犬に牛乳を与えて大丈夫?飲んだ場合の対応や犬用ミルクの特徴を紹介
栄養豊富な牛乳ですが、犬が飲んでも大丈夫なのかと思う飼い主さんもいますよね。
基本的に、犬に牛乳はNGです。
今回は犬が牛乳を避ける理由や、飲んだときの対応を解説します。
例外的に飲ませたい場合や犬用ミルクについても解説していますので、ぜひ読んでみてください。
犬に牛乳を与えるのは基本的に避けた方がいい
犬に牛乳を与えるのは、基本的に避けた方が無難です。
犬が牛乳を避けるべき理由と、牛乳を加工してできる乳製品は与えてもいいのかどうかを解説します。
犬に牛乳は基本的にNGな理由
犬に牛乳を与えるのを避けるべき理由は、以下の3つです。
- 乳糖不耐性を起こす可能性があるため
- アレルギー反応を起こす可能性があるため
- 肥満となりやすいため
順番に見ていきましょう。
乳糖不耐性を起こす可能性があるため
犬が牛乳を避けるべき理由は、乳糖不耐性(ニュウトウフタイセイ)を起こす可能性があるためです。
乳糖不耐性とは体に持っている消化酵素「ラクターゼ」が少ないために、牛乳に含まれる乳糖をうまく分解できない状態を指します。
乳糖不耐性をおこした場合の症状は、消化不良や下痢です。
私たち人間でも牛乳を飲む度にお腹が痛くなる人がいますが、その場合も元々持っているラクターゼの量が少ないと考えられます。
犬は人間よりも元々持っているラクターゼが少ないため、牛乳を与えるのは止めましょう。
ちなみに牛乳だけでなく犬の母乳にも乳糖は含まれますが、なぜ子犬はお腹を壊さずに母犬のお乳を飲めるのでしょうか。
実は子犬の体にはラクターゼ酵素が多く存在しているのです。
ラクターゼは離乳後に体から徐々に減っていきます。
子犬のときに母乳を飲んでも平気だったから、成犬でも牛乳を飲めるだろうという認識は避けるようにしてください。
ちなみにどれだけの量を飲めば乳糖不耐性を起こすのかは個体差があるため、一概には言えません。
少量舐めただけでも消化不良や下痢を起こしてしまう犬もいるため、与えないようにしましょう。
アレルギー反応を起こす可能性があるため
犬に牛乳を与えるのが良くない理由は、アレルギー反応を起こす可能性があるためです。
体に入ってきた牛乳の成分を犬の身体が異物とみなしてしまうと、免疫機能が働きます。
牛乳成分を体の中から排除しようとすると同時に引き起こすのが、以下のようなさまざまな症状です。
- 発疹
- 皮膚炎
- 下痢
- 嘔吐
- 脱毛など
下痢や嘔吐は重度であれば脱水へとつながり、素早い処置が必要となります。
愛犬が牛乳に対するアレルギーがあるかの検査は動物病院にて行えますが、乳糖不耐性やこの後紹介する肥満のことを考えると与えない方がよいでしょう。
肥満になる可能性があるため
犬に牛乳を与えることがよくない理由は、肥満になる可能性があるためです。
牛乳には以下の成分がバランスよく含まれているため、飼い主さんのなかには愛犬の体に必要だろうと考える方も多くいます。
- カルシウム
- タンパク質
- 脂質
- 炭水化物
- ミネラル
- ビタミンなど
確かに牛乳は私たち人間だけでなく、成分だけ見れば愛犬にとっても体にいい飲みものです。
しかし牛乳は同時に多くのカロリーも含んでいるため、飲み過ぎると肥満になる恐れもあります。
また総合栄養食のフードを主食にしていれば、そこまで栄養バランスに配慮する必要もありません。
肥満は呼吸器や関節、心臓などに負担をかけ病気へとつながる可能性があるため、牛乳を与えないようにすることが大切です。
牛乳が含まれる加工品にも注意が必要
犬に牛乳を与えないほうがいい理由について見てきましたが、牛乳を加工した乳製品も乳糖が含まれているため注意が必要です。
乳糖不耐性の面だけでなく、生クリームやアイスクリーム、練乳などは食塩や糖分が多量に含まれているため避けましょう。
ただし乳製品のなかでも、ヨーグルトや熟成チーズに関しては発酵の過程で多少乳糖が分解されます。
そのためほかの加工品に比べると、乳糖不耐性を起こすリスクが少ないといえるでしょう。
完全にゼロになったわけではないため与える際は注意が必要ですが、どうしても乳製品を与えたい場合、ヨーグルトや熟成チーズを選んでください。
犬が牛乳を飲んでしまった場合
犬が牛乳を飲んでしまった場合、特別に飼い主さんが自宅でできることはありません。
飲ませるつもりはなかったのに愛犬が牛乳を飲んでしまった場合、慌てる気持ちはよくわかります。
しかし落ち着いて、しばらく様子を見てください。
観察中に愛犬の体調に変化が見られた場合、動物病院へ連れて行き診察を受けましょう。
しばらく様子を見る
愛犬が牛乳を飲んでしまったら、特別なことはせずに様子を見守りましょう。
たとえば牛乳ではなく異物を飲み込んだ場合は病院へ連れて行って吐かせるなどの処置が行えますが、牛乳の場合ではあまり現実的ではありません。
飲んでしまった牛乳を少しでも薄めようと、水を飲ませることも避けてください。
水を飲ませることで逆にお腹の調子を崩してしまう可能性があります。
愛犬の体調に変化がないようであれば、そのまま自宅で過ごしましょう。
飲ませるつもりではなかったのに飲んでしまった場合は、牛乳の置き場所や取り扱いを検討してみてくださいね。
体調に異変があれば動物病院に連れて行く
愛犬に下痢や嘔吐など明らかな体調不良が見られた場合、病院に連れて行きましょう。
その際は以下のように症状をまとめてから動物病院へ行くと、スムーズに診察が行えます。
- どんな症状が出ているか
- 牛乳を飲んでしまったのはいつか
- どんな色の下痢や嘔吐を何回したか
- 元気さや食欲など犬の様子
下痢や嘔吐を起こした場合は実際に出たものを持っていくか、写真に撮って獣医師に見せると判断材料として役立つ場合もあります。
慌てずに落ち着いて、動物病院へ連れて行ってください。
例外的に犬に牛乳を飲ませたい場合
飼い主さんが牛乳の豊富な栄養素を愛犬に与えたいと考える場合や牛乳で少し味付けをしないと薬を飲まない場合など、牛乳を飲ませたい場合もあるでしょう。
例外的に牛乳を飲ませる場合、以下のポイントを意識してみてください。
- 牛乳は基本的に犬に与えるものではないと認識しておく
- 常温で与える
- 薄めて与える
- 何も混ぜないで与える
順番に見ていきましょう。
牛乳は基本的に犬に与えるものではないと認識しておく
前述した犬に牛乳を与えない方がいい理由について確認し、基本的に牛乳は犬に与えるべき飲みものではないと認識しておきましょう。
その上で例外的に与えたい場合、飼い主さんが愛犬の体調観察ができ、変化に対応できる時間で与えるようにしてください。
また一度だけでなく継続的に牛乳を飲ませたい場合、犬に向けて作られた犬用ミルクの方が安全です。
犬用ミルクについては最後に特徴や選び方について解説していますので、気になる方はぜひ読んでみてください。
常温にする
例外的に犬に牛乳を飲ませたい場合、牛乳は冷たいものではなく常温または少し温めたものを与えましょう。
牛乳に限らず冷たい飲みものを飲んで胃腸に刺激を与えると、腸の蠕動運動が促進されて下痢を引き起こしてしまうためです。
また冷たい牛乳によりお腹の血管が収縮して血流が悪くなることで、消化不良も引き起こす可能性があります。
犬に食べものや飲みものを与える際は、常温で与えるよう意識してください。
薄める
例外的に犬に牛乳を飲ませたい場合、少し水で薄めてあげるとよいでしょう。
水で牛乳を薄めても、牛乳に含まれる乳糖の量は変わりません。
しかし水で薄めたぶん摂取する牛乳の量は少なくなるため、愛犬への負担が減らせます。
乳糖の摂取量を少しでも減らしたい飼い主さんは、牛乳を薄めて与えてみてください。
何も混ぜない
例外的に犬に牛乳を飲ませたい場合、薄めるだけでほかに何も混ぜずに与えましょう。
インターネットなどで牛乳について調べるうちに、牛乳に○○を混ぜた方がいいという情報を目にするかもしれません。
しかし混ぜる食材の適切な配分は犬によって異なります。
混ぜた結果乳糖不耐性やアレルギー反応により体調を崩したとしても、何が原因なのか判断がつきません。
牛乳を与えるのであれば牛乳だけにし、ほかのものは混ぜないように与えてください。
犬用ミルク
あまり水を飲まない愛犬へ脱水を防ぐためや薬を飲ませるためなど、牛乳を与えたい飼い主さんには、人間用の牛乳ではなく犬用ミルクがおすすめです。
最後に犬用ミルクの特徴と選び方について紹介します。
犬用ミルクの特徴
犬用ミルクは犬の母乳に近づけて作られた商品で、以下の特徴を持っています。
- 人間用の牛乳と比較して乳糖が少ない
- 粉ミルクや液体ミルクなど形状が選べる
- ライフステージごとに適した成分が配合されている
- 安全性にこだわった商品もある
犬用ミルクは私たち人間が飲む牛乳と比較して乳糖がカットされて作られているため、飲んでも下痢を起こしにくいのが特徴です。
お湯に溶く粉ミルクやそのまま与えられる液体ミルクなど形状も選べるため、時々使いたい場合は粉、継続的に使いたい場合は液体など使い分けられます。
この後の選び方でも紹介しますが、ライフステージごとに適切な成分が配合され、安全性にこだわった商品もあります。
継続的に愛犬に牛乳を与えたいと考えている飼い主さんは、犬用ミルクを選ぶとよいでしょう。
犬用ミルクの選び方
ひと言に犬用ミルクといっても多くの種類があります。
より愛犬に適したミルクの選び方は以下のとおりです。
- 年齢や目的に対して適切な商品か
- 健康状態に適した成分か
- 気になる原材料が含まれていないか
順番に見ていきましょう。
年齢に対して適切な商品か
犬用ミルクを選ぶ際は、年齢や目的に対して適切な成分が含まれているか確認しましょう。
年齢に合わないミルクを継続的に摂取してしまうと、体に必要な栄養バランスが崩れてしまう恐れがあります。
商品によって適した犬の年齢が明記されているため、チェックしてから購入するようにしてください。
健康状態に適した成分か
犬用ミルクを選ぶ際は、愛犬の健康状態に適した成分なのかどうかも確認しましょう。
たとえば、肥満傾向の愛犬に高カロリータイプのミルクを与えてしまうと、さらに太ってしまう可能性があります。
病後や手術後で身体への負担を減らしたい愛犬には、消化吸収に優れてミネラルや電解質が豊富なミルクがおすすめです。
また、便秘傾向の犬に向けて乳酸菌の入ったものや食物繊維が配合されたものもあります。
愛犬の健康状態に適した成分が入っているかどうかも確認してください。
気になる原材料が含まれていないか
犬用ミルクを選ぶ際は、気になる原材料が含まれていないかも確認しておきましょう。
フードの成分には気を配っているのに、犬用ミルクの成分は無頓着な飼い主さんも少なくありません。
なかには発がん性が指摘されている酸化防止剤が使われている製品も存在するため、気になる飼い主さんは最初にしっかりと原材料を確認しておきましょう。
ヤギミルクやラクダミルクもチェックしてみる
犬用ミルクのなかには、牛乳ではなくヤギやラクダのお乳を使った商品もあるためチェックしてみましょう。
ヤギミルクは牛乳に比べてアレルギーになりにくいうえ、犬の母乳に近くお腹にやさしい特徴を持っています。
ラクダミルクは牛乳に比べ、低脂肪でありながら豊富な栄養素を含み免疫力の維持にも役立つ特徴を持っています。
ヤギミルクやラクダミルクは近年注目されているミルクです。
気になる飼い主さんは、一度試してみてはいかがでしょうか。
犬用ミルクを与える場合でも体調の変化に注意する
犬用ミルクは牛乳に比べ犬が飲んでもお腹をくだしにくい特徴がありますが、乳糖を完全にゼロにしているわけではありません。
犬によっては犬用ミルクでも下痢を起こしてしまう場合があるため、与えたら愛犬の体調の変化に十分注意してください。
また乳糖不耐性と同様アレルギー反応にも注意する必要があります。
初めて与える際は動物病院の診療日であることを確認し、何かあった場合でも飼い主さんが対応できるように予定の詰まっていない日を選びましょう。
まとめ
今回は犬に牛乳を与えてもいいのか、飲んでしまった場合の対応を紹介しました。
牛乳は犬にとって特別必要な飲みものではありません。
もし誤って飲んでしまった場合は体調の変化に注意し、必要であれば病院に連れて行きましょう。
どうしても与えたい場合は今回紹介した注意点を守り、継続的に与える場合は犬用ミルクを検討してみてください。
この記事のライター
satoko
わんちゃん大好きなドッグライターです!愛犬のコーギーに癒される日々を送っています。皆さんにとって有益な情報を発信できるよう頑張ります!
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