アフガンハウンドは犬種名の通りアフガニスタンの山で生まれた狩猟犬です。そのルーツは約4000年前にさかのぼるとも言われており、ノアの方舟に乗せられた犬という言い伝えも。現存する最古の犬種と言われる犬種は複数存在しますが、そのうちの1つとして数えられることもあります。

険しい山岳地帯や広大な平原といった過酷な環境での生活に適応した犬種で、俊敏さと優れた視力を活かしてウサギやガゼルなどの小型哺乳類から、山岳地帯ではユキヒョウやオオカミといった大型の動物の狩りに従事しました。

ジャパンケネルクラブ（JKC）では、「10G：視覚ハウンド（サイトハウンド）」に分類されます。

古い歴史を持つアフガンハウンドは、その優美な見た目からドッグショーでも人気の犬種です。ここではアフガンハウンドの特徴について見ていきましょう。

アフガンハウンドは体重約23～27㎏、体高約63～74㎝（オスは68～74㎝、メスは63～69㎝が理想）の大型犬です。

起伏の多い地形での狩猟に適した腰高の体型をしています。優れた視覚で獲物を見つけ追跡するサイトハウンドであるため、遠くを見渡せるよう首が長く、頭部が細長いことから目は正面よりやや後ろに位置し、視野が広いです。

スレンダーではありますが、猟犬として走力はもちろん持久力、ジャンプ力も兼ね備えた屈強な足腰を持っています。

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アフガンハウンドはあらゆる毛色が許容されます。体の色に対して顔や胸、足などに白っぽい毛色が入る「ドミノ」やブラックマスクも問題ありません。そのため、ブラック、クリーム、レッド、ゴールド、ブルーなどの単色のほか、ブリンドルやトライカラー、〇〇ドミノ、〇〇ブラックマスクなどバリエーションが豊富です。ただし、JKCでは頭部または頸回り全体のホワイトマーキングは好ましくないとされています。

山岳地帯と砂漠地帯の寒さや乾燥から身を守るため、大型犬では珍しく引きずるほどのロングコートを持ち、触り心地はシルキーです。豊かな長毛は一見ダブルコートに見えますが、被毛の構造はオーバーコートのみのシングルコートとなっています。

子犬期のみ頬の毛が長くなる（頬のあたりに毛が生える）という特徴があり、アフガンハウンドオーナーさんの間では「ヒヒ毛」と呼ばれています。成長するにつれて頬の毛は抜け落ちていきますが、中には成犬になっても頬の毛が無くならず、トリミングをしないともさもさに伸びる子もいるようです。

アフガンハウンドは日本では希少な犬種のため、生体価格は高値になる傾向にあります。2024/11/25現在、ペットショップにいる子犬を検索できるサイトではアフガンハウンドの子犬を取り扱っているペットショップの該当はありませんでした。

ブリーダーサイトでは2頭掲載がありますが、48万円の子と88万円の子がおり、どのくらいの価格になるかはブリーダーによってかなりの差が出ると言えるでしょう。

見た目の上品さから多くの愛犬家に人気のあるアフガンハウンドですが、どのような性格をしているのでしょうか？

サイトハウンドは狩猟犬として活躍していましたが、性格は穏やかな子が多いと言われています。アフガンハウンドも例外ではなく、家の中では静かに過ごすことを好む子も多いようです。

一方で狩猟犬としての本能から小さい動物を追いかけようとすることもあるので、自宅に小動物がいる場合や、お散歩時に体の小さい犬と出会ったときにはトラブルにならないよう注意しなければいけません。

大型犬のため、とても力が強いです。飼い主さんのコマンドを完全に聞くようになるまでは、ドッグランでもリードをつけるなどの工夫をしましょう。

アフガンハウンドは狩りに従事していた際、持ち前の俊足で主人よりも先に獲物を追い詰め、自分で判断し狩りを進めていました。そこで養われた決断力を有しているため、独立心が非常に強く、指示されることを嫌う（納得できないことには従わない）一面もあります。そのため、知能テストでは一番頭が悪い犬種と言われることもありますが、これは知能が低いわけというわけではなく、自分で考える力に長けていることから服従訓練に向いておらず、しつけが入りにくいという意味合いが強いです。

頑固でプライドが高い性格により、しつけにはかなりの根気が必要になります。新しい物事を吸収しやすい子犬期のうちから、コツコツとトレーニングを積み重ねていくことが大切です。もしも自分では難しいと感じた場合には、プロの力を借りることも検討しましょう。

信頼関係を築くことができれば、飼い主さんに対して深い愛情を示す性格をしていますが、周囲に愛想を振りまいたり分かりやすく感情を表に出すことがあまりありません。そのため、人によってはそっけない態度だと思ってしまうこともあるでしょう。子どもに対しても優しく接することができますが、一緒になってはしゃいで遊ぶというような様子はあまり見られないようです。

マイペースでわがままだと感じることもあるかもしれませんが、繊細で人見知りな一面もあるので、言うことを聞かないからといって怒鳴ったりするのではなく、辛抱強くトレーニングを繰り返す覚悟が必要になります。

2023年のJKCの犬種別犬籍登録頭数を見てみると、アフガンハウンドはわずか87頭となっており、日本でアフガンハウンドを飼っている人はとても少ないことが分かります。ブリーダーサイトでも掲載情報は少なく、掲載されてもすぐに家族が決まってしまうことも多いため、一緒に暮らせる機会は限られるかもしれませんが、アフガンハウンド迎えるとなったらどのようなことに気を付けたほうがよいのでしょうか？

アフガンハウンドは落ち着いた性格をしていますが、狩猟犬のルーツを持つ大型犬のため、必要な運動量はとても多いです。犬は運動不足になるとストレスが溜まって無駄吠えしたり、家の中にあるものを噛んで破壊したりといった問題行動が見られるようになることも珍しくありません。アフガンハウンドが走れるくらいの広さのある庭つき家が理想ではありますが、室内で飼う場合には毎日のお散歩はもちろん、定期的にドッグランなどの広い場所で思いっきり走らせてあげる機会を作ることが大切です。

アフガンハウンドはシングルコートの犬種ですが、美しい被毛を保つためにも定期的にトリミングサロンに連れていきましょう。超大型犬に分類されることも多く、料金は高くなる傾向にあります。また、サロンによっては断られてしまうこともあるので、通える範囲にアフガンハウンドのトリミングをしてくれるサロンがあるか事前に調査しておくことをおすすめします。

また、自宅でのお手入れも欠かせません。細く絡まりやすいので、毛玉にならないよう、できれば毎日ブラッシングしてあげるのが望ましいです。

乾燥地帯出身の犬種のため、日本の高温多湿の環境は皮膚トラブルの原因となることもあります。梅雨～夏の時期はエアコンや除湿器を活用して快適な温度を保つようにしましょう。シャンプーをしたあとは、濡れた部分が残らないようしっかりとドライヤーで乾かしてください。

アフガンハウンドは跳躍力のある犬種のため、高所にある家具でも倒してしまうことがあります。アフガンハウンドが怪我しないようにすることはもちろん、大切な家具などは愛犬が立ち入れない部屋を作りそこに移動するなどの対策も必要になるでしょう。

また、長い被毛が家具などに絡まないように対策することも大切です。

古代より狩猟犬として活躍していたアフガンハウンドは、自分で考え判断することができる犬種のため、しつけの難易度はかなり高いと言われています。しかし、狩猟犬としての本能を兼ね備えていることや大型犬であることから力が強いので、トラブルを防ぐためにも飼い主さんがしっかりとコントロールできるようにしつけることが大切です。

また、必要な運動量は多く、被毛のお手入れにも時間を要します。きちんと運動できる時間やブラッシングをはじめとするお手入れの時間を確保できるかもアフガンハウンドを迎えるうえではしっかりと考えなければいけません。

優雅で気品のある見た目からアフガンハウンドとの暮らしに憧れる人は多いですが、飼育経験が豊富な人向けの犬種です。アフガンハウンドの特性を理解し、しっかりとしつけることができれば、素晴らしいパートナーになってくれるでしょう。

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