牧羊犬の情報まとめ|歴史や人気犬種、訓練方法、出演作品などを紹介します
牧羊犬は、羊を一箇所に集めるため牧場を走り回り、羊たちを誘導する犬たちです。日本ではあまり馴染みはありませんが、海外では広大な敷地を駆け回り人々の手助けをしてくれていました。日本でも場所は限られるものの、牧羊犬たちの活躍をショーにして披露している施設もあります。ここでは、牧羊犬の歴史や犬種、訓練方法、牧羊犬が出演している映画などについてご紹介します。
牧羊犬の仕事について
牧羊犬は、牧場にいる羊や牛を誘導もしくは保護する役割を持った犬たちです。紀元前4300年ごろ、トルキスタンや古代エジプトの地層に牧羊犬と見られる犬の骨が見つかっていて、イラン周辺が発祥だと考えられています。この時代では牧羊犬は羊を盗まれないようにするために働いていました。その後、羊の毛や肉、革などが生産物として広がり始めると、中東からヨーロッパ、東アジアへと広がり、同時に家畜の飼育も盛んになりました。ヨーロッパ各地で交配が行われ、様々な牧羊犬が生まれました。
広大な敷地を駆け回り羊を誘導し、縦横無尽に走り回る働き者の印象が強いですが、どんな性格をしているのでしょうか。ここでは牧羊犬の犬種グループについて、特徴や性格などをご紹介します。
牧羊犬の特徴
牧羊犬の特徴は体力もあり、精神力もあり、活動的です。どの犬も体を動かすことが大好きで頭を使う遊びも好みます。そのため、牧羊犬はたくさんの運動量を必要とします。集中力が高く、仕事熱心で警察犬として活躍しているジャーマンシェパードドックも牧羊犬と同じグループの犬でした。
牧羊犬は、羊が群れから抜け出したときにすぐに追いかけて誘導するため、動くものには敏感に反応します。そのため、動く車や自転車、子供などにも反応し追いかけることがあります。牛を追い足に噛み付くことで誘導していたコーギーは、本能的に走る人の足に噛み付くこともあります。これらの性質から、牧羊犬にとってアジリティーやフリスビーなどは自身で考え行動することができるため、飼い主も一緒に楽しむことができ、コミュニケーションも取ることができます。
牧羊犬の性格
牧羊犬は明るく、人懐っこく、遊ぶのが好きで、賢い性格をしています。自分で考え行動することができるため、体を動かすアジリティーやフリスビーなどを好みます。頭が良いためしっかりしつけをしないと問題行動を起こすことがあるため、初めて飼育する方には少し難しい犬種です。
牧羊犬の代表犬種
ジャパンケネルクラブ(JKC)に牧羊犬・牧畜犬として登録されている犬種は全部で30種類います。犬の大きさは10kg前後の犬から20kg前後の大型犬までいます。ここでは牧羊犬の代表犬種をサイズ別にご紹介します。
ウェルシュ・コーギー・カーディガン|小~中型犬
ウェルシュ・コーギー・カーディガンは中型の牧羊犬です。ウェルシュ・コーギー・カーディガンは「小人犬」という意味で、カーディガン地方で活躍していました。胴長短足の筋肉質な体にフサフサな尻尾を持っています。ウェルシュ・コーギー・ペンブロークと体型がよく似ていますが筋肉量や尻尾の有無など違うところも多く、別の犬です。牧畜犬として主に牛の誘導・監視をしていたため、俊敏に動き回り、体力もあります。賢く飼い主に従順ですが、警戒心が強い一面もあります。
シェットランド・シープドッグ|小~中型犬
シェットランドシープドッグは小型の牧羊犬です。スコットランドのシェトランド諸島が原産の犬で、シェルティーの愛称で親しまれている犬種です。気候条件の厳しく飼料不足の環境で牧羊犬も小型化したようです。シェットランドシープドッグは羊、牛、豚、鶏などのたくさんの家畜を誘導・管理し、とても働き者で、重宝されていました。俊敏に動き回り、温厚、忍耐強い性格をしていて、賢く、従順です。
ボーダー・コリー|中型犬
ボーダーコリーは中型の牧羊犬で、ボーダーという愛称で親しまれている犬種です。イングランドとスコットランドの国境地域が原産なためこの犬種名になりました。ボーダーコリーは世界で一番活躍している牧羊犬で、運動能力だけでなく、知能も非常に高いためアジリティ、ディスクドッグ、ドッグダンスなどの様々な競技やショーなどにも向いています。俊敏に動き回り、賢く、臨機応変に行動することができ、利口な性格をしているため沢山の人に愛されている犬です。
オールド・イングリッシュ・シープドッグ|大型犬
オールド・イングリッシュ・シープドッグは大型の牧羊犬で、オールドなどの愛称で親しまれている犬種です。オールド・イングリッシュ・シープドッグの起源は正確な記述がないため詳しいことはわかりませんが、1771年にイギリスの画家がたれ耳の犬を描いていることからこの犬が初期型ではないかということも言われています。もともと牧場から市場への移動中の警護という役割を持っていました。オールド・イングリッシュ・シープドッグは垂れた耳と灰色と白色の被毛を持ち、顔周りも被毛に覆われています。もともと断尾されていた犬種ですが、動物愛護の方針で断尾をしない犬も増えてきました。
1人前の牧羊犬になるには1年以上かかる
牧羊犬になるための訓練をし、一人前の牧羊犬になるためには最低でも1年以上かかります。他にも牧羊犬だからといってすべての犬が慣れるわけではなく、その犬の生まれ持った性格や性質が重要になります。羊に恐れず立ち向かう気の強さ、不安になっても慌てない落ち着き、牧場の広大な敷地を走り回るための体力が必要です。これらが最低条件で、これをクリアしてから牧羊犬になるための訓練を行っていきます。
訓練方法はまず基本的なトレーニング(待て、来い、座れ、よしなど)を徹底的に行います。その後牧羊犬になるための訓練を行いますが、この訓練には牧羊犬に慣れている羊たちが必要です。牧羊犬は飼い主からの指示に従い行動するため、実践では飼い主からの指示が重要です。羊の動きを見極めて次はどの指示を犬に出すのか見極めます。そのため、牧羊犬の訓練のためには牧羊犬に慣れている羊たちと牧羊犬の指示や行動に慣れている飼い主が必要になります。実際に牧羊犬のトレーニングをしたい場合は牧羊犬の訓練をしているトレーナーに弟子入りすることをおすすめします。
訓練時に大事な道具「犬笛」とは?
犬笛とは細長い筒のような形をしていて、高い高周波を出すことにより犬に指示を出す笛です。犬にはよく聞き取れる音でも人には聞こえないもしくは聞き取りにくい音をしています。犬は犬笛の出す音の高さにより判断するため、音の高さを途中で変えることは止めましょう。犬笛を吹いたら良いというわけではなく、笛の音=良いこと=褒めてもらえるというふうに関連付けてしつけをしていきましょう。
牧羊犬が主人公の映画
牧羊犬が主人公の映画として「ベイブ」が有名です。ベイブは1995年にアメリカ合衆国で作られた映画です。とある農村で「子豚の体重当てコンテスト」の景品として農場の主の老人が子豚をもらうことから始まります。この子豚がベイブ、主人公です。この農場ではレックスとフライという2頭の牧羊犬も活躍します。ベイブが様々なトラブルを乗り越えて、牧羊犬ならぬ牧羊豚を目指す映画となっています。
牧羊犬種を家庭に迎える場合
牧羊犬を家庭に迎え入れる場合には、しつけや運動面で注意したいことがあります。牧羊犬は運動能力が高く、他の犬種に比べてかなりの運動量を必要とします。さらに賢く、遊びが好きな性格をしているので毎日ただの散歩だけでは物足りなく感じてしまいます。そのため、1日2回、1時間程度の散歩の他にボール遊びやフリスビー、アジリティーなどの競技を取り入れると喜びます。フリスビーやアジリティーは飼い主から指示を受け、犬自身頭を使いながら行動することができるため犬の満足感を得ることができます。
しつけ面では、とても賢い犬なので中途半端のしつけを行うと飼い主に対して言うことを聞かない、噛む・唸るなどの問題行動を起こすことがあります。しつけをすることで飼い主に従うことを覚えさせることが重要です。優しく、従順な犬たちなのでしつけ・運動面をしっかりクリアすれば家族としてとても頼りになる犬です。
マザー牧場・六甲山牧場で牧羊犬に会える
牧羊犬はマザー牧場や六甲山牧場で出会えます。マザー牧場は千葉県にある牧場で約150頭の羊を牧羊犬が誘導するダイナミックなショーです。ニュージーランドの牧羊犬「ハンタウェイ」と「ストロングアイ・ヘディングドッグ」の2頭が活躍します。牧羊犬には犬笛を使い指示を送りますが、吹き方を変えながら吹くことで2頭の牧羊犬を誘導している姿を見ることができます。六甲山牧場は兵庫県にある牧場でニュージーランドから来た「ジャフ」と六甲や牧場生まれの「ルーシー」の2頭の牧羊犬が活躍しているシープドッグショーを見ることができます。
牧羊犬の特性を理解して素敵なパートナーになろう
ここでは、牧羊犬の犬種、性格、訓練方法や、牧羊犬が出演している映画などについてご紹介しました。ボーダーコリーやシェットランドシープドッグなどの牧羊犬は古くから人間と一緒に暮らし、羊や牛などの家畜たちの監視や、羊の移動時は誘導や保護をするなど活躍してきました。牧羊犬犬種は人懐こく、優しいだけでなく、賢く遊びが大好きな犬です。愛玩犬として迎え入れる時は運動量やしつけの面で注意しなければいけない点もありますが、牧羊犬の性格や特徴を理解することで飼い主の素敵なパートナーになりますよ。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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