パグの歴史を知ろう~古代より愛されるぶさかわ犬のルーツ~
犬は太古の昔から人と関わりがある生き物です。現在世界には非公認も含めると700以上もの犬種が存在していると言われており、比較的新しく認定された犬も少なくありませんが、ぶさかわ犬として世界中にファンを持つパグは、とても古い歴史を持つ犬種であることをご存じでしょうか。今回はぺちゃ鼻が特徴のパグがどのような歴史を辿ってきたのかについて調べてみました。
パグの基本情報をおさらい
パグの歴史について見ていく前に、まずパグという犬種の基本情報をおさらいしておきましょう。
サイズ
パグの一般的なサイズは、体重が約6~8㎏、体高が約25~33㎝です。トイプードルやポメラニアンなどの超小型犬に分類されることもある犬種と比べるとやや大きく感じますが、パグも小型犬に分類されます。
筋肉質でがっしりとした体型のため適正体重であっても肥満だと勘違いされてしまったり、反対に肥満に気づかないこともあるので、きちんと体重管理をすることが大切です。
被毛の特徴
短毛ではありますが、アンダーコートとオーバーコートの2層構造であるダブルコートの犬種です。1年に2回訪れる換毛期ではアンダーコートが生え変わるため、大量に毛が抜けます。長毛種とは異なりトリミングは必要ないものの、毛周期が短いことから換毛期に限らず抜け毛が多いので、日頃から抜け毛に悩まされる可能性は高いでしょう。
ジャパンケネルクラブ(JKC)で公認されている毛色は「フォーン」、「ブラック」、「アプリコット」、「シルバー」の4色ですが、白いパグも存在しています。
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平均寿命
「アニコム家庭どうぶつ白書2024」の犬種別の平均寿命(2022年度)によると、パグの平均寿命は12.6歳となっています。小型犬の平均寿命が15歳くらいと言われていることを加味すると、やや短いと言えます。
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性格
パグは穏やかでフレンドリー、そして遊ぶことが大好きな性格をしています。攻撃性が低いことから無闇に吠えることはほとんどなく、飼い主さんに対して愛情深いため、初心者でも飼いやすいと紹介されることが多い犬種です。
ただし、普段はのんびりと過ごすことを好む一方で頑固な一面もあり、気分が乗らないとお散歩中に座り込んだり、この道は通りたくない!と拒否するといった声も聞かれます。
とはいえ他の犬や人に対して凶暴な振る舞いをするわけではありません。マイペースなのでしつけには根気がいる場面も出てきますが、基本的には素直で陽気な子が多いです。
パグの歴史について
今や世界中で愛されているパグですが、どのような歴史を辿ってきたのか気になったことはありませんか?冒頭でも述べた通りとても長い歴史のある犬種のため、パグの歴史については実は諸説あり、不明な点も多いです。ここでは、紹介されることの多い一連の歴史の流れをご紹介します。
ルーツはチベット(中国)
パグの歴史はとても古く、紀元前2000年頃には祖先犬が存在していたのではないかと言われていますが、そのルーツには諸説あり、正確なことは分かっていません。
パグの特徴的な見た目から、マスティフ系の犬が祖先である、もしくはどこかでマスティフ系の犬種と血統が混ざったと考えられています。原産国についてもさまざまな意見がありますが、紀元前400年頃にチベット(中国)の僧院で飼われていた犬がパグの祖先として最も有力であることから、中国という説が主流です。
当初は大型犬ほどの大きさでしたが、飼育しやすいようにペキニーズやチベタンスパニエルなどの犬種と交配をして小型化していったのではないかと言われています。
中国の王室では魔除けの力を持つ神聖な犬として宮廷で大切にされており、紀元前600年頃には中国の美術品や文献に現在のパグと同じ姿の犬が描かれていたようです。そのため、このころにはすでにわたしたちがよく知るパグの姿をしていたと考えられます。
アジアからヨーロッパへ
1500年代には東インド会社の商人に連れられ中国からヨーロッパに渡ります。オランダでは上流階級の人々に特に愛され、王室で積極的にブリーディングが行われたほか、王の肖像画にともに描かれたり、墓標に刻まれたり、王家のシンボルとなるなど、特別な存在として寵愛を受けていたと言われています。
また、スペインからの独立を目指してネーデルラント州(現在のオランダ)が起こした反乱(八十年戦争)の際に、野営していたウィレム1世は何者かによって暗殺されそうになりますが、「ポンペイ」という名前のパグが危険を察知し、主人に知らせて命を救ったという話は伝説として語り継がれているようです。
ただ、この「ポンペイ」という犬の犬種については意見が分かれており、パグのほかにもスパニエル種やビーグル、コーイケルホンディエなどの説があります。
1700年代にはフランスにも渡っていたようです。ナポレオンの最初の妻であるジョゼフィーヌが「フォルトゥネ」という名前のパグをとても可愛がっていたことは有名な話でしょう。
フランス革命でジョゼフィーヌが投獄された際には、彼女が収監されている部屋にフォルトゥネの出入りが許可されていたため、首輪に手紙を隠し、外にいる友人とやり取りをしていたというエピソードがあります。また、結婚当初、ジョゼフィーヌに近づこうとしたナポレオンの足に噛みついたという逸話もあり、ナポレオンはそれ以来、犬、とりわけパグが苦手だったと言われています。
1800年代にイギリスに渡ると、当時絶大な人気があったキング・チャールズ・スパニエルと並んで大人気となります。愛犬家として有名なヴィクトリア女王もパグを大層気に入り、パグの繁殖に力を入れていたんだとか。しかし、当時は顔のしわを目立たせるために耳を短く切る断耳が行われていたようです。
アメリカで犬種として認められる
1885年にはアメリカンケネルクラブ(AKC)によって正式に犬種として認定されました。
この頃までは毛色はフォーンのみでしたが、1877年にはブラックの毛色を持つペアのパグが登場したとされています。
「パグ」という犬種名の由来や呼び方について
犬種名には地名や役割、見た目などが由来となっているケースも少なくありませんが、「パグ」という犬種名は何が由来となっているのでしょうか。
犬種名の由来は?
パグは犬種名の由来も諸説あります。主なものは以下の通りです。
- ラテン語で「にぎりこぶし」を意味する「pugnus(パグナス)」から
- 中国語で「いびきをかいて眠る王様」という意味がある「パー・クー(覇歌)」から
- 「パグモンキー」と呼ばれるマーモセットに似ていたから
- 古い英語で「優しく愛されるもの」という意味から
この中でも最も有力なのは、「パグナス」が由来となっている説と言われています。なぜ「にぎりこぶし」なのかについては、パグの頭の形がにぎりこぶしに似ているから、という理由のようですよ。
国によって呼び方が異なる?
パグは国によって呼び方が異なるという特徴もあります。一例をご紹介しましょう。
- イギリス:ダッチ・パグ
- オランダ:モプスホンド
- ドイツ:モプス
- フランス:カーリン(カルラン)
モプスホンドにはおどけた犬、モプスにはしかめっ面という意味があるそうです。名前が世界共通ではないなんて興味深いですよね。
パグは古い歴史を持つ犬種
日本でパグが注目されはじめたのは比較的最近のことですが、世界では今日に至るまでの長い歴史の中で愛玩犬として愛されて続けていることが分かりました。
パグの特徴の1つでもある顔のしわは、漢字の「皇」に見えたことから、中国ではこのしわを「皇の印」と呼んでいたという話もあり、繁殖の際にはしわを重要視していたんだとか。このように、調べてみると「そうなんだ!」と思うような興味深いエピソードがたくさんあります。
パグはとても古くから存在しているため、その歴史については分かっていないことも多く、犬種名の由来にしても諸説ありますが、愛犬のルーツを知ることで新しい発見があったり、他の犬種との違いに気づくことができ、より一層愛おしさが増すのではないでしょうか。
愛犬について知ることは絆や理解を深めるために役立ちます。愛犬との暮らしをより豊かにするために、サイズや性格、かかりやすい病気といった情報のほかにも、歴史やルーツについてもぜひ調べてみてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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