セラピードッグってどんな犬?向いている犬種や必要な資格などをご紹介
セラピードッグがどのようなところで活動をし、どんな働きをしているのかご存知でしょうか。セラピードッグは補助犬とは違った働きで人間に寄り添ってくれます。
今回は、そんなセラピードッグの活動や必要な資格、適している犬種などについて詳しく解説していきます。
セラピードッグに興味のある方はぜひご覧ください。
セラピードッグって何をする犬?
セラピードッグとは、障害のある人や高齢者、精神的及び身体的な病気療養中の人などの心を癒し、気力を高めて生活のQOLを向上させるための訓練を受けた犬のことです。
セラピードッグの活動は、アニマルセラピーの一環として行われています。
アニマルセラピーには、医療従事者や医師などが関与して行う「動物介在療法・AAT」と、医療が関与しない「動物介在活動・AAA」があります。
セラピードッグは「動物介在活動・AAA」として、ボランティアで活動しています。
セラピードッグに向いている犬種
セラピードッグになるためには訓練が必要ではありますが、適した犬種が定められたり、選ばれた犬しかなれないというわけではありません。
一般の家庭犬や保護犬など、どんな犬でもセラピードッグになれる可能性を持っています。
ただし、健康であることは当然ですが、人に友好的な性格であること、知らない場所や音、人に接しても怖がったり、攻撃的になったりしないこと、基本的なしつけができていることなどがセラピードッグになるためのベースとして必要な条件になります。
一般的に大型犬では、ゴールデン・ラブラドールなどのレトリバー種やボーダーコリー、ジャーマンシェパード、小型犬でダックスフンドやトイプードルなどが向いているといわれていますが、雑種の犬でもセラピードッグとして適正のある犬がたくさん活躍しています。
セラピードッグが活躍する場所
セラピードッグが活躍できる場所は下記のようなところがあります。
病院
病院でのセラピードッグは、病気や怪我、精神的疾患などの患者に、心身の回復の手助けをするために活動します。
身体的機能や精神的安定を促す役目を担っているため、医師の参加や指示に従って行動します。
セラピードッグもそれを扱うハンドラーも2年以上の訓練を受ける必要があります。
子供病院や小児病棟
子供病院や小児病棟などでも、定期的にセラピードッグが訪問することで、小児がんなどの重い病気の子供たちの寂しさや不安などを緩和して心の癒しになっています。
また、知的・身体障害者施設などでは、セラピードッグと共に生活したり、世話をしたりすることで自主自律への意欲の向上が見られています。
高齢者施設
高齢者が自発的にセラピードッグに触る、抱くなどの行動によって、身体的・精神的活動の向上を促します。
また、セラピードッグを介しての会話が増えることから、他者とのコミニュケーションが増え、再び社会へ関心を向けさせるための手助けをしています。
さらに、かたちは違ってきますが、最近では愛犬と共に暮らせる特養ホームが注目されています。
ここでは愛犬がセラピードッグの役目を果たし、最後まで飼い主の精神及び生活のQOLを下げることなく暮らすことができます。
小学校や幼稚園など
セラピードッグの団体や保護活動をしている団体などが、子供たちに動物の命の大切さを知ってもらうために訪問します。
子供たちに実際にセラピードッグや保護犬と触れ合ってもらいながら、犬と人が共に暮らすことの意味や、保護犬をなくすためにはどうすればいいのかなど、自分たちで考える機会を持ってもらいます。
セラピードッグになるために必要な資格とは
セラピードッグになるためには、セラピードッグ認定試験に合格し、資格を取得する必要があります。
セラピードッグ認定試験の受験資格としては、生後8ヵ月以上の犬であること、狂犬病や定められたワクチンや予防接種を受けていること、トイレトレーニングがしっかりできていることが必要です。
犬種の指定はありませんが、人に触られても嫌がらない、不意な事態がおきても動じない、公共での基本的なマナーが守れるなど、「優良家庭犬協会」 の認定レベルである必要があります。
認定試験の内容
セラピードッグの認定試験は公的な資格試験ではありません。
いろいろな民間団体が行っていますので、内容や審査費用は各団体によって少しずつ違ってきます。
今回は「NPO法人日本セラピードッグ協会」の試験内容で説明していきましょう。
- 服従審査「飼い主とのふれあいチェック」
- 接触審査「車いすの人を怖がったり、動揺したりしないか」
- 特技審査「その犬が得意なことをひとつ披露」
- 総合審査「ハンドラー(飼い主)と審査対象の犬を総合的に判断」
【1】服従審査「飼い主とのふれあいチェック」
- 飼い主の横にしっかり付いて歩けるか
- 飼い主のマテ、コイ、フセ、などの指示にしっかり従えるか
【2】接触審査「車いすの人を怖がったり、動揺したりしないか」
- 車いすの前でも平常でいられるか
- 車いすで後ろから触られても驚いたり、嫌がったりしないか
- 自分から車いすの人に寄っていけるか
- 車いすの人に抱っこされることができるか
【3】特技審査「その犬が得意なことをひとつ披露」
- 股くぐり
- ハイタッチ
- フリスビー
- ボールキャッチなど得意なものならなんでもOK
【4】総合審査「ハンドラー(飼い主)と審査対象の犬を総合的に判断」
- 審査時間 約60分
- 審査費用 3,000円(各団体によって違ってきます)
病院などで活躍するアニマルセラピストについて
病院等で入院患者の心身のケアの手助けをするセラピードッグのハンドラーは、アニマルセラピストとしての資格と専門知識を必要とし、セラピードッグと共に一定期間の訓練が必要です。
詳細は「特定非営利活動法人日本アニマルセラピー協会」などでご確認ください。
セラピードッグにはどこで出会える?
セラピードッグの普及や育成をしている代表的な団体をいくつかご紹介します。
日本レスキュー協会
認定NPO法人日本レスキュー協会は、災害救助犬の育成や派遣をする団体ですが、保護犬のセラピードッグの育成や派遣にも力を入れています。
2003年には兵庫県伊丹市に保護犬をセラピードッグとして訓練・育成するための「セラピードッグメディカルセンター」が開設されています。
2016年12月には大阪母子医療センターの依頼により、小児がん病棟にいる子どもたちに元気を与え、闘病への意欲を高めるためにセラピードッグの訪問を始めました。
施設情報
- 住所:〒664-0832 兵庫県伊丹市下河原2-2-13 セラピードッグメディカルセンター内
- アクセス:JR福知山線「北伊丹駅」から徒歩約10分
- 電話番号:072-770-4900
NPO法人日本アニマルセラピー協会
日本アニマルセラピー協会は、さまざまな施設や病院などを訪問し、アニマルセラピーの活動をしています。 また、日本全国で講演会を開催するなどして、アニマルセラピーの普及活動も行っています。 セラピードッグの育成やアニマルセラピストの育成にも力を注いでおり、アニマルセラピストを職業としたい人のための資格取得講座(通信・通学▶単価コース)なども開設しています。
施設情報
- 住所:〒242-0016 神奈川県大和市大和南1-15-6-2F
- アクセス:小田急江ノ島線「大和駅」から徒歩約5分
- 電話番号:046-263-1782
NPO法人日本セラピードッグ協会
埼玉県にある日本セラピードッグ協会 (旧名称:日本ドッグボランティア協会) は、一般の家庭犬のセラピードッグの育成講習・認定審査などを行い、施設などの訪問活動を通じて広くセラピードッグの普及に力を注いでいます。
施設情報
- 住所:埼玉県春日部市東中野367 イヌのお風呂屋ワンルーム内
- 電話番号:048-720-8743
- 営業時間:お電話のお問い合わせは水〜日曜日の9時~16時
財団法人 国際セラピードッグ協会
国際セラピードッグ協会は、捨て犬や保護犬、被災犬など、さまざまな理由で飼い主を失った犬をセラピードッグとして育成し、彼らに第二の犬生を与えると共に、社会福祉に貢献することで人と犬が相互扶助できる社会を目指しています。
施設情報
- 住所:〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-3-5 ソレイユ人形町7F
- アクセス:東京メトロ日比谷線・都営浅草線「人形町駅」から徒歩約1分
- 電話番号:03-6231-0573
- 営業時間:月~金:10時-18時
- 定休日:土・日・祝日休
セラピードッグは心に寄り添ってくれる
犬に触れたときのふわふわした被毛の感触や、抱いたときに感じる体温の暖かさ、顔を寄せてくれたときの小さな息づかいに心が動き、生きる意欲が蘇るのではないでしょうか。
これは犬と暮らしたことのある人であれば、少なからず誰もが感じていることでしょう。
セラピードッグに特別な才能はいりません。
人を信じることができ、人が大好きな犬であれば、どんな状況にあった犬であってもセラピードッグになれる可能性があります。
人と犬との共生のためにも、心身共に傷ついた人のこころに寄り添うことのできるセラピードッグの存在が、もっと多くの人に知ってもらえるように願いたいものですね。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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