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【獣医師監修】犬の疥癬(かいせん)の原因は?人間にはうつる?初期症状や治療法も解説

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犬が「身体を掻いている仕草」を見かけたことがある飼い主さんは多くいらっしゃると思います。痒みの原因はさまざまで、病的でない場合はある程度掻いたら掻くのをやめますが、いつまでも痒がって毛が抜けるまで掻きむしっている時は注意が必要です。

今回は、犬がいつも以上に身体を掻きむしっている場合に、考えられる原因のひとつである「疥癬」という外部寄生虫疾患について、症状や原因、治療法から予防法までをご紹介します。

【獣医師監修】犬の疥癬(かいせん)の原因は?人間にはうつる?初期症状や治療法も解説
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目次

  1. 犬の疥癬(かいせん)はどんな症状?
  2. 犬の疥癬(かいせん)は何が原因で発症する?
  3. 犬の疥癬の治療方法は?
  4. 犬の疥癬を予防する薬はない
  5. 愛犬を疥癬から守るためにできること

犬の疥癬(かいせん)はどんな症状?

犬 疥癬

「痒くてたまらない!」といった様子で愛犬がやたらと体を掻きむしっていることはありませんか?

痒みにはさまざまな原因があります。大まかに言うと、気にしなくても良い一時的な痒みと病院に連れて行くべき病的な痒みがあります。

とにかく痒くて仕方ない様子があり、毛が抜けてしまう、皮膚が赤い、かさぶたができている、フケが大量に出るなどの症状が見られたら、疥癬という外部寄生虫感染による皮膚疾患の可能性も疑いましょう。

とにかく痒い!

激しい痒みや炎症、脱毛などを引き起こす疥癬は、ヒゼンダニという目には見えない0.2〜0.4mmほどの小さなダニの感染によって起きる皮膚疾患です。

ヒゼンダニにはいくつか種類がありますが、犬が感染するヒゼンダニは『イヌセンコウヒゼンダニ』という種類のダニです。このヒゼンダニは犬に寄生すると皮膚の角質層にトンネルを作り、その中に住みつき、産卵や排便などを行います。これらヒゼンダニの分泌物や糞が強い痒みを招くのです。ヒゼンダニは感染力が強いことが特徴で、接触感染によって拡大するので注意が必要です。

初期症状

疥癬の特徴は、重度の痒みです。初期症状としては、常に体を掻きむしっている、特定の部位を噛んだり舐めているなどの行動が見られます。また、症状が進行すると、赤いポツポツ、脱毛、かさぶたなどが見られます。

ヒゼンダニは被毛のない皮膚を好むとされているため、お腹、耳、肘、膝、かかとなどの被毛のない部位で発症するのが一般的です。

疥癬が進行すると…

ヒゼンダニに犬が感染すると数日で痒みや赤い発疹が発現します。ヒゼンダニは、20日前後で卵から成虫へと成長していくと言われることから、20日~約1ヶ月程度でダニの数が増え、それに伴って皮膚症状は激しくなります。疥癬には、たくさんのダニが寄生することで大量のフケが出る角化型疥癬とヒゼンダニに対してアレルギーを起こすアレルギー型疥癬の2タイプがあります。

重症化することも

多くのヒゼンダニの寄生によって、疥癬が重症化すると激しい痒みだけではなく、リンパの腫れ、発熱などの他に体重減少などの症状が現れることがあり、完治までに数ヶ月以上かかる可能性があります。

他の犬や人間にうつる?

感染力の強いヒゼンダニは、接触するだけで感染する伝染力の強さが特徴です。また、犬同士だけではなく人間にもうつりますヒゼンダニが寄生している犬を触ったり、抱っこするなどの接触によって感染するため注意が必要です。

疥癬と診断された犬と暮らしている場合、多頭飼いの家庭では、感染している犬を隔離する必要があります。

また、飼い主さんをはじめ同居している人間にも感染する可能性があります。特に、小さな子供や高齢者は感染しやすいので注意が必要です。人間への感染は、犬と接触後24時間以内に、痒みが起こるとされていますが、犬との接触を避けることで2週間程度で自然治癒すると言われています。

犬の疥癬(かいせん)は何が原因で発症する?

犬

疥癬の原因となるヒゼンダニは、もともとはタヌキなどの野生動物が持っているダニです。野生動物が生息している自然豊かな草原や山などでは、タヌキなどが落としたヒゼンダニが生息しています。そのような場所に出かけた犬が、ヒゼンダニを付着させた状態で帰ってくることで疥癬を発症します。感染症である疥癬は、症状のある犬との接触によって感染します。そのため、犬が疥癬を発症する原因はいくつかあります。

疥癬の原因|1.多数の犬がいる環境から犬を迎えた場合

ペットショップや保護施設など、不特定多数の犬がいる施設では、疥癬を発症している犬と同じ空間で生活をしていることが多くあります。疥癬は接触によって感染するため、狭い空間に多数の犬が暮らしているような環境にいた犬を迎えた場合は注意が必要です。

疥癬の原因|2.多数の犬が出入りする場所に行った時

疥癬は発症している犬との接触によって感染する病気です。ドッグラン、トリミングサロンなどへ行った後に、強い痒み症状を発現した場合、疥癬を疑いましょう。勿論、疥癬の他にも接触感染でうつる寄生虫疾患は他にもあるので、詳しく調べるには動物病院で検査を行う必要があります。

また、皮膚疾患を発症している犬と同じタオルやブラシなどを共有することによっても病原体が感染する可能性があるため、こまめな消毒を行っている清潔なトリミングサロンを選ぶようにしましょう。

疥癬にかかりやすい犬種や年齢

疥癬は、子犬やシニア犬といった抵抗力が低い犬が発症しやすいと言われています。また、ヒゼンダニは被毛のない部分を好むため、ヘアレスの犬種、シングルコートの犬種やトリミングによって被毛を剃ってしまっている犬やサマーカットなどをしている犬は注意が必要です。

犬の疥癬の治療方法は?

犬

伝染力の強い疥癬は、他の犬や人間にうつさないためにも、早期発見、早期治療が必要となります。あまりにも激しく犬が痒みの症状を見せている場合には、疥癬の可能性を疑い、早めに動物病院へ連れて行くことがおすすめです。

殺ダニ剤でヒゼンダニを駆除

疥癬の治療方法としては、まずセロハンテープを皮膚の表面に貼り付けて、感染の有無を確認する皮膚検査や痒みのある部分の皮膚をかき取って、寄生虫の検出を行う検査が行われます。

検査によってヒゼンダニの存在が確認されると、通常はイベルメクチンなどの殺ダニ剤を投与します。症状の度合いによって、投与される薬が異なりますが、初めは滴下型の薬を定期的に投与し、経過を観察します。改善されない場合は、薬の種類を変更し、完全にヒゼンダニを駆除します。

疥癬の治療で注意が必要な犬とは

疥癬の治療には、殺ダニ剤が有効ですが、フィラリア症を発症している犬の場合は、この薬によってショック症状を起こす可能性があります。また、コリー種をはじめとする遺伝子変異を持つ犬種は重篤な副作用が出ることから一般的にイベルメクチンは使用されません。

多頭飼いは要注意!

疥癬は少しの接触でも感染する感染症であるため、多頭飼いの場合は痒みなどの症状が見られなくても全ての犬に対しての検査が必要となります。また、家庭に小さな子供や高齢者が同居している場合も念のため皮膚科を受診するようにしましょう。

疥癬の治療にかかる費用

疥癬は、犬に多い病気です。治療内容はその犬それぞれの状態によって異なり、治療費や治療期間はまちまちです。

大まかな目安として、通院1回当たりの平均治療費は4000円前後ですが、動物病院によって異なります。また、治療期間も、1~2ヶ月程度またはそれ以上かかる場合があり、治療期間が長引けばそれに比例して治療費は加算されていきます。

なお、皮膚疾患の治療は長期にわたることもあるので、完治するまでしっかりと根気よく治療を継続していきましょう。

犬の疥癬を予防する薬はない

犬 シャンプー

一度感染してしまうと、犬にとって大きなストレスとなる疥癬ですが、予防薬や予防法がないことから注意が必要です。残念なことに、通常のノミ、ダニ駆除薬の効果も期待できません。重症化すると全身の健康状態にも影響するため注意が必要な病気です。

ドッグランなどは注意が必要

多くの犬が集まるドッグランは、疥癬に感染する可能性が最も高い場所です。ドッグランで遊んだ後は、丁寧なブラッシングとシャンプーを心がけ、1週間以内に皮膚の症状が出た時には、なるべく早く動物病院を受診することがおすすめです。

再発する可能性

ヒゼンダニは、治療薬によって駆虫することが可能です。ただし、前述のように疥癬は予防薬がないため、罹患している犬との接触による感染は防げません。あまりにも何度も強い痒みを発症する場合は、いつも犬が寝ている場所のこまめな掃除や毛布、タオル、ぬいぐるみなどを洗濯し、清潔な生活環境を作るようにしましょう。

愛犬を疥癬から守るためにできること

犬 疥癬

疥癬を発症させるヒゼンダニは、通常のダニと違い季節を問わず生息しています。また、いつどこで、愛犬が発症するのかもわからない厄介な病気です。感染している犬との接触を避ける以外に予防法はありませんが、定期的にブラッシングやシャンプーをして常に清潔に保つように心がけることが大切です。また、抵抗力が落ちると重症化しやすくなるため、健康状態にも気を配りましょう。犬の皮膚症状に気がついた時には、できるだけ早く動物病院を受診して、早期治療を行うことが大切です。

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choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

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