犬にピーナッツバターは与えない方がいい?あげない方がいい理由や・注意点・引き起こす症状など
アメリカ人のソウルフードとも言えるピーナッツバター。犬の爪切りの際に、自分のおでこにピーナッツバターを塗り、犬が舐めている間に爪切りをするという動画をご覧になった方も多いのではないでしょうか?なんともピーナッツバター好きのアメリカ人らしい発想です。動画の通り、犬もピーナッツバターが大好物ですが、だからと言っておやつ代わりやご褒美として積極的に与えることはおすすめできません。
今回は、犬にピーナッツバターを与えない方がいい理由、与える場合に知っておきたい分量や注意点、ピーナッツバターを犬が食べた場合に考えられる症状について解説します。
目次
犬にピーナッツバターは与えないほうがいい
犬にピーナッツバターをご褒美やおやつ程度に与えることは問題ないという意見も多くあります。確かに、ピーナッツバターを少量与えても、すぐに犬の健康に害を及ぼすものではありません。美味しいピーナッツバターは犬にとって大きな魅力。ピーナッツバターがあれば、大嫌いな爪切りやシャンプーをやらせてくれる可能性もあります。
しかし、ピーナッツバターには犬の健康を害するさまざまなリスクが潜んでいることも忘れずにいてください。
犬にピーナッツバターがおすすめできない理由
最近では国産のピーナッツバターも店頭に並ぶことが増えてきていますが、日本で販売されているピーナッツバターの多くはアメリカから輸入されているもの。香ばしくて美味しいピーナッツバターですが、犬に与えることをおすすめできない理由があります。
理由【1】脂肪分が多い
ピーナッツバターには豊富な脂肪分が含まれています。特に、不飽和脂肪酸が多く含まれていますが、酸化したオメガ6が多いことが指摘されています。犬は、オメガ6を摂取することでアレルギーや関節疾患などを起こす引き金となることが最近の研究でわかっています。ピーナッツバターに含まれているオメガ6は、犬の健康に良いとされるオメガ3の約30倍にも上ります。
このほかに、脂肪分の摂りすぎは、犬が急性膵炎を発症する可能性があります。特に、脂肪を制限されている犬の場合や膵炎を発症している犬には与えないようにしましょう。
また、ピーナッツバターは製造の過程で、油との分離を避けるために特殊な工程が行われます。その際に作られるのが、トランス脂肪酸です。トランス脂肪酸は、近年、健康を害する成分として問題視されていることをご存知の方も多いのではないでしょうか。トランス脂肪酸を継続的に摂取することは、犬の健康にとって悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
理由【2】ピーナッツバターにはアフラトキシンが含まれている可能性がある
アフラトキシンは、穀類やナッツ類などに含まれているアスペルギルスと呼ばれるカビ毒の一種で、発がん性のある物質の一つです。ピーナッツそのものを食べる場合には、目視でカビの有無を判断できますが、ピーナッツバターのように加工された製品には、このカビの発生を確認する方法がありません。このアフラトキシンは、犬の肝臓に悪い影響を与える可能性があります。
理由【3】キシリトールが含まれている製品がある
キシリトールは甘味料の一種で、砂糖の代替え品として人気が高まっている物質です。最近では、ピーナッツバターにも砂糖の代わりとしてキシリトールが使用されることが多くなっています。人間にとって有効なキシリトールですが、犬は低血糖症を引き起こす危険な物質。キシリトールはわずか1gで犬の命にかかわることもあるのです。ピーナッツバターには、このキシリトールが含まれている製品があるため注意が必要です。
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理由【4】レクチンが多い
レクチンは、植物に含まれている毒素の一種です。近年の研究で、レクチンが健康にさまざまな悪影響を及ぼすことがわかってきています。中でも、リーキーガット症候群と呼ばれる腸に炎症を起こし、最終的に全身性の炎症を引き起こす症状が注目されています。ピーナッツなどのマメ科の植物にはこのレクチンが豊富に含まれているのです。
理由【5】海外産のピーナッツバターには残留農薬が多い
ピーナッツを栽培する過程で使用されている除草剤の中には、犬の健康を害する成分が含まれています。除草剤は収穫の直前に使用されるため、ピーナッツには農薬が残留していることがわかっています。ピーナッツバターに使用されているピーナッツにもこの除草剤が使用されているため、犬の健康を害するきっかけとなる可能性があります。
犬がピーナッツバターを食べた場合に考えられる症状
アメリカでは多くの飼い主が普通のおやつと同じ感覚で与えているピーナッツバターやピーナッツバターを使用したおやつを与えて、以下のような症状が出た場合は与えるのをやめ動物病院を受診しましょう。特に、ビスケットなどのおやつは与える際に、原材料表示をよく確認することが大切です。
症状【1】嘔吐・下痢などの消化器症状
犬は脂肪分の高い食品を食べると、嘔吐や下痢をすることがあります。これは、消化不良によるもの。また、急性膵炎を発症しても同じように嘔吐や下痢を繰り返すようになります。急性膵炎は、重症化すると多臓器不全を起こす恐ろしい病気です。
症状【2】かゆみを伴う皮膚症状
犬がピーナッツバターを食べた後に、全身または一部にかゆみを伴う皮膚炎を発症した場合は、ピーナッツバターによるアレルギー症状だと考えられます。
症状【3】元気がない、食欲が低下する
犬がピーナッツバターを食べて急に元気が無くなった場合は、キシリトール中毒によって急激に血糖値が低下している可能性も考えられます。キシリトール中毒は、犬の命にも関わる重大な症状です。ピーナッツバターのラベルに、「無糖」「砂糖不使用」と書かれている場合でも、甘味料としてキシリトールが使われていないか原材料表示をよく確認し、もし使用されていることが分かった場合には、すぐに動物病院へ連れて行くことが必要です。
犬にピーナッツバターを与える際の注意点
ピーナッツバターの消費が世界一であるアメリカでは、犬に薬を与える際にピーナッツバターを使います。犬が大好きなピーナッツバターは、困った時のお助けアイテムとも言えますが、やむをえず与える際には以下の点に注意しましょう。
注意点【1】糖分不使用のものを与える
一般的に市販されているピーナッツバターには、多くの砂糖が使用されています。また、前述のように、砂糖の代わりにキシリトールを使用している製品もあります。購入の際にはよく原材料を確かめ、糖分不使用のピーナッツバターを選んでください。
注意点【2】アレルギーに注意する
ピーナッツは、アーモンドなどのナッツ類とは異なりマメ科ラッカセイ属の植物です。マメ科の植物にはレクチンが豊富に含まれています。レクチンは、アレルギー性の皮膚疾患や心臓疾患を誘発する成分であることが最近の研究からわかっています。犬にピーナッツバターを与えて、かゆみや発疹などのアレルギー症状が出た場合には、すぐに動物病院で診察を受けることがおすすめです。
注意点【3】与える際にはごく少量を
ピーナッツバターのカロリーは、100gあたり640kcalです。もう少しわかりやすい量に換算すると、大さじ1杯(17g)で108kcalです。健康な犬の1日の必要カロリー量は約709kcal。市販されている一般的なドッグフードのカロリー量は100gあたり約350〜400kcalですから、ピーナッツバターは少量でも高カロリーであることがわかります。ピーナッツバターを与える場合の目安は、食事の10%以下とすることを基準とし、他のおやつなどの間食は与えないことが大切です。1日の目安量として、小型犬では小さじ1杯程度、中型犬〜大型犬で小さじ2杯程度としましょう。
ピーナッツバターは特に犬に与える必要がない食材!
アメリカでは、錠剤やカプセルの薬を与える時や知育玩具の内側にピーナツバターを塗って留守番時に与える飼い主が多くいます。これは、アメリカ人にとってピーナッツバターは身近でいつでも手元にある食材だから。最近では、ピーナッツバターを使用した犬用おやつのレシピなどもインターネット上に公開されていますが、記事に記したようなリスクを考えるとあえてピーナッツバターを使用する必要はないと考えられます。愛犬の健康を第一に考えるのであれば、ピーナッツバターは与える必要がない食材と認識することが大切です。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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