犬が「ごま油」を舐めちゃった!体への影響と注意点について
芳ばしい香りで食欲をそそるごま油は様々な料理で活躍するため、常備しているご家庭も多いと思います。人間にはごまは身体に良いものというイメージが定着していますが、犬にとってはどうなのでしょうか?今回は、ごま油に含まれる成分や愛犬が摂取した場合に起こり得るリスクなどを解説していきます。
ごま油の成分って?
ごま油には、犬にとって害になる成分が多く含まれているわけではありません。そのため、ちょっとだけ舐めてしまった程度では問題にならないことの方が多いと言えます。しかし一方で、愛犬にとって有用な部分もあるかもしれませんが、わざわざ与えなくても良い食材です。ごま油の主成分は脂肪酸となり、その80%以上は不飽和脂肪酸で、残りは飽和脂肪酸になります。脂肪酸の作用については人が摂取した場合のものであり、犬でも同じ効果が得られるとは限らないので留意の上でご覧ください。
不飽和脂肪酸
ごま油に多く含まれるリノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸は、植物や魚の油に含まれています。分子の構造の違いから「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分類されますが、リノール酸は多価不飽和脂肪酸、オレイン酸は一価不飽和脂肪酸になります。
リノール酸(※)
体内で合成できない脂肪酸を「必須脂肪酸」と言いますが、リノール酸は犬の必須脂肪酸となります。血栓や動脈硬化・血圧・LDLコレステロールにアプローチする作用があります。ただし、光や熱、空気に触れると酸化しやすいという性質があります。
オレイン酸(※)
オレイン酸は、オリーブオイルに多く含まれています。血液中のLDLコレステロールを下げる効果があります。
飽和脂肪酸
主に肉や乳製品などの動物性食品に多く含まれます。過剰に摂取するとコレステロールが増え、血管が詰まりやすくなります。
セサミン
近年注目されるゴマの成分として「ゴマリグナン」があります。その中には有名な「セサミン」が含まれていますが、セサミンには強力な抗酸化作用があると言われています。
愛犬にごま油を与える際に気をつけること
身体に良いイメージのあるゴマから作られている「ごま油」ではありますが、愛犬に与える際には注意点があります。
与えた後は愛犬の様子を観察する
食べ慣れない食材を与えた後は、犬の体調に何らかの変化が起こる場合があります。飼い主さんが外出する前などに与えることは控え、与えた後しばらくは犬の様子を観察するようにしましょう。もし気になる症状が現れ動物病院を受診する際には、与えた時間や量を説明できるようにしましょう。
与えすぎに注意
少量を舐めさせる程度であればあまり問題ありませんが、与えすぎると消化不良を起こす可能性があります。また、あくまで油なので過剰に摂取するとカロリーオーバーになり、肥満になることが考えられます。ごま油のカロリーは大体100gあたり921kcalです。
愛犬にごま油を与える際に伴うリスク
ごま油は有用な成分を多く含む食材ではありますが、犬に与える場合にはリスクを伴います。
アレルギー
犬の体質によっては、ごま油に対してアレルギー反応を起こしてしまうことがあります。食物アレルギーの主な症状は口周りや目の周りの痒み、下痢や嘔吐、目の充血などが挙げられますが、通常は原因となるものを与えなければ改善します。
脂質代謝異常症
ごま油を大量に摂取した場合、脂質代謝異常症を引き起こす可能性があります。犬が脂質代謝異常症になると、血液中の中性脂肪やコレステロール値が高くなり、肥満や糖尿病、甲状腺機能低下症を発症する原因となります。
嘔吐や下痢
ごま油に限りませんが、食べ慣れない食材を与えることで嘔吐や下痢などの消化器症状を引き起こすことがあります。摂取量が少なく一過性の症状で済むこともありますが、もし嘔吐や下痢が続いたり症状が悪化するようであれば対処する必要があります。
ごま油は積極的に与えなくてよい食材
ごま油には、愛犬にとって多大な害を及ぼすような食材ではありません。そのため、ちょっとだけ舐めてしまった程度では問題になることは少ないと言えます。しかし一方で、愛犬の健康のためには、わざわざ与えなくても良い食材です。犬が健康を維持するために必要な成分は、総合栄養食とパッケージに記載されたドッグフードにきちんと配合されています。ごま油を与えたい場合は一口だけ舐めさせるなど少量に留め、与えた後はアレルギー反応などが起こらないか様子を見るようにしましょう。
(※1)参考文献:厚生労働省 e-ヘルスネット
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この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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