【希少犬種】イーストヨーロピアンシェパードの基本情報|性格から平均寿命まで
シェパードと聞くと、ジャーマン・シェパードやホワイト・スイス・シェパードを思い浮かべる方も多いと思います。実はシェパードには、この2種類以外にも様々な種類があるのを知っていますか?ジャーマン・シェパード系に分類されるタイプとクローネンダールやタービュレン、マリノアなどの系統に分類されるタイプの2種類があります。今回ご紹介するイーストヨーロピアンシェパードは、ジャーマン・シェパードと同じ系統で、東ヨーロッパ・ベラルーシ原産のシェパードです。そんなイーストヨーロピアンシェパードとはどんな犬なのでしょうか?今回は、イーストヨーロピアンシェパードの歴史や性格、寿命、被毛の特徴などをご紹介します。
目次
イーストヨーロピアンシェパードの歴史について
現在のロシアでは、VEOと略されて呼ばれることもあるイーストヨーロピアンシェパードは、1920年代に、ドイツから牧羊犬として旧ソビエト連邦のベラルーシに輸入されたジャーマン・シェパードが祖先犬です。
当時のベラルーシでは、厳しい寒冷地の気候に対応しさらにジャーマン・シェパードの遺伝疾患である股関節の問題を克服し、健全で訓練性が高く防衛本能の強い警察や軍隊で活躍できる軍用犬を求めていました。イーストヨーロピアンシェパードは、そんなベラルーシでジャーマン・シェパードにシベリアの土着犬であるライカ、コーカサス・シェパード、中央アジアのシェパードなどとの交配によって1930年代に作出された犬種です。
新しい品種として誕生したイーストヨーロピアンシェパードは、ジャーマン・シェパードよりもしっかしとした体と強い顎を持っていたことから、旧ソ連軍や諜報機関であるKGBに正式に採用されました。また、このイーストヨーロピアンシェパードのブラックは、クレムリン宮殿の警備犬として長年配属されています。
犬種の登録はされていない
国際畜犬連盟(FCI)では、犬の性質や使役ごとにグループ分けをして各犬種を分類しています。また、ジャパンケネルクラブ(JKC)でも、FCIの基準をもとにグループ分けをしています。ジャーマン・シェパードは、本来の使役が羊を追うことであったことから牧羊犬グループに登録されています。
しかし、様々な犬種をクロスブリードして作出されたイーストヨーロピアンシェパードは純血種ではないため、FCI、JKCをはじめアメリカンケンネルクラブ(AKC)、ケンネルクラブ(KC)などに犬種登録されていません。
イーストヨーロピアンシェパードはどんな性格?
ジャーマン・シェパードの血を受け継ぐイーストヨーロピアンシェパードは、非常に賢いことで知られ、KGBではスパイ犬としての使役を果たしていたこともあったほど。また、人の嘘を見抜くこともできるという才能も持っています。
とても賢く訓練性の高いイーストヨーロピアンシェパードですが、警戒心が強く、防衛本能が強いシェパードとしての性格も持っています。侵入者に対しては、攻撃をすることもありますが、家族には優しく従順な面があります。
性格をふまえたトレーニングとは
イーストヨーロピアンシェパードは、ジャーマン・シェパード同様に訓練性の高い犬種ですが、独立心と警戒心が強く、頑固な一面があるため、指導力のあるリーダーが必要です。子犬期からしっかりとしたリーダーシップを発揮して、イーストヨーロピアンシェパードが持つ素晴らしい能力を引き出してあげることが大切です。
イーストヨーロピアンシェパードの平均寿命と適正体重
ロシアでは人気のある犬種ですが、日本では見かけることのないイーストヨーロピアンシェパード。ジャーマン・シェパードが持つ遺伝疾患をなくし、さらに健康体であることを願って作出されたイーストヨーロピアンシェパードですが、残念ながらシェパード特有の肘関節、股関節形成不全といった遺伝疾患を受け継ぐ個体もあるようです。
平均寿命はジャーマン・シェパードと同等
イーストヨーロピアンシェパードは、大型犬の中でも比較的健康な犬種とされています。平均寿命は、ジャーマン・シェパードと同等の10〜14歳と言われています。
適正体重は?
たくましい筋肉質な体つきに防水性の高いダブルコートが特徴のイーストヨーロピアンシェパードは、オスは約35〜60kg、メスでは30〜50kgが標準体重だとされています。肘関節、股関節形成不全を予防するためにも、肥満には注意が必要です。
必要な運動量は?
イーストヨーロピアンシェパードは牧羊犬としての気質を受け継いだアクティブな犬種です。運動不足は大きなストレスとなるため、ランニング、ボール遊び、フリスビーなどの遊びや、自転車での引き運動などを毎日、最低でも2時間程度の運動を行って、運動欲求を満たす必要があります。
また、賢い犬種でもあるため、運動以外に精神的な刺激も必要です。トレーニング、アジリティ、ノーズワーク(臭気選別)など、知覚、体力どちらも満たすことが健全なイーストヨーロピアンシェパードを育てるコツといえます。
イーストヨーロピアンシェパードの被毛の特徴とお手入れの仕方
寒冷地で生活することを前提として作出されたイーストヨーロピアンシェパードは、厚いアンダーコートと中程度の長さの豊かなオーバーコートが特徴です。被毛カラーは、ブラック、シルバー、レバー、ホワイト、ブルーなどの単色タイプと肩から背中にかけて「鞍」と呼ばれるマーキングが入ったタイプの2タイプがあります。
お手入れ方法
たっぷりした厚い被毛で覆われているイーストヨーロピアンシェパードは、毎日のブラッシングはもちろん、定期的なシャンプーそして換毛期には丁寧なブラッシングが必要です。また、耳が汚れやすいため定期的なケアは欠かせません。さらに、他の犬種と比べ、爪が伸びやすい傾向があり、月に2回程度の爪切りが必要です。
警備犬としての能力も認められているイーストヨーロピアンシェパード
ソ連の諜報機関KGBで、様々な使役を担い活躍していたというイーストヨーロピアンシェパード。現在は、家庭犬としてもロシアでは人気犬種となっているようですが、その賢さから飼い主のリーダーシップに加え、犬に対する詳細な知識を求められる犬種でもあるのです。残念ながら、現在でもロシア以外ではほとんど見ることができない犬種ですが、もしロシアに旅行で行く機会があれば、ぜひ探しみてください。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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