【獣医師監修】犬にチョコレートは危険!与えてはいけない理由と誤って食べてしまった場合の対処法を解説
犬にチョコレートを与えてはいけないということは、一般的によく知られていますよね。しかし、犬にとってなぜチョコレートが危険な食べ物なのか、はっきりとした理由を知らないという飼い主さんも多いのではないでしょうか?
この記事では、犬にチョコレートを食べさせてはいけない理由と、万が一食べてしまった時の対処法、食べてしまった時に引き起こされる症状について解説します。
目次
チョコレートは犬にとって危険な食べ物
犬にとってチョコレートは非常に毒性が高い食材となります。さまざまな中毒症状を引き起こし、場合によっては死に至る可能性があるため非常に危険です。愛犬に故意に与えるのは絶対にやめましょう。また、愛犬が誤って食べることがないようチョコレートはしっかりと手の届かない場所に保管することも大切です。
チョコレートは甘い香りがするため、犬にとって魅力的な食べ物と言えます。飼い主さんの食べかけを食べてしまったり、机の上や棚などから匂いを辿って見つけて、留守番中に食べてしまうこともあります。絶対に手の届かない場所に管理するようにしましょう。
さらに、チョコレートそのものだけではなく、お菓子や菓子パン、シリアル、ココアなどカカオ成分が含まれる食べ物や飲み物も同様に与えてはいけません。
なぜチョコレートを犬に与えてはいけないの?
犬にとってチョコレートが危険な食材であることを、漠然と知っている方が多いのではないでしょうか。では、実際にどんな理由からチョコレートを与えていけないのか紹介していきます。
理由【1】カカオに含まれるテオブロミンが犬にはNG!
チョコレートの原材料であるカカオには、「メチルキサンチン類」と呼ばれる化合物群に属しているテオブロミンという成分が含まれています。このテオブロミンは、植物に含有される天然の化学物質で、チョコレートやココアの苦味の主成分となっています。
そのため、カカオ含有量が多いチョコレートほど、含まれるテオブロミンが多くなり、犬にとって危険になります。つまり、甘さ控えめの高カカオのチョコレートはごく少量を口にしただけでも中毒になってしまう可能性が高まります。
ホワイトチョコレートは、カカオ豆を一切含んでいないタイプもありますが、微量が含まれている場合もあります。普通のチョコレートよりは危険性が少ないと言えますが、与えないのが基本です。
理由【2】犬の消化・分解能力の低さ
チョコレートに含まれるテオブロミンは、人間であれば肝臓で代謝されるため体内に入れてもまったく問題はありません。犬もテオブロミンを代謝することができますが、分解能力が低く、また代謝速度が人間よりも非常に遅く、体内に長く残ることが中毒を引き起こす原因です。
調査によると、人間は6時間で代謝できますが、成犬の場合だと17.5時間もかかることが分かっています。そのため、嘔吐や下痢をすることで毒であるテオブロミンを体外へと排出しようとし、危険な状態となります。
理由【3】チョコレート中毒を引き起こす
犬が、テオブロミンを過剰に摂取するとチョコレート中毒を引き起こします。中毒は、誤食してから6〜12時間程度で症状が現れます。
先述したように犬はテオブロミンの代謝・排泄が遅いため、食べてすぐには症状が現れないことがほとんどです。そのため、チョコレートを食べてからしばらく経っても症状が見られず分かりにくいかもしれませんが、元気だからと言って安心できるわけではありません。
愛犬が誤ってチョコレートを食べてしまった時の対処法
愛犬が誤ってチョコレートを口にしてしまったときは、どのように対処すればいいのでしょうか?万が一の時には落ち着いて適切な対応を早急にとることが大切ですので、予め対処の仕方を心に止めておきましょう。
対処法【1】動物病院に連絡する
愛犬がチョコレートを食べているのを目撃したら動揺して焦りますが、まずは落ち着いてすぐに取り上げて手の届かない場所に置きます。
次に食べた量がほんの少しであっても、症状が出ておらずピンピンしているように見えても、すぐにかかりつけの動物病院に連絡を取りましょう。 かかりつけの病院が診療時間外だからと言って次の日まで受診を待ってしまうと、体内で吸収されてしまい、危険な状態になります。診察時間外の場合は、夜間や救急で診療している動物病院に連絡しましょう。
緊急時のために、近場にある夜間診療や救急を行っている動物病院の電話番号や住所などを確認し、メモしておくといいでしょう。
対処法【2】チョコレートの量・時間・愛犬の状態を医師に伝える
動物病院に連絡する際には、どんなチョコレートをどのくらい食べたか、チョコレートの包み紙や箱など一緒に誤飲しているものはありそうか、食べてからどれくらい経ったか、愛犬に症状は出ているのかなどを詳しく伝えるとスムーズに処置することができます。
カカオ含有量によっても処置方法が異なるため、どんな種類のものを食べたのかしっかり伝えることが大切です。食べてしまったチョコレートの商品名を伝えたり、パッケージがあれば持参しましょう。
対処法【3】獣医師の指示に従う
動物病院に連絡をしたら、勝手に判断して行動せずに獣医師の指示に従いましょう。時間があまり経っていない場合は、動物病院で催吐処置を行い、チョコレートを吸収する前に吐き出させることが多いです。ネット上には飼い主さんご自身で吐き出させる方法などが載っていますが、素人の判断で処置を行うのは大変危険ですので、獣医師の指示通りに行動しましょう。
犬がチョコレートを食べた場合に発現する可能性のある症状
犬がチョコレートを誤飲した場合、引き起こす可能性のある症状について紹介していきます。
症状【1】軽度のチョコレート中毒/嘔吐・下痢
チョコレートによる中毒症状としてはじめに見られるのは、嘔吐と下痢です。食べた量がわずかでも軽度の症状が出ることがあります。
どのくらいの量を摂取すると危険なのか個体差がありますが、大型犬よりも小型犬の方が少ない量のテオブロミンで中毒になるため、体の小さい小型犬は特に中毒リスクが高くなります。
症状【2】中度のチョコレート中毒/頻脈・神経過敏・興奮
中度レベルの中毒症状として、脈が速くなる頻脈やちょっとした刺激にも敏感に反応する神経過敏が挙げられます。さらに興奮状態になったり、落ち着きがなくなることがあります。
症状【3】重度のチョコレート中毒/痙攣・発熱・昏睡
さらに中毒が進行すると、発熱やぐったりする、震えや痙攣、昏睡状態になるなど重篤な症状が現れます。呼吸器不全や心機能不全によって、最悪の場合死に至ることもあります。
大型犬は、相当な量を口にしない限り重い症状が出るのは稀ですが、幼犬や体重5kg以下の超小型犬は、ほんの少し食べただけでも重度の症状が出ることがありますので、より注意が必要です。
犬がチョコレートを誤飲してしまった場合は早急に病院へ
チョコレートは人間の生活の身近にあるからこそ、飼い主さんがしっかりと管理をしなければいけません。犬が暮らす環境下でチョコレートを食べた後はすぐに片付けること、犬が絶対に食べることがないよう厳重に管理をしてくださいね。そんな心がけが、愛犬の命を守ることにも繋がります。
症状が出ていなかったとしても、時間が経ってから中毒症状を発症する場合もあります。愛犬が元気だからといって油断せずに、誤食したのを確認したらすぐに動物病院に連絡をとり、適切な処置をしてもらうようにしましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!