犬の嚙み合わせについて。アンダーショットをご存知ですか?
人間には歯並びなどを綺麗に整える審美歯科がありますが、犬の歯並びや嚙み合わせはどうでしょうか。
中には「アンダーショット」と呼ばれる嚙み合わせの特徴を持つ子がいます。犬のアンダーショットとは一体どのような状態を指し、歯列矯正や抜歯などの治療は必要なのか解説します。
犬のアンダーショットとは
それぞれの歯には役割があり、正しい位置に生えることによってしっかりとした噛み合わせとなります。
では、犬のアンダーショット(アンダーバイトとも呼びます)とはどのような状態なのでしょうか。
顎が受け口になっている状態
上顎よりも下顎の方が長く、いわゆる受け口になっている状態のことを指します。口を閉じると下の歯が上の歯よりも前に出ていることが特徴です。その要因は様々ですが遺伝的なものが多く、親犬がアンダーショットの場合生まれてきた子犬も不正咬合の可能性があります。
また、子犬の頃に顎が骨折または脱臼した場合にも起こることがあります。
アンダーショットがスタンダードの犬種
アンダーショットがスタンダードとなっている犬種がいます。ブルドッグやフレンチブルドッグ。パグ、ボクサー、ペキニーズ、ボストンテリアなど意外に数は多いです。
いずれの犬種も下顎が横に広くてがっしりしていること。またスカル(頭蓋骨)からマズルまでの長さが短い短頭種だということに注目です。
アンダーショットは問題?
多少のアンダーショットであれば特に生活に支障はありません。多少、水が飲みにくいなどといった程度ですが、極端なアンダーショットの場合は伸びた犬歯が上の歯肉を傷つけることもあり、噛み合わせが悪くてうまく咀嚼できず食べ物を丸のみしてしまうことにも繋がります。
また、歯垢が付着しやすく歯周病のリスクが高まりるため歯磨きは丁寧にしなければなりません。
犬のアンダーショット|矯正の必要はある?
アンダーショットの状態になっていることで、見た目を気にしてしまう方もいらっしゃることでしょう。歯の噛み合わせを良くしてあげたい気持ちも分かります。
では、人間のあいだでは一般的な歯列矯正が、犬にも必要はあるのかについて考えていきましょう。
犬の矯正に伴うリスクとは?
歯列矯正にはリスクが伴います。その理由として、人間の歯科治療と違い部分麻酔が用いられない、全身麻酔が必須となることが挙げられます。
全身麻酔が犬の体に掛ける負担は大きく、体質や年齢、基礎疾患の有無などによっては大きなリスクを背負うことにもなりかねません。
特に全身麻酔による副作用は心肺機能に大きな影響を与えるので、判断の前に獣医師としっかり相談する必要があります。
実は犬の歯列矯正の専門医もいる
犬の歯に関する治療と言えば、歯石除去・修復・抜歯などが主ですが、歯列矯正を治療内容としている動物病院は少なからず存在します。噛み合わせのズレ程度であれば矯正器具等を用いて治療し、もし犬歯が歯肉に食い込んでいるなど大掛かりな歯列矯正をする必要がある場合は、全身麻酔をして外科的矯正が必要となります。
犬の嚙み合わせはアンダーショット以外にもある
犬の噛み合わせには、大きく分けるとアンダーショットを含めて4種類あります。
基本の噛み合わせ|シザーバイト
犬の正しい噛み合わせの基本だとされていて、上歯の裏側に下歯の表側が接触している状態です。噛み合わせも良好で、まるでハサミを閉じたように隙間がないためシザーと呼ばれています。
その他の噛み合わせ|微少なズレなら問題はない
展覧会やショードッグとして出場するのであれば別ですが、噛み合わせが多少ずれている程度であれば生活に支障は出ません。その他の噛み合わせを見ていきましょう。
オーバーショット
いわゆる出っ歯のこと。下顎より上顎のほうが長く、上の歯の方が前に出ていて下歯とは隙間が空いています。全ての犬種でふさわしくない状態だとされていますが、多少のズレであれば生活に支障はありません。
レベルバイト
上下の前歯の先端がきっちりと噛み合っている状態です。水平咬合とも呼ばれています。
犬のアンダーショット|特徴やチャームポイントとしてとらえるのも
もしあなたの愛犬がアンダーショットで、食べる飲むなど基本的な生活に問題がないのであれば、あえて矯正をせずに自然のままにしておくという決断も大切です。それも「うちの子のチャームポイントだ」と捉えてみてはいかがでしょうか。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!