犬にトウモロコシの芯は危険?正しい与え方と食べたときの症状&対処法
茹でても焼いてもおいしいトウモロコシは、野菜ではなく穀類に分類されます。ドッグフードの原材料としても使用され、犬にとっても栄養価が高い食材です。しかし、芯は犬の命にもかかわる危険食材であることをご存じですか?丸かじりをさせている飼い主さんを見かけることがありますが、これは危険と隣り合わせの行為です。
今回は、犬の誤飲しやすいものの上位に入るトウモロコシの芯がなぜ危険な食材なのか、食べてしまった場合の対処法などをご紹介します。
目次
犬はトウモロコシの芯を消化できない
甘くて美味しいトウモロコシは、犬も大好きな食材のひとつです。実の部分であるつぶつぶを、潰したりペースト状にして与える分には問題はありませんが、芯の部分は絶対に与えてはいけない食材です。
食べ終わったトウモロコシをゴミ箱やテーブルの上にポイっと置いてしまいがちですが、旨味成分をたっぷり含んでいるトウモロコシの芯は犬から見れば美味しそうな匂いがする食べ物です。
また、BBQ用にカットしてお皿に乗せてある場合は、犬のターゲットになりかねません。犬が誤飲しやすいものの上位に入っているトウモロコシは、なぜ与えてはいけないのでしょうか。
飲み込むには硬すぎる
トウモロコシの芯は、包丁で切ろうとしてもかなりの力を要する硬さがあります。この硬いものを飲み込むと、犬の気道をふさぐ可能性や消化器官や胃腸を傷つける原因となります。
最悪の場合は、硬い芯が消化管を突き破ってしまうこともあります。
消化できない
トウモロコシの芯は不溶性の食物繊維でできています。棒状になっている食物繊維の塊とも言えるトウモロコシの芯は、犬の胃の中で水分を吸収して膨らみます。
不溶性食物繊維は、腸のぜん動運動を助ける働きをしますが、硬く大きなトウモロコシの芯を犬は消化できません。そのため、胃の中で膨らみ続けてしまい重大な症状を引き起こすのです。
トウモロコシの実はOKだが芯は犬に危険
トウモロコシの実の部分(可食部)は、栄養価が高く犬に与えても大丈夫な食材です。そこで、ついついやってしまいがちなのが、丸ごと犬にトウモロコシを与えてしまうことです。
犬にとっては、棒状になっているトウモロコシは咥えやすい形状かつ良い香りがすることから、大喜びすること間違いないでしょう。しかし、犬はトウモロコシの芯だけ残すことはしません。美味しい実とともに、芯まで食べようとしてしまいます。犬の歯でも、固く噛み切ることができないトウモロコシの芯は、丸ごと飲み込みんでしまう可能性が高いのです。また、芯は「消化しづらい」のではなく「消化できない」ものなので、細かく砕いて食べさせるということもNGです。
トウモロコシの芯はとても硬いため、飲み込む最中に食道を傷つけてしまう危険もあります。もし噛み切れたとしても、消化されないトウモロコシの芯は、命をも奪いかねない大変危険な食材です。
犬がトウモロコシの芯を食べてしまったらすぐ病院へ
もしも犬がトウモロコシの芯を食べてしまった場合は、動物病院で吐かせてもらうようにしましょう。
食べてから4、5時間以内であれば、獣医師の処置で胃から取り出すことができます。トウモロコシの芯を食べてから時間が経過し、腸までいってしまうと手術が必要になるため、早急に対応してもらうことが大切です。
自宅でできる対処法は?
犬が異物を誤飲した場合、自宅にある食塩水を使って吐き出させる方法もありますが、危険なのでやめましょう。吐き戻しの最中にトウモロコシの芯が喉に詰まってしまい、症状が悪化する可能性があるからです。
トウモロコシの芯を食べたのを確認できている場合は、動物病院へ連れて行くまでの間、何も食べさせないことが自宅でできる対処法になります。
無症状の場合も同様の対応を
犬がトウモロコシを食べたのを知っていても、「無症状そうだから大丈夫」と思って放置するのは大変危険です。
運良く便として排出されることもありますが、ほとんどの場合は腸で詰まり、後日大掛かりな手術をしなければいけなくなります。
無症状の場合でも自己判断で解決しようとせず、すぐに電話で獣医師に相談するようにしましょう。
犬がトウモロコシの芯を食べると嘔吐、呼吸困難などの症状が?
もし、犬がトウモロコシの芯を食べてしまったら、次のような症状が出ると考えられます。手遅れになると命にかかわる危険な事故です。一刻も早く、動物病院に連れて行ってください。
腸閉塞を引き起こす
犬が消化することができないトウモロコシの芯は、運良く食道を通過することができたとしても、腸の入り口で止まってしまい腸閉塞を起こす可能性があります。腸閉塞の症状は、食欲がなくなる、嘔吐する、お腹を触られることを嫌がる、機嫌が悪い、粘液性の下痢をする、便秘になるなど。腸閉塞の状態が長時間に及ぶと、腸に穴が空いたり、壊死するなど重篤な状態に陥ります。
また、重篤な腸閉塞では腸管が拡張し脱水状態となってしまうことから、命の危険にまで及ぶことがあります。腸閉塞は、開腹手術を必要とする緊急疾患です。少しでも様子がおかしいと感じたら、早急に動物病院へ連れて行き、トウモロコシの芯を飲み込んだ可能性があることを伝えましょう。
呼吸困難
トウモロコシの芯は、硬く食道に引っかかってしまう可能性があります。この場合は、呼吸困難を引き起こす可能性があります。呼吸がいつもより早い、胸やお腹が動いている、呼吸の回数が多い、歯茎や舌の色が白いなどの症状が見られたら、大至急動物病院に連絡して獣医師の指示に従いましょう。病院での救急処置はもちろんのこと、状況によっては早急に応急処置が必要になるケースもあります。
嘔吐する
トウモロコシの芯を飲み込んでしまい胃や腸に到達した場合、犬は消化できないため、吐き出そうとして激しい嘔吐を繰り返す可能性があります。トウモロコシの芯を飲み込んだかどうか不明でもトウモロコシを料理に使ったなどの心当たりがある場合は、突然の嘔吐や嘔吐の原因がわからない、あまりに嘔吐が長く続くなどの症状がみられる場合は、早急に動物病院へ連れて行くことが必要です。
犬にはトウモロコシの実だけ与える
トウモロコシの芯には、グルタミン酸や甘味を感じるアラニンなどの旨み成分が凝縮されています。犬にしてみれば、とっても甘くて美味しそうな匂いのする食材に思えるのかもしれません。また、その形からおもちゃに見える可能性もあります。しかし、トウモロコシの芯を食べてしまうことは命にかかわる危険なことです。
BBQやお祭りなどでトウモロコシを食べた後は、芯を犬の目に届かないところに捨てる、食べかけのトウモロコシを犬の手の届かないところに置く、丸ごとかじらせないようにするなど、細心の注意を払う必要があります。犬の腸閉塞は飼い主が気がつかないうちに進行する可能性があります。栄養豊富で美味しいトウモロコシですが、犬に与える時は芯を取り除いた状態であげてくださいね。
こちらの記事もチェック!
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
注意が必要な食べ物に関する記事
食べもの
犬にゆずを与えても大丈夫?注意点や他の柑橘類についてもご紹介!
風味豊かなゆずは様々な料理に活用できる食材です。食事以外にも、からだをぽかぽかにしてくれる柚子...
2023年6月26日
食べもの
犬にこんにゃくを与えても大丈夫?リスクや症状などの注意点を徹底解説!
こんにゃくは、煮物にしたり、おでんの具材にしたりと日本の食卓には欠かせない存在です。もし犬がこ...
2023年7月13日
食べもの
犬は大豆を食べても大丈夫?愛犬に大豆を与える際のNGとOK
私たち人間にとっては、身近な存在の大豆。茹でたり、炒ったり、発酵させたりと、調理法を変えれば色...
2023年3月1日
食べもの
犬はちくわを食べても大丈夫?栄養素や注意点についても紹介
料理をしていると愛犬がちくわを欲しそうにこっちを見ている…。 思わず「ちょっとだけ」と与えて...
2023年5月2日