【獣医師監修】愛犬をフィラリア症から守る|予防薬の種類や費用、投薬方法などをまとめました
日本ではフィラリア予防が飼い主の義務として一般化しているため、犬のフィラリア感染はかなり少なくなりました。しかし、毎年しっかり予防していなければ、依然として高い確率でかかる可能性がある怖い病気でもあります。
この記事では、犬のフィラリア症についての基本情報と、予防薬の種類、費用、投薬方法などをまとめて紹介します。
犬のフィラリア症は死に至ることもある危険な病気
犬のフィラリア症とは、「犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)」とも呼ばれ、白く細長いフィラリアという寄生虫の成虫が心臓や肺動脈に寄生することで起こる病気です。フィラリア症は、感染初期の段階での症状はあまり目立たないため、愛犬の異変に気づくのは難しいと言えます。しかし、放置してしまえば最悪死に至る可能性もある重大な病気です。
フィラリアはどのように感染していくのか
フィラリアは、蚊を介して犬の体内に侵入していきます。すでにフィラリアに感染している犬の血を蚊が吸うと、血液中にいるフィラリアの幼虫も一緒に吸い上げます。この幼虫を持った蚊が別の犬を刺すことで、犬の皮膚から体内へ幼虫が入り込み、フィラリアに感染します。このサイクルを繰り返すことで、フィラリアに感染している犬から未感染の犬へと広がっていくのです。
日本でのフィラリア症感染率
日本では、フィラリア予防の普及によって以前と比べると感染率は随分と少なくなりました。特に都心部ではフィラリア症に感染した犬を見ることは少ないですが、田舎での感染率は3割にのぼると言われています。
予防をせずに屋外で飼育した場合、1年で約半数の犬が感染するというデータもあり、蚊に刺されやすい環境で暮らしている犬はそれだけ感染リスクが高まります。
犬のフィラリア症予防薬の種類について
フィラリアは、薬によってほぼ100%予防が可能な病気です。感染して発症してしまうと治療が困難な病気でもあるため、予防することがとても大切です。ここでは、フィラリア薬の種類と入手方法、費用について紹介します。
フィラリア予防薬の種類
フィラリアの予防薬には、さまざまな種類がありますが大きく分けると内服薬、外用薬、注射薬の3種類になります。
錠剤などの内服薬は月1回の投薬を行い、スポット剤も月1回の塗布が必要になりますが、注射薬は、注射すると製品によりますが約半年〜1年間効果が継続するため、必要な間隔で行います。
注射は体重の変化が著しい1歳未満の子犬には接種することができません。スポット剤はフィラリアと同時にノミ・ダニ予防もできる製品も流通しています。
フィラリア予防薬を入手する方法
フィラリア予防薬は、通販でも入手可能ですが、基本的に動物病院で獣医師の診断を受けて、処方してもらうのが好ましいと言えます。予防の手順としては、フィラリアの予防薬を処方する前に、動物病院でフィラリアの抗原検査という血液検査を実施し、フィラリアに感染していないかを確認し、今年の予防を開始します。
もしも、血液検査の結果が陽性だった場合、感染虫が体内で死んで血流に流されて末梢血管に詰まることを防ぐため、予防薬の投与自体が不可能になることがあります。
通販で購入したい方も多くいらっしゃると思いますが、フィラリア薬投与前の血液検査が必要であることや、予防薬投与後、副作用などによる体調不良のリスクを考慮すると、動物病院での診察を受けてからの購入が望ましいと言えます。
フィラリア予防薬にかかる費用の目安
予防薬の費用は、薬の種類や愛犬の体重によって異なります。
体重5kg程度の小型犬であれば、内容薬は1回分800〜1,000円程度、外用薬は1回分1,500~2,500円程度です。注射は、1回5,000円〜10,000円程度となっています。
フィラリア症の予防薬の投薬方法について
フィラリアをしっかりと予防するためには、定期的に薬を飲ませる必要があります。ここでは、薬を飲ませる頻度から上手な飲ませ方、期間について紹介していきます。
フィラリア予防薬を飲ませる頻度
一般的なフィラリアの予防薬は1ヶ月間隔で飲ませる必要があります。
フィラリアが犬の体内に侵入してから、血管に入り込むまで2ヶ月の準備期間があります。そのため、フィラリアが血管へと移動する前に確実に駆除しなくてはいけないので、月1回の頻度で行う必要があります。
もし、うっかり投薬を忘れて2ヶ月以上空いてしまった、その間に蚊に刺された可能性があるかも?という場合は、投薬を再開する前に、動物病院でもう一度フィラリアの抗原検査を行うこともできます。まずは、かかりつけの獣医師にどうすれば良いか相談しましょう。
薬の上手な飲ませ方と苦手な子への対処法
愛犬が薬を口から出さずにしっかり飲み込ませるには、コツが必要です。
愛犬が警戒して構えないよう優しく撫でてあげながら、お座りの姿勢をさせて、背後から包み込むように抑えます。顔の上から片手で顎をもち、上を向かせて犬歯のすぐ後ろに指を入れて優しく口を開けましょう。
喉の奥(舌の奥の方)に薬を素早く入れ上を向かせたまま口を閉じます。数秒そのまま上を向かせて、喉を優しく撫でてあげましょう。
慣れないうちは暴れてしまうこともありますが、口を開けない場合は力ずくで開けないようにしてください。愛犬の好きなおやつやご飯に混ぜてあげたり、すり鉢で粉の状態にして振りかけるなどの他の方法もあります。
さらに、フィラリアの薬には錠剤を飲むのが苦手な子向けにチキンフレーバーなどで味付けされた嗜好性の高いチュアブルタイプもあります。錠剤を与えるのが難しい場合は、獣医師に相談して愛犬の性格に合った薬を選ぶといいでしょう。
薬を飲み忘れないように期間を知っておく
フィラリアの投薬を始めるタイミングは、蚊が発生するようになってから1ヶ月後からとされており、終了するタイミングは蚊がいなくなってから1ヶ月後とされています。
そのため、地域によって飲ませ始めるタイミングや終えるタイミングは異なりますが、だいたい4~5月から11~12月頃までは続けて与える必要があります。冬でも室内で蚊が出やすい家庭は、通年で予防しておくと良いでしょう。
犬のフィラリア症はしっかり予防すれば大丈夫
フィラリアは毎年しっかり予防していれば、感染の心配のない病気です。しかし、予防を怠ると高い確率で感染する可能性があり、最悪死に至る怖い病気でもあります。大切な家族が辛い思いをしないよう、私たち飼い主がしっかりと予防に努めていきましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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