【獣医師監修】愛犬がお尻を振る心理とは|愛情表現?病気のサイン?気になる行動について解説します
犬がお尻を振っているのはどのような心理なのでしょうか?喜んでいるようにも見える行動ですが、実は病気の症状を訴えている可能性もあるのです。
今回は、お尻を使った犬の愛情表現と、病気の可能性について解説していきます。愛犬からのサインが「愛情表現」なのか「警戒心」なのか「病気のきっかけ」なのかをよく見極めて、些細な変化であっても見逃さないようにしましょう。
お尻を使った愛情表現はどんなものがある?
犬は飼い主さんや他の犬に対して、お尻を使った愛情表現をすることがあります。ここでは、それぞれの仕草に合わせた意味を紹介していきます。
犬同士でお尻を嗅ぎ合うのはコミュニケーション
他の犬とお尻のニオイを嗅ぎ合っている場合は、コミュニケーションをとっているだけです。肛門にある「肛門腺」は、犬によってニオイが異なります。そのため、相手のことを知るためにニオイを嗅いでいるのです。
すぐに引き離したりせず、犬にとっての挨拶のようなものだということを理解しておきましょう。
お尻をくっつけてくるのは信頼の証
犬が飼い主さんにぴったりとお尻をくっつけてくる場合に注目すべきなのは、「背中を向けている」という状況です。犬が背中を向けてくれるということは、「飼い主さんを信頼している」ということになります。
犬にとって、下半身は本能的に警戒を示す部分です。ある意味弱点ともいえる背中やお尻をくっつけてくるという状況は、信頼関係が築けている証拠なので、飼い主さんとして素直に喜びましょう。
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お尻を振るのは嬉しいから
よく「しっぽを振っているのは嬉しい証拠」と言われたりもしますが、お尻を高く上げて振るのも「嬉しい」という感情表現のひとつです。
ご飯を食べているときや、飼い主さんと遊んでいるときにお尻を振っていたら、喜びを感じている、テンションが高まっているのだと理解してあげましょう。
警戒している場合もお尻を振る
ただし、お尻を振っているからといって、必ずしも喜んでいるとは限りません。犬は警戒を示す際にもお尻を振ることがあるからです。 知らない方や他の犬がいる場所でお尻を振っている場合、「もしかしたら警戒しているかも」と感じることも大切です。
警戒の際には耳を立てていたり、後ろに倒していることも多いので、お尻と一緒によく観察しておきましょう。
病気が潜んでいる可能性も
犬のお尻に関して不審な行動が見られたら、病気を疑ってみるのも大切です。以下の行動が見られる場合、注意して様子を観察しましょう。
- お尻を壁や地面に擦りつける
- お尻を噛もうとする
- お尻を舐める
- お尻歩きをする
- お尻にできものがある
- お尻を触ると怒る
これらの行動がどんな病気に発展する恐れがあるのかを解説していきます。
股関節形成不全
股関節形成不全とは、成長の過程で股関節に異常が起き、関節が上手くかみ合わなくなってしまう病気です。原因は遺伝に関係していることが多く、子犬と成犬のどちらでも発症します。
中でも大型犬が発症しやすいとされており、おしりを振って歩くような行動が見られたら注意が必要です。
皮膚炎
犬がお尻を気にしている場合、肛門近くの皮膚で炎症が起き、痒みや痛みを感じている可能性も考えられます。皮膚炎の原因は、主に以下の通りです。
- 感染性(外部寄生虫、細菌、真菌など)の皮膚炎
- アレルギー性(接触性、食物性)皮膚炎
- アトピー性皮膚炎
- 脂漏性皮膚炎
- 下痢などで肛門周りが不潔になっていることからの皮膚炎
皮膚が赤くなっていたり、脱毛のような症状が見られたら、その原因を突き止めて適切な処置をする必要があります。むやみに市販の薬だけで治そうとせず、動物病院を受診して原因を調べるのが安心でしょう。
肛門嚢炎
肛門嚢炎とは、犬がマーキングのため使う分泌液を蓄えている「肛門嚢(別名:肛門腺)」という部分に炎症が起きる病気です。痒みや痛みを伴うため、お尻を舐めたり擦ったりするようになります。
放っておくと肛門嚢が破裂し、皮膚に穴が空くこともあるので、注意が必要です。
肛門嚢の定期的なケア
肛門嚢炎の予防には、月に1回程度「肛門嚢絞り」をしてあげるといいでしょう。肛門嚢絞りとは、犬の肛門嚢から分泌液を絞り出す方法です。年齢と共に分泌液が溜まりやすくなっていくので、定期的なケアが必要です。自宅で行うのが難しかったら無理せず、動物病院やトリミングサロンで絞ってもらいましょう。
その他に考えられることは?
犬のお尻に関する愛情表現や、可能性のある病気についてお伝えしてきましたが、これら以外の理由について解説していきます。
トリミングによるバリカン負け
犬がトリミングをした直後にお尻を気にしているようであれば、原因はバリカン負けかもしれません。痒みや赤みが出ているようであれば、外用の軟膏(抗生物質など)を塗ってあげることで改善することが多いです。なかなか治らない場合は、動物病院を受診しましょう。
バリカン負けを防ぐためには、プロのトリマーにトリミングを任せるのが安心ですし、過去にバリカン負けを経験している子の場合は、バリカンで肌がかぶれやすい旨を事前に伝えておくことで、より注意して施術してくれるでしょう。
ただの習性かも?
犬がお尻を気にするのは、ただの習性という場合もあります。お尻についたウンチや汚れを、自分で綺麗にしようとしているということです。その際は、お尻を代わりに拭いてあげるなど、飼い主さんが清潔に保つお手伝いをしてあげるとよいでしょう。
愛犬からのサインを見逃さないで
犬は飼い主さんへの愛情を、お尻の動きで表現することがあります。お尻に注目し、安心や信頼のサインを見逃さずに、コミュニケーションを深めていきましょう。
また、お尻を気にしていたり、痒がっている行動が見られる場合は、病気を発症している可能性も考えましょう。お尻付近に異常がないかを確認し、異常があればすぐに動物病院へ連れて行くようにしましょう。犬のお尻から、心と身体の状態を感じ取れるよう、日頃から意識してみてください。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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