【地震】もしものときのために。犬と暮らす飼い主が準備しておくべき対策について
地震大国である日本。最近では、いつ、どこで巨大地震が起きてもおかしくないと言われています。そんな日本に暮らす私たちは、大切な家族の一員である犬をどのようにして地震から守り、どこへ避難し、飼い主としてどのような行動をとることがベストなのでしょうか。また、もしもの時のためにどのような防災用品を備えておけばいいのでしょうか?
今回の記事では、地震などの災害時に備えて準備しておくべき対策についてまとめました。
地震に備えて確認しておきたい「避難場所」
地震に限らず、大きな災害に遭遇した時のためにも、私たち飼い主が確認しておくことの一つが、避難場所です。
また、避難場所は、「同行避難」なのか「同伴避難」が可能なのかも確認しておくことが大切です。
避難場所を確認しておこう
地震などの災害が起きた際には、市町村から発表される防災情報によって、避難行動を適切にとる必要があります。これまでは、「避難勧告」や「避難指示」として避難情報が発出されていましたが、2021年5月より「避難勧告」が廃止され、「避難指示」に一本化されました。
また、「災害発生情報」から「緊急安全確保」へと変更されました。そして、警戒レベル4の「避難指示」では、対象となる地域の住民は危険な場所から必ず全員が避難することが求められています。
理解しておきたい避難場所と避難所の違い
皆さんは、避難場所と避難所の違いを理解していますか?実は、避難場所と避難所は全く意味が違うのです。まずは、言葉の違いを正しく理解して適切な避難行動をとるようにしましょう。
また、地震の時は各自治体が避難方法をHPや広報などで提示しているので、どのように避難をすればいいのか、ペットの受け入れの可否などについてしっかりと確認しておくことが大切です。
避難場所と避難所の違い
- 避難場所:避難場所は、大規模の火災の時に、一時的に止まる場所で、大きな公園や河川敷などがこれにあたる
- 避難所:一方避難所は、地震などで家屋が倒壊した時など自宅に被害があった時に、被災者の生活の場として受け入れる場所
同行避難と同伴避難の違い
地震などの災害時に、避難する避難所のペット受け入れ体制がどうなっているのか、平時にしっかりと確認しておくのが飼い主の役割です。また、その避難所が「同行避難」可能であるのか「同伴避難」を認めているのかもしっかり確認しておくことが大切です。
同行避難と同伴避難の違い
- 同行避難:飼い主とペットが一緒に安全な場所まで避難すること
- 同伴避難:ペットと同行避難した避難所の決められた場所で飼い主が管理すること
違いを理解して、もしもに備えよう
東日本大震災を教訓とし、政府はペット同行避難を推奨しています。避難する予定の避難所がペット同行避難可能であれば、その避難所までペットと一緒に避難し、避難所のルールに従ってペットを管理することが求められています。この場合は、避難所の外の決められた場所でペットを管理することになります。
また、久留米市が令和3年度よりペットと一緒に避難できる専用の避難所を開設し、テントタイプのパーティションの中でペットと過ごせることが話題となりました。同伴避難では、避難スペースで飼養管理するために必要なペットフードをはじめ、排泄物用の袋などを持参することが必要です。
愛犬を守るために備えておきたい「しつけ」
地震を含め災害時に大切な愛犬を守るためには、平時から基本的なしつけをしっかりとしておくことが大切です。
東日本大震災の被災者の方達に実施したアンケートによると、地震により「普段と違う行動が見られた」「ペットの不安が強く、安心させることが難しかった」などが挙げられています。
精神的に不安が強いと、いつもはできているのにできなくなることが多くあります。そのためにも、普段からしつけをしっかりとしておくことが必要です。
基本のしつけ【1】おすわり
おすわりは、犬の勝手な行動を抑制できる効果があります。通常は、ご飯を与える時やおやつを与える時などにおすわりをさせているのではないでしょうか。しかし、地震などの災害時にトリーツなどを用意できるとは限りません。
基本的におすわりは、対価がなくても指示語だけでできるようにしつけておかなければならないのです。そのためには、平時から指示語だけできちんとおすわりができるように教えておくことが大切です。
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基本のしつけ【2】待て
おすわりが完璧にできるようになったら、待てを教えましょう。意外と難しいのが、待てのしつけです。おすわりはできても待てはできない、そんな犬が多い原因は、飼い主が途中で諦めてしまうところにあるのかもしれません。特に、食べ物を前にして待てのしつけをするのには困難が伴う可能性があります。
一定時間待てが出来たら、初めてご褒美を与える、という方式で、焦らずに時間をかけて教えていくことがコツです。
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基本のしつけ【3】おいで
呼び戻しのしつけとなるおいで。平時でも、呼び戻しが出来ない犬が多くいます。また、平時にはできても、震災などの特殊な状況下では、犬がパニックになってしまい、呼び戻しが出来なくなる可能性があります。特に、地震に驚いて脱走してしまった場合、恐怖から逃げ出した犬を呼び戻すのは不可能に近いかもしれません。
東日本大震災の時にも、逃げ出した犬を呼び戻すことができず、飼い主と離れ離れになってしまった事例がいくつもあります。呼び戻しは、どんな時にも必要不可欠なしつけです。呼んでも来ない、と諦めてしまうのではなく、おいでと言ったら必ず飼い主の元へ戻ってくるように、時間をかけて教えておくことが重要です。
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基本のしつけ【4】ハウス
東日本大震災時には、日頃からキャリーやクレートに入ったことがない犬が、避難所でクレートに入ることを嫌がったり、クレート慣れしていない犬が大きなストレスを抱え吠え続けたなどの事例がいくつも報告されています。特に、犬の不安が大きい特殊な環境下では、平時にできていることでも出来なくなってしまう可能性があります。
しかし、不特定多数の人やペットと共同生活をする避難所といった環境下では、クレートに入っていられることは必須です。できれば子犬の頃から、クレートトレーニングをして、クレートの中は安心できる場所であることを教えておくことが大切です。
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犬用の防災グッズに入れておきたいものとは?
犬と暮らしている私達飼い主にとって、人間用の防災用品だけではなく犬用の防災用品を備えておくことも必要です。
避難をするしないに関わらず、災害時にはさまざまな物資の入手が困難になる可能性があります。人間用の物資は、素早く救援物資として支給が行われますが、ペット用の救援物資はいつ手元に届くかわかりません。また、療法食などの特別な食事や投薬が必要な犬にとって、救援物資が助けになるとは限りません。
環境省では、5日分から7日分以上のペットフードを用意しておくことを推奨しています。
犬用防災グッズリスト
犬のための防災グッズは、リストを作っておくと便利です。ここでは、環境省が推奨している防災グッズをリストとして掲載しておきますので、ぜひチェックしてみてください。
防災グッズ | 内容 |
---|---|
ペットフード(療法食含む)、水 | ドライフードの場合は備蓄しやすいですが、 手作り食を食べている犬の場合は、それに代わる レトルト食品やフリーズドライのものなど長期保存できる食材を 用意しておきましょう。 また、断水する可能性が高いため、飲み水もフードと同様に 5日分から7日分以上用意しておきましょう。 |
薬 | 薬に限らず、サプリメントなどを服用している場合も、 多めに備蓄しておくことがおすすめです。 |
予備のリード、首輪 | この場合のリードは、伸縮性のあるものではなく しっかりとした短めのものが推奨されています。 |
食器 | フードボウルや水のみボウルなど、必要と思われる食器を 用意しておきましょう。 |
ガムテープ | 避難生活ではガムテープが何かと役に立ちます。 ペットグッズではないため忘れがちですが、ぜひ犬用の 防災用品の中にガムテープを入れておいてください。 |
愛犬の防災手帳 | 飼い主の連絡先、ペットの写真、ワクチンの摂取状況、 かかりつけの動物病院、既往症などを記した手帳を 一冊用意しておきましょう。 |
ペットシーツ、ウンチ袋などのトイレ用品 | 避難生活で最も迷惑となるのが、犬の排泄物です。 吸収力の高いペットシーツや匂いが漏れないウンチ袋など、 普段必要のないものでも平時から備えておくようにしましょう。 |
タオル、ブラシなど | 避難生活をする上で忘れてはいけないものが犬用のタオルです。 タオルは、犬が濡れてしまった時だけではなく、 クレートの中に敷いたり、寒い日には犬を温めることもできます。 また、怪我をした時には包帯代わりに使用することもできるため、 大きめのバスタオルだけではなく、小さめのタオルなど 数種類用意しておくことがおすすめです。 |
おもちゃ | 災害時には、いつもと同じように散歩ができるとは限りません。 犬が退屈してしまいストレスが溜まらないように、 おもちゃをいくつか用意しておきましょう。 |
犬用ブーツまたはキャリー | 災害時は、建物の倒壊や道路の崩壊など、犬を歩かせることが 困難な状況になる可能性があります。 小型犬ならキャリーなどに入れることができますが、 大型犬の場合はブーツを履かせることで怪我を予防できます。 この場合のブーツは、靴底がしっかりとしたタイプを 選ぶことがおすすめです。 |
大切な家族を守るために万全の準備を
災害時には、人間も大きな不安やストレスを抱えて生活することになります。そんな不安やストレスは犬にも伝わります。恐怖を感じた犬は、その場から逃げ出してしまう可能性もあります。東日本大震災での教訓を生かし、まずは飼い主が大切な家族のために何ができるかをじっくり考えておくことが大切です。言葉を話せない犬にとって、災害時に頼れるのは飼い主だけです。平時から、あらゆる事態を想定して、しっかりと備えておくようにしましょう。
<参考文献>
この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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