犬に噛まれた場合の対処法や応急処置の方法は?噛まれたことで発症する感染症についても
一昔前に比べて野良犬は減り、むやみに犬に噛まれる事件は減りました。しかし、飼い主がいても犬に噛まれることはあり、たびたびニュースになっています。
現在の日本は、長いあいだ狂犬病が発症していない国となりましたが、国外では今でも狂犬病感染の可能性がある国もあり、噛まれたり舐められたりすることで人間が狂犬病に感染してしまうこともあります。
ここでは、犬に噛まれたときの対処法や応急処置などをご紹介します。
目次
犬に噛まれたら必ず病院へ
犬に噛まれた時は、小さな傷であっても病院の皮膚科または外科で受診を受けましょう。たとえ小さな傷に見えても、狂犬病や破傷風などの病気に感染している可能性があります。
感染の可能性がある病気|狂犬病
狂犬病ウイルスは、現在の日本では長いあいだ感染が確認されていませんが、近隣の国々では狂犬病ウイルスに悩まされている国もあります。
狂犬病は、発症すると90%の確率で死亡する恐ろしい病気です。人に感染すると、幻覚症状もみられるようになり、最悪死に至ります。過去のケースでは、国外旅行中に犬に噛まれ、日本に帰国した際に風邪の症状が出たため病院を受診したものの、その後1,2週間で亡くなっていることがあります。
感染の可能性がある病気|破傷風
破傷風は、土壌や犬の腸などに生息している菌で、小さな傷口であっても体内に侵入します。
破傷風菌に感染すると、けいれん、呼吸困難、脳炎などの危険な症状を引き起こし、医療が発達した現在でも死亡率の高い病気です。症状が発症してからの進行が早く、傷ができてから早くて3日、遅くて3週間後に発症します。食べ物を飲み込みにくくなる、よくこぼす、舌がもつれる、体がだるいなどの症状が見られたらすぐに病院を受診しましょう。その後は入院が必要になり、抗破傷風人免疫グロブリンの治療が必要になります。
犬に噛まれた場合は、何らかの症状が出ていなくても必ず病院に行くようにしましょう。
飼い犬に噛まれた場合
犬に噛まれた時、その場に犬の飼い主がいた場合は、その後の対応を相談しなければいけません。
その場で飼い主と話し合う
まずは、飼い主との話し合いが重要です。その場で連絡先を交換し、保健所へ連絡を入れ、怪我の治療などについて話し合う日を後日設けましょう。
飼い犬が人を噛んだ場合は、怪我をさせた犬の飼い主が刑法第209条の過失傷害罪に問われます。これにより、犬の飼い主には、怪我の治療にかかった費用を負担する義務が課せられます。もし自分が噛まれた場合、また、自分の飼い犬が人を噛んでしまった場合は、名前、電話番号、住所などを必ず交換しましょう。
また、保健所への連絡、医師への連絡も忘れずに行いましょう。被害にあったとき、被害を与えてしまったときに備えて、日ごろから心構えしておくことが大切です。
その後の話し合いでは、犬の飼い主側が、狂犬病予防証明書、ワクチン接種証明書、犬の検診証明書などを用意し、噛まれた側は、病院治療の領収書、診断書をとっておく必要があります。保険に加入している場合は、保険加入の概要も用意します。
治療費を請求する
治療を受けたら、忘れてはいけないのが治療費の請求です。万が一、破傷風菌や狂犬病ウイルスに感染してしまうと、命にかかわる症状を引き起こす危険性だけでなく、大きな治療費がかかります。また、命に関わる病気に感染していなくとも、場合によっては仕事に支障をきたすこともあり、医療費だけでなく慰謝料を請求しなくてはいけない場合もあります。
噛まれてすぐには分からなくても徐々に症状が悪化することもあるので、しっかりと飼い主と話し合った上で、治療費・慰謝料の請求についても忘れずに相談しましょう。その場で話し合いをしておかないと、時間が経ってから症状が悪化した時に「うちの犬の責任ではない」と言われてしまう可能性も無くはありません。書類や電子で履歴を残しておくと、言った、言わないで揉めずに済むでしょう。
状況に応じて警察を呼ぶ
犬に噛まれた時の状況に応じては、警察を呼ぶ必要が出てくる可能性も考えられます。飼い主がパニックになって話し合いができない場合や、飼い主が自分に責任はないと言い張る場合は、警察を呼んで事故について調書を書いてもらいます。トラブルに発展する可能性がある場合は、飼い主にそこにいてもらった上でその場で警察を呼びましょう。
野良犬に噛まれた場合
飼い主がいれば話し合いができますが、噛まれた犬が野良犬だった場合はどのようにすればいいのでしょうか。
まずは警察に連絡する
野良犬に噛まれた場合は、まず警察に連絡しましょう。その野良犬が他の人に噛み付く可能性もありますので、警察が早めに認識しておく必要があります。
病院を受診する
野良犬に噛まれた場合でも、絶対に病院に行きましょう。犬の口には多くの細菌がいますが、野良犬であれば口腔ケアもしていませんので破傷風菌に感染するリスクは高まります。
特に国外では、野良犬に注意が必要です。日本の周辺の多くの国では、いまだに狂犬病の発症が確認されています。現在狂犬病の発症が確認されていない国は、日本を含む限られた国や地域だけです。狂犬病予防接種の接種率は、各国で年々低下しています。国外で犬に噛まれたり、舐められた場合でも、帰国を待たず直ぐに病院を受診しましょう。
犬に噛まれたときの応急処置の方法について
犬に噛まれてから病院を受診するまでのあいだに、何かできることはないのでしょうか。傷が軽くても甘く見ず、必ず手当を行いましょう。
流水で傷口を流す
犬に噛まれたら、多少痛むかもしれませんがぐっと我慢して、石鹸を使って流水でしっかり流しましょう。病院を受診したときにも必ず聞かれる項目です。
出血が止まらない場合は清潔なガーゼで押さえる
洗い流したあとも出血が止まらないようでしたら、清潔なガーゼで傷口をしっかりと押さえます。ガーゼを押し当て、手のひらを使いしばらく押さえて止血しましょう。
犬に噛まれたら必ず病院を受診しましょう
犬に噛まれたときの対処法をご紹介しました。
犬に噛まれた時は、傷口が小さければ気にしないで生活してしまうこともあるかもしれません。しかし、噛まれた傷口から危険な病気に感染することも考えられ、時間が経ってから傷が悪化することも大いに考えられます。後からトラブルにならないためにも、犬に噛まれたら必ず病院を受診し、飼い主がいる場合はしっかり話し合いましょう。
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この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。
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