【獣医師監修】人間とは異なる犬の生理について|周期や期間、注意点などまとめて解説します
犬の生理について、詳しくご存知でしょうか。人間に生理があるように、避妊をしていないメスにも外陰部からの出血を伴う様子が見られます。しかし犬の生理(ヒート)は人間の月経とは異なるものです。
ここでは犬の生理の仕組みや期間、生理中に注意することなどについてご紹介します。メスを飼っている方はぜひ、参考にしてください。
犬の生理の仕組みについて
犬に見られる生理のような現象は、正式には「発情出血」といいます。
卵巣で卵胞の排卵に向けての準備が進むと、エストロゲンと呼ばれるホルモンの濃度が上がり、これからの妊娠に備えて子宮内膜の血液量が増え、子宮内膜の血管が破けて出血します。その血液が子宮頸管、膣を通過して外陰部から排出されます。
犬の性周期について
犬の性周期は「発情前期」「発情期」「発情休止期」「無発情期」の4つの期間から構成されています。
発情前期(約5~10日間)
発情に向けて子宮や卵巣が準備を始める時期で、生理のような発情出血はこの時期に始まります。陰部はぷっくりと腫れ、陰部を気にして舐める仕草が見られます。
発情期(約10~14日間)
妊娠の準備が整い、交尾を許容する時期です。発情期に入りおよそ3日目に排卵が起こります。発情出血のピークを迎えた後、徐々に量が少なくなり、色もピンク色に変化します。
発情休止期(発情後期・約2ヶ月間)
妊娠が成立した犬にとっては、妊娠・分娩・授乳の時期になります。妊娠していない場合は身体が普通の状態に戻り、出血も止まります。中には妊娠していないにもかかわらず、妊娠したような状態になる「偽妊娠」の症状が見られることもあります。
無発情期(約4ヶ月~6ヶ月)
ホルモンの分泌がおさまり、繁殖に関する機能が休止する時期です。犬は心身共に落ち着いた状態になります。
犬の生理の期間は?
1回目の発情期が来るタイミングは個体によって異なりますが、生後6〜10ヶ月です。一般的には大型犬よりも小型犬の方が早く見られます。
その後は、年に1~2回の発情期を周期的に繰り返します。
出血する期間は?
個体差がありますが、20日ほど続きます。
何歳まで続くもの?
加齢に伴い生理の間隔が開き、出血量も減っていきますが、人間のような「閉経」はありません。
生理中は元気がなくなる?
個体差はありますが、生理的な現象に伴い次のような体調の変化が見られます。
- 落ち着きなくそわそわする
- ぬいぐるみなどにマウンティングするようになる
- 元気が無くなる
- 食欲の低下
- 水をたくさん飲む、尿の量が増える
- 神経質になる
飼い主さんにできること
生理中の犬は、そっと見守ってあげましょう。病気とは異なりますが体調に変化が起きやすく、神経質になることもあるので、長時間のお出かけや旅行は避けた方が無難です。
食欲が無いのであれば、無理に与える必要はありません。心配な場合は、普段の食事に嗜好性の高いウェットフードや少量のおやつを混ぜても良いでしょう。あまりに食欲が無ければ、別の病気の可能性もあるので動物病院を受診しましょう。
犬の生理中に気をつけること
犬の生理中に、飼い主さんが気をつけたいことをご紹介します。
愛犬の様子をよく観察しよう
生理中の犬は身体にさまざまな変化が起こり、食欲低下や元気が無くなるなどの普段とは違った様子が見られるようになります。
ただし、何らかの病気が原因になっていることもあります。特に、発情休止期の犬は免疫力が低下し、感染症などの病気にかかりやすくなっています。生理中に見られる症状が極端な場合や、発熱・下痢・嘔吐などの症状を伴う場合には早めに動物病院を受診しましょう。
出血が長く続く場合は、子宮の病気かも
未避妊の高齢犬は、子宮蓄膿症という命に関わる病気にかかるリスクが高くなります。子宮蓄膿症は子宮に膿が溜まる病気で、食欲不振、元気消失、多飲多尿などの症状が見られます。
「開放性」と「閉塞性」があり、開放性では子宮内の膿(もしくは血膿)が陰部から排出されます。閉塞性では子宮の出口が閉じているため、子宮内に膿が溜まり続け、腹部が腫れてきます。放っておくと、どんどん重篤な状態となり、命に関わります。陰部やお腹周りの様子をよく観察しておきましょう。
周りの犬への配慮を忘れずに
発情中のメス犬はフェロモンを分泌するため、未去勢のオスは敏感に反応します。近づいた犬とのトラブルや、望まない妊娠を防ぐためにも、外出先で他の犬と遭遇しないようにしましょう。散歩の時間やコースを変えるのも有効な対策です。
また他の飼い主さんにも生理中とわかるよう、マナーパンツを履かせると良いでしょう。
犬の生理についてしっかり理解しておこう
発情期のメスは、そわそわしたり、食欲低下などいつもと違った様子が見られます。これから犬を迎える方は、生理の仕組みやサイクルについてよく理解しておきましょう。
発情出血が長引いたり、あまりにも元気・食欲がない場合には病気の可能性があります。治療が遅れると命に関わることもあるので、早めに動物病院を受診しましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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