柴犬は認知症になりやすい犬種。症状の進行を遅らせるためにできることとは
ドッグフードの品質向上や獣医療の発展、飼育環境の変化などの理由から犬の寿命は一昔前と比べて飛躍的に伸び、一緒にいられる時間が増えました。その一方で、犬の高齢化に伴い認知症の発症率の増加や、介護が必要になった愛犬とどう向き合うかといった課題もでてきています。柴犬は数ある犬種の中でも認知症になりやすいと言われているため、飼い主さんは犬の認知症についての理解を深めておくことが大切です。本記事では認知症の症状や原因、症状の進行を遅らせるためにできることなどをまとめて解説します。
犬の「認知症」について
犬の認知症は、脳の認知機能が低下することによって行動に変化が見られる状態を指します。正式には「認知機能不全症候群」と呼ばれ、人間のアルツハイマー病と似た症状を示すのが特徴です。
認知症の症状は老化に伴う行動の変化と似ているので、「高齢だからかな?」と見過ごされてしまうことも少なくありません。しかし、進行性のため放っておくとどんどん悪化してしまいます。そのため、早期発見、早期に治療介入することがとても重要です。
一般的には10歳以降で発症することが多く、13歳を過ぎると急激に増える傾向にあるとされています。一説には15~16歳の犬の約70%は認知症になるとも言われていますが、中には6歳で認知症を発症したケースも報告されているので、一概に高齢で発症するとも言い切れません。常日頃愛犬の様子をよく観察しておき、異変を感じたら早い段階でかかりつけ医に相談することをおすすめします。
犬のライフステージの区分は身体の大きさによって多少異なり、小型犬は10歳以上、中型犬は7歳以上、大型犬は5~6歳以上がシニアの目安です。
※「症候群」は、「はっきりとした原因は分かっていないものの、いくつかの症候が見られる場合の総称」であるため、認知症は厳密には病気ではありません。
認知症が疑われる症状は?
犬はシニア期に入ると被毛が白くなったり、視力や聴力が低下したり、トイレの失敗が増えたり、睡眠時間が長くなったりと、見た目にも行動にも変化が見られますが、認知症が疑われる症状の中にはこれらの老化のサイン(行動面)と似ているものも多くあります。愛犬の異変にいち早く気づくためにも、認知症の症状として見られる様子を知っておきましょう。
- 夜鳴きをするようになった
- 粗相をする
- 昼夜が逆転し夜起きている
- 狭いところに入ろうとし、出れない
- 攻撃的になる
- 旋回行動を繰り返す
- 名前を呼んでも反応しない
- ぼーっとしていることが増えた
- 今までできていたことができなくなる
- 食欲が異常になる など
愛犬の様子・行動が老化によるものなのか、認知症の症状によるものなのかは見分けるのが難しい部分もあるので、「いつもと違う気がする・・」と気になった時点で一度かかりつけ医に相談するとよいでしょう。
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認知症の原因ってなに?
犬が認知症になる原因については実ははっきりとは分かっていません。しかし、脳腫瘍や水頭症などの病気によって脳の細胞がダメージを受け認知機能が低下してしまうことや、加齢によってβ-アミロイドと呼ばれるタンパク質が異常に蓄積することで神経細胞が減少し脳機能の低下を引き起こすことなどが関わっているのではないかと考えられているようです。
柴犬が認知症になりやすいと言われているのはなぜ?
認知症はすべての犬が発症するリスクがあるものの、日本犬、特に柴犬は認知症になる可能性が高い犬種だと言われています。こちらもはっきりとした理由は明らかになっていませんが、認知症は加齢によって発症リスクが高まるため、比較的身体が丈夫で長生きする傾向にある柴犬は認知症になりやすいのではないかと考えられているようです。
また、柴犬の神経質な性格も認知症の発症に関わっている可能性があるという見方もあります。犬が認知症を発症する要因の1つとしてストレスの影響も示唆されており、繊細で神経質な性格をしている柴犬は環境の変化やストレスに敏感に反応しやすいため、認知症になりやすいのではないかと推測されています。
認知症の症状を緩和するためには
現時点で認知症を完全に治すことは難しいものの、症状の緩和や進行を遅らせるために普段の生活の中で飼い主さんができることはたくさんあります。具体的に見ていきましょう。
脳に適度な刺激を与えよう
シニア期に入ると歩くスピードがゆっくりになり、体力も低下するため、お散歩に行くのを嫌がる子も少なくありませんが、なるべく外に出る機会は設けるようにしましょう。日光を浴び、自分の足でさまざまな感触の地面を歩くことや草や土の匂いを嗅ぐこと、ほかの犬や人と触れ合うことなどは脳への刺激となり、認知症の予防や症状の緩和が期待できると考えられています。特に朝、太陽の光を浴びることは体内時計を整え昼夜逆転を防ぐためにも効果的です。
長時間連れ出すのは体に負担がかかってしまうので、愛犬の様子を見ながら時間を設定し、ペースを合わせて歩くようにしてください。無理はさせず、ときには抱っこしたり犬用カートを活用して可能な範囲でお散歩をしましょう。少し外の風に当たるだけでも気分転換、ストレス解消になります。
また、室内でできる遊びとしてノーズワークもおすすめです。単調な日々を過ごしていると認知機能が低下していってしまうので、日々の生活の中で脳に刺激を与えることを意識してみてください。
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食事に気を遣おう
青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3脂肪酸は、脳の神経細胞を活性化させたり、神経機能をサポートする働きがあります。そのため、これらの成分を含むドッグフードやサプリメントを取り入れることで、認知症の予防に繋がるかもしれません。
また、ビタミンC、ビタミンE、レシチンなどは抗酸化作用があり、脳の老化を緩やかにする効果が期待されているため、これらの栄養素が多く含まれている食事やサプリメントもおすすめです。
スキンシップも大切
柴犬は過度なスキンシップが苦手な子が多いですが、適度に話しかけたり、一緒に遊んだり、ブラッシングなどのお手入れを通して触れ合ったりすることは安心感を与えるだけでなく、脳を活性化する効果も期待できます。聴覚の衰えによりたとえこれまでのような反応は返ってこなくても、たくさん声をかけてあげてください。
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認知症はうまく付き合っていくことが大事
犬は高齢になると些細な刺激に敏感になって恐怖心・不安感が強くなる傾向にあることから寝つきが悪くなったり、筋力の衰えや歩くスピードがゆっくりになることからトイレまで間に合わず粗相をしてしまったり、視力・聴力の衰えから近くを通ったり声をかけても反応が鈍くなったり、何らかの要求があって夜鳴きをしたりと、これまでとは違う様子が見られることが多くなります。しかし年を重ねれば上記のような様子が見られたりできないことが増えるのは自然なことなので、飼い主さんは神経質になりすぎず、うまくできないことはフォローし、失敗しにくい環境を作ってあげることも大切です。
また、これらの行動の変化の中には認知症が原因となっているケースも少なくありません。認知症は治療が難しく、高齢になればなるほど発症のリスクが高まりますが、発症してしまっても早期に介入することができれば症状の進行を遅らせることができます。日頃から愛犬の様子をよく観察しておき、少しでも異変を感じたらなるべく早い段階で動物病院を受診することが大切です。
認知症は日常生活に影響を及ぼすので、愛犬だけでなく飼い主さんも戸惑ったり悩んだりすることも多いでしょう。もしも愛犬が認知症になった場合は、1人で抱え込まず、かかりつけ医に相談したり、ケアサロンやデイサービス、ペットシッターなどのサポートをうまく活用してくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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