進にも積極的に取り組んでいます。

欧米の殺処分の現状

犬
Vizslafotozas

欧米における殺処分の状況はどのようになっているのか、ペット先進国のイギリス、ドイツ、アメリカの例をご紹介します。(※3)

犬の殺処分1. アメリカ

アメリカでは、2012〜2013年において年間270万頭もの犬猫が殺処分されています。殺処分率は約40%で、日本と同じぐらいの状況です。

カリフォルニア州では、ペットショップで販売できる犬猫は、動物保護施設の保護犬・保護猫のみで、ブリーダーから買い付けて販売することは禁止されています。そのため今後、殺処分数が減少していくのではないかと期待されています。

犬の殺処分2. イギリス

イギリスでは民間の動物保護施設が犬猫を引き取り、里親に譲渡しています。2010年の調査によると保護施設への年間引き取り数は、犬が9〜13万頭、猫が13〜16万匹で、そのうち殺処分になったのは、犬が1〜1.3万頭で、猫が1.7〜2万頭です。つまり、殺処分率は犬が10.4%、猫は13.2%で、圧倒的に日本の殺処分率よりも低いという状況です。

このように日本との大きな違いがある理由には、犬猫の生体販売に対して厳しい規制がかけられており、保護施設からの譲渡が浸透していることが挙げられます。加えて、ペットの命に対する意識が高いのも、殺処分数の減少につながっています。

犬の殺処分3. ドイツ

ドイツでは、保護した動物の殺処分が法律で禁止されているので、犬猫の殺処分はゼロです。「ティアハイム」という民間の動物保護施設が犬猫をはじめとした動物の引き取り、および譲渡を行っています。ティアハイムは全国に500ヶ所以上もあり、譲渡率は9割を超えています。

ドイツもイギリスと同様、犬猫の生体販売に対して厳しい規制があり、犬猫を販売しているショップはほとんどありません。そのため、保護施設からの譲渡が根づいています。

殺処分ゼロに向けてわたしたちが出来ること

犬
USACE Honolulu District

犬猫どちらの殺処分数も以前に比べてはるかに減っていますが、それでも収容されたうちの約40%は、悲しいことに殺処分されています。

殺処分となる犬猫を少しでも減らすためには、犬や猫を迎えるなら新たな飼い主を待っている保護犬や保護猫を譲り受ける、保護活動をしているボランティアさんのお手伝いをするなど、私たちにもできることはあります。殺処分ゼロを目指して、一人一人ができることから始めることが大切です。

出典

※1:環境省|犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況
※2:環境省|犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(都道府県・指定都市・中核市)
※3:環境省|動物愛護管理と生活・経済

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nao

この記事のライター

nao

「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。

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