犬の拾い食いをやめさせたい方必見!しつけや対処法を詳しく解説
愛犬が室内や道に落ちているものに興味を示して口にしてしまうと、ヒヤッとしますよね。
拾い食いをしても犬の体にとって害がないものであれば、数日で便と一緒に体外に排出されます。
しかし、拾い食いをしたものによっては犬の体にさまざまな症状が起きたり、最悪の場合は命を落としたりしてしまうこともあります。
そこでこの記事では、犬の拾い食いの原因や対策、拾い食いをしてはいけない注意すべきものについて紹介していきます。
犬の拾い食いとは
犬の拾い食いとは、室内や道に落ちているものを飼い主の許可なしに食べてしまうことです。
犬にとって興味を引かれたものを口に咥えて確かめるという行為は、本能的な行動であり、自然なものです。
そのため、しつけがしっかりとできていない子犬に多くみられます。
拾い食いをしたものによっては、体に悪影響を与えるものもあります。
しつけや拾い食い防止グッズで事前に防いだり、拾い食いができない環境を飼い主が作ってあげたりすることが大切です。
しつけ方を誤ると愛犬との関係を築くうえで悪影響を及ぼすことがあるので、正しいしつけの仕方についても知っておきましょう。
拾い食いをしたら起こる症状
愛犬が拾い食いをしてしまっても、犬の体にとって害のないものであれば数日経ってから便となって出るため、そこまで心配する必要はありません。
しかし、害があるものを拾い食いをしてしまった場合は、以下のような症状が出ることがあります。
拾い食いをしてしまった後は、愛犬をこまめに観察し、異変があった場合は早めに獣医師に相談するようにしましょう。
下痢や嘔吐などの体調不良
食べ慣れていないものや体質に合わないものを食べることで、下痢や嘔吐の症状がみられることがあります。
何度も下痢や嘔吐を繰り返さない場合は、そこまで心配する必要はありません。
下痢や嘔吐に加え、熱があったり、ぐったりしていたりといった症状がある場合には注意が必要です。
また、嘔吐と下痢のどちらの症状もある場合は、拾い食いをした食べ物をとおして感染症にかかった可能性もあります。
早めに獣医師に相談しましょう。
たばこ中毒
たばこに含まれるニコチンによって、中毒症状が引き起こされる場合があります。
症状としては下痢や嘔吐をはじめ、幻覚症状、血尿や血便などです。
ほかにも大量のよだれが出る、ぐったりしている、痙攣などの症状が確認されることもあります。
時間がたつと悪化し、最悪死にいたるため、拾い食いを確認した後は、吐き出させるか、可能な場合はすぐに動物病院にいきましょう。
また、ニコチンは水に溶けやすい性質があります。
例えば、たばこの吸い殻を拾い食いしてしまった後に水を飲んだり、雨水を含んだたばこの吸い殻を食べてしまったりするとします。
そうすると、体内のニコチンが吸収されるスピードが上がり、約15分ほどで症状が出る可能性もあります。
たばこの拾い食い以外にも、たばこの火を消した水を飲んだ場合も中毒症状が出るため、たばこには特に注意しましょう。
寄生虫による感染症
道に落ちている動物の糞や死骸を拾い食いし、感染症にかかることもあります。
症状としては下痢や嘔吐などが主で、便から寄生虫が出ることもあります。
特に衛生環境の悪い場所や犬や猫などの動物が、多く行き交う場所を散歩するときには注意が必要です。
胃や腸の詰まり
犬には口に入れたものを噛まずに飲み込む習性があるため、胃に詰まってしまったり、腸閉塞を引き起こしたりすることもあります。
そのため、道に落ちている石やゴミなど食べ物以外のものを拾い食いすると、消化できない状況に陥ってしまいます。
室内でもおもちゃやビニール袋などを食べてしまうことがあるので、犬の手が届くところには危険なものを置かないようにしましょう。
命を落とす
腐ったものや犬にとって有毒となる食べ物、植物を拾い食いしてしまった場合には、最悪の場合死にいたることがあります。
ほかにも焼き鳥の串や、肉・魚の骨が消化管に刺さって亡くなるケースもあります。
また、非常に稀ですが、農薬や毒物を故意に含んだ食べ物が落ちていることもあるので、普段から拾い食いをしないようしつけておくことが重要です。
犬が拾い食いをする原因
犬が気になるものを口に入れて確認するのは自然なことです。
今回は犬が拾い食いする3つの原因を紹介します。
原因を理解して効果的な対策をとってあげましょう。
本能的要因
拾い食いは本能的な行動であるため、犬にとっては悪いことではなく自然な行動です。
犬は狩猟動物なので、外に落ちているものが動くと本能的に追いかける習性があります。
さらに、獲物をほかの動物に取られないよう口の中に入れてしまいます。
食べるつもりはなかったとしても、口に入れて確かめているときに丸呑みしてしまうこともあるのです。
生理的要因
食事の量が足りなかったり、栄養バランスが満たされていなかったりすると拾い食いをすることがあります。
特に子犬のときは、栄養をたくさんとろうとし、とにかくなんでも口にしようとするので、犬が気になるようなものを近くに置かないようにしましょう。
心理的要因
愛犬の拾い食いに飼い主が慌てている様子をみて、「喜んでいる」と勘違いしてしまう犬もいます。
かまってもらうために拾い食いを繰り返すことにつながるため、正しくしつけをしてあげましょう。
犬が拾い食いをしないよう注意すべきもの
拾い食いをすると体に症状が出てしまったり、最悪の場合死にいたったりします。
以下に該当するものを愛犬が拾い食いしてしまった場合は、速やかに動物病院にいき治療をしてもらいましょう。
人間の食べ物
人間と犬では必要な栄養素が異なります。
そのため、人間の食べ物は犬の体に悪影響を与えてしまうこともあります。
例えば人間の食べ物は塩分が多く、摂取量によっては心臓や腎臓の疾患につながりやすくなるといった報告もあるほどです。
また、特定の食べ物が犬にとっては有害となります。
例えば、ネギ類やチョコレートは代表的な有害な食べ物です。
ネギ類に含まれる成分は貧血を起こすといわれています。
また、チョコレートに含まれるテオブロミンという成分を分解するのに時間がかかり、体内に長時間残ってしまうため中毒症状が起こるとされています。
基本的には人間の食べ物を愛犬に与えないようにしましょう。
植物
人間にとって有毒な野草があるように、犬にとっても拾い食いをすると危険な植物があります。
ナス科やバラ科、ツツジ科などの植物には毒があるといわれています。
特に家庭菜園をしている方は育てる植物の種類に注意してあげましょう。
また、ポインセチア、モンステラといった観葉植物にも毒があるため、飾る場合にはペットの手が届かない場所に置く必要があります。
さらに、ジャガイモの芽も犬が食べると中毒症状が出てしまいますので、保存場所には気をつけましょう。
その他
私たちの暮らしには、食べ物以外でも犬にとって危険となりうるものが多くあります。
例えば人間の薬や化粧品などです。
また、鶏肉や魚の骨など先が尖っているものも喉に刺さる可能性が高く危険です。
ほかにも洗剤や除光液、漂白剤などの水回りにある液体類もこぼして舐めてしまう可能性があります。
液ダレがないか、蓋がしっかりしまっているかなどを確認しておきましょう。
犬が拾い食いをしたときの対処法
愛犬が拾い食いしてしまったときには正しい対処が重要です。
実際に起こったときは、焦って正しい行動ができなくなる場合があります。
事前に正しい対処法と間違った対処法を確認しておきましょう。
正しい対処法
拾い食いを確認した場合は、何を食べたかや食べたものの大きさで対応が変わります。
小さなもので犬にとって有害なものでない場合は、愛犬の様子をしばらく観察し、体調が優れない様子がみられたときは、動物病院に連れていきましょう。
もしも、たばこや犬の体に有害な成分を含む食べ物を拾い食いしてしまい、中毒症状がみられる場合は動物病院に速やかに向かってください。
愛犬が何をいつどのくらい食べたかといった情報をできるだけ細かく獣医師に伝えられるようにしておくとよいです。
間違った対処法
拾い食いをしたときに間違った対処をしてしまうと、状況を悪化させてしまいます。
どうしても焦ったときには間違った対処法をとってしまいやすくなるので、落ち着いて対応するのがポイントです。
無理やり吐かせる
拾い食いを目の当たりにすると、ついつい焦って無理やり吐かせようとしてしまいます。
気道を傷つけたり肺炎を引き起こしたりといった原因になりかねないので、窒息した様子がみられない限りは無理に吐かせないようにしましょう。
特に先が尖ったもの、洗剤などを口に入れてしまった場合、吐かせようとすると状況の悪化につながります。
速やかに動物病院へ連れていきましょう。
叱る
犬にとって拾い食いは本能的なものであるため、叱るのは間違った対処法です。拾い食いが悪いことだという認識がなく、叱るという行動が犬にとっては飼い主が喜んでいると感じてしまうこともあります。
叱るよりも冷静になって何を食べたか、愛犬の様子はどうかなどを把握することが重要です。
無理やり取る
口の中から無理やり取ろうとするのは、飲み込む危険性を高める行為です。
犬は狩猟本能が備わっているため、せっかく口でとった獲物を取られそうになると焦って飲み込んでしまいます。
飼い主から指示があったときに、口に入れたものを出すというしつけを普段からしておきましょう。
その際に、ものを出すとご褒美がもらえることを覚えさせるとよいです。
効果的な犬の拾い食い対策
犬の拾い食いを防ぐには、拾い食いができない環境作りや普段からのしつけが重要です。
今回は効果的な対策を4つ紹介します。
環境を整える
犬にとって拾い食いは自然な行動なので、まずは愛犬が拾い食いをしないですむ環境を作ってあげましょう。
自宅の環境
危険な薬や化粧品、洗剤などは犬の手が届かない場所に置いておく必要があります。
また、キッチンには、柵をつくって愛犬が入れないようにするのがおすすめです。
人間の食べ物や生ゴミなどを拾い食いしやすい環境を減らしてあげましょう。
お散歩中の環境
飼い主が散歩道を広い視野で確認しながら歩き、拾い食いしてしまいそうなものがないかを早めに察知できるようにしましょう。
事前にわかっていれば、ゴミや食べ物などを見つけたときに、愛犬の注意がそれらに向かないようコントロールできます。
ゴミや食べ物が多く落ちている道を、そもそも散歩コースに選ばないのが拾い食い対策の一つとして効果的です。
また、道の真ん中よりは両脇に拾い食いしやすいものが落ちているので、なるべく道の真ん中を歩かせるようにしましょう。
しつけをする
拾い食いが悪い行為だと思っていない子犬の頃には、特にしつけをしっかりしてあげる必要があります。
自宅とお散歩時それぞれの正しいしつけ方法を紹介します。
自宅でのしつけ
飼い主の指示があってから食べ物を食べるという癖をつけることが重要です。
指示があるまで食べるのを待てたときにはおやつを与えたり、なでたりしてご褒美を与えましょう。
お散歩時のしつけ
お散歩時には、飼い主が注意をそらす合図に従うようにしつけ、お散歩中の行動をコントロールできるようにしておきましょう。
どうしても拾い食いをしてしまう愛犬には、道具を使ったしつけもおすすめです。
例えば、口が使えない状態を作り出せるアヒルの口ばし型をした口輪があります。
シリコン型なので、口を傷つけることもありません。
ほかにも拾い食いをしそうになったときに、音や超音波で犬の注意が引ける道具もあります。
道具を使っても改善がみられない場合は、プロにしつけを任せることも検討しましょう。
まとめ
今回は犬の拾い食いについて詳しく解説しました。
人間の生活環境は犬にとって危険なもので溢れています。
拾い食いは死につながってしまう可能性もありますが、犬にとって危険なものを把握し、正しい対処法を知っておくことで最悪の場合を防ぎましょう。
この記事のライター
nana
泳ぎも走りも得意な運動神経抜群のゴールデンレトリバーと暮らしています!今は愛犬とタンデムサーフィンの練習中。いつまでもアクティブに楽しく過ごせるような情報を発信していきます。
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