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犬の生体販売にまつわる社会問題は?ペット産業の構造を理解しよう

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日本で犬を家族として迎える場合、現在のところもっとも主流な購入先はペットショップです。一方、動物愛護先進国として知られるオーストラリアでは店頭での生体販売が禁止されており、日本でも禁止を求める声が上がっています。

なぜこれほどまでに、犬の生体販売を「悪」とする動きが起こるのでしょうか?今回は、生体販売にまつわる社会問題に目を向け、ペット産業における流通の仕組みについて見ていきます。

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目次

  1. 犬の生体販売・流通の仕組み
  2. 生体販売にまつわる社会問題
  3. ペット産業の生体販売【現場】
  4. 生体販売の裏にある現実を忘れずに

犬の生体販売・流通の仕組み

子犬
cortneymartin82

まずは、子犬たちがどのように飼い主の元へやってくるのか、犬の生体販売の流通の仕組みからご紹介します。

多くの場合、子犬は主にブリーダーなどの「繁殖業者」のもとで生まれ、「せり業者」や「卸業者」を介してペットショップの店頭に並び、飼育者のもとへやってきます。

少し前には、ペットショップ兼ブリーダーの形態をとる企業も存在しました。そういった企業では、複数のブリーダーと連携して繁殖をおこない、ブリーダーから直販されるケースも多く見られました。

現在では、せり業者が行うオークションなどを介して、ブリーダーからペットショップへの流通形態が主流となっています。

生体販売にまつわる社会問題

子犬
PicsbyFran

ここでは、犬の生体販売の裏側に見え隠れする社会問題を紹介していきます。

虚偽の表示

店頭販売されている犬には、犬種名や価格、年齢などと共にワクチン接種の有無やブリーダー情報などが表示されている場合がほとんどです。私たちはその情報が正確かどうか知る術がないため、店舗に話を聞く中で信用できるかどうかを判断するしかありません。

公正取引委員会の実態報告書によると、「ブリーダー直送」と表記していながら、生体をブリーダーから直接仕入れているわけではないケースが報告されています。また「ブリーダーショップ」と明記していながら、実際には自家繁殖をおこなっていない例も一部では確認されています。

流通過程で命を落とすことも

生体販売の流通の過程において亡くなっている犬や猫の数は、2018年度では少なくとも約2万4千頭いることが朝日新聞の調査によって明らかにされました。2018年度の犬猫の流通量の約3%に当たる小さな命が、流通過程で亡くなっていることになります。

この数には、死産や寿命で死ぬ犬猫は含まれていないため、ブリーダーからせり業、卸業者、ペットショップへと流通されていく間に、販売用の子犬、子猫や繁殖兼・猫が病気やケガ、ストレスによって命を落としていることになります。

売れ残りの子はどこへいく?

子犬たちが売れ残って大きくなると、買い手が見つかりにくくなることも少なくありません。

売れ残った子犬たちの行き先は、ペットショップによって異なります。優良ペットショップであれば、大きく成長した子犬でも値下げをしたりしながら、飼い主が見つかるまで健康管理にも責任を持って命を預かります。また、保護団体に引き取られて次の飼い主のもとに渡るケースもあります。

一方で一部の劣悪ショップでは、店の裏で放置されるか、悪質ブリーダーの元へ出戻り繁殖犬になることも少なくありません。有料で犬を引き取る「引き取り屋」の元へ渡されることもあります。引き取り屋による虐待や、劣悪な環境での飼育による死亡のケースも報告されており、苦しく悲しい運命をたどる命が少なからず存在するのが現状です。

ペット産業の生体販売【現場】

子犬 檻
abbynormy

次に、日本で生体販売をおこなうペットショップや、オークションの現場の状況について紹介していきます。

ペットショップ

ペットショップとは、犬や猫をはじめとする小動物を仕入れて、購入者に直接店頭で販売する店舗のことです。

現在のところ、日本において犬を家族として迎える際に利用割合が最も多いのがペットショップで、平成21年度の調査によると子犬を迎え入れた人全体の67%がペットショップから子犬を迎えています。

ペットオークション

ペットオークションでは、ブリーダーから出品された犬や猫を複数の販売者間で競り落とされます。

平成31年の時点の環境省のデータでは、関東と関西を中心として全国に26のオークション業者が登録されています。大手のペットオークションでは、毎週約2,000頭近くの生体が競りにかけられています。

移動販売

犬の移動販売は、遠方から犬をトラックなどで運搬して、大きな会場を借りて販売する方法です。

狭いゲージに入れられて長時間の移動の末、多くの人間と接することを余儀なくされる子犬たちは、大きなストレスがかかる環境に置かれています。また、その土地での販売が終わればすぐ別の場所へと移動し、各地を回りながら売り捌くため、毎日のように長距離移動をする場合もあり、元々免疫力の低い子犬は感染症にかかり死亡してしまうケースもあります。

生体販売の裏にある現実を忘れずに

子犬
karsten116 Unsplash

生体販売が必ずしも悪であるわけではなく、愛情を持ちながら販売している善良なブリーダーやショップも存在します。しかし、悪徳な業者によって命ある犬がお金を稼ぐ道具としてずさんに扱われ、命を落とすケースもあるということを忘れてはなりません。人間の都合により悲しい運命をたどるしかない犬たちを減らすためにも、日本の生体販売のあり方について考える必要があるのではないでしょうか。

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nao

この記事のライター

nao

「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。

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