トイプードルはアレルギーが起きにくいって本当?犬アレルギーでも一緒に暮らすには
犬を飼いたいと思っている人の中には、「犬アレルギーを持っているから…」と躊躇していたり、「一緒に暮らし始めてから犬アレルギーを発症したらどうしよう」と懸念している人もいるのではないでしょうか。一度発症すると完治は難しいとされているので、できるだけ辛いことは避けたいですよね。トイプードルは犬アレルギーが起きにくいと言われている犬種ですが、本当なのか気になるところ。そこで今回は、犬アレルギーの原因や、犬アレルギーでも一緒に暮らすための工夫についてご紹介します。
目次
犬アレルギーって何が原因なの?
長年犬と一緒に暮らしている人でも突然発症することがある犬アレルギーですが、人が犬アレルギーを発症してしまう原因となるものは何なのでしょうか?まずは犬アレルギーの原因についてご紹介します。
原因となるものは主に3つ
- 唾液
- 皮脂・フケ
- 尿
正確には、上記3つに多く含まれているアレルゲンが原因となり、アレルギー反応が引き起こされると言われています。
犬アレルギーのアレルゲンとなる物質は、現在「Can f1」~「Can f7」の7種類が知られており、アレルゲンの主な物質はCan f1を構成する「リポカリン」とCan f4を構成する「アルブミン(脂質輸送たんぱく)」というたんぱく質です。アルブミンは猫や他の動物の体内にも存在しているので、犬以外の動物でもアレルギーを発症する可能性があります。
これらは犬の唾液や皮脂・フケ、抜け毛などに多く存在し、空気中を漂うので、触れたり吸い込んだりすることでアレルギーを発症します。
唾液
犬の唾液には、犬アレルギーの主な原因となるアレルゲン「Can f1(リポカリン)」が多く含まれています。この物質はとても細かい粒子で、犬が毛づくろいをする際に皮膚や被毛に付着したり、ほこりなどに付着して空気中を漂います。犬アレルギーの人のほとんどがこの物質に反応するとされています。
皮脂・フケ
犬のフケには「Can f1」や「Can f4」が多く含まれています。フケは飛散しやすいので、床や壁、家具などさまざまな場所に付着します。
尿
犬の尿にも「Can f1」は多く存在しています。また、オスには前立腺由来の「Can f5」というアルギニンエステラーゼという物質から構成されるアレルゲンも含まれています。
犬アレルギーはどんな症状がでる?
犬アレルギーを発症した場合にみられる主な症状は以下の通りです。
- くしゃみ・鼻水・咳
- 目のかゆみ・充血・腫れ
- 湿疹・蕁麻疹 など
風邪や花粉症の症状と似ていますが、症状の重さには個人差があります。上記の症状が悪化したり、体質によっては重症化してしまうこともあり、その場合には以下のような症状がみられます。
- 呼吸困難
- 嚥下困難
- 下痢
- 嘔吐
- めまい など
先述しましたが、子どものころからアレルギーを発症することもあれば、犬と暮らし始めてしばらくしてからアレルギーを発症することもあるのです。
喘息疾患を持っている人は症状が悪化したり、犬アレルギーが原因で喘息を発症してしまうこともあります。
犬アレルギーは触ったことで症状が出るだけではありません。人によっては同じ空間にいたり、近づいたりするだけで症状が出る人もいます。犬と過ごした後に、上記のような症状がみられるという場合には犬アレルギーの疑いがあります。
トイプードルは犬アレルギーを起こしにくいって本当?
犬アレルギーの原因は、「アレルゲンが多く含まれている唾液や、フケが付着した被毛に触れたり吸い込んでしまうこと」であると分かりました。つまり、抜け毛そのものがアレルゲンではないということです。
抜け毛が少ないトイプードルは、抜け毛の多い犬と比べると、アレルゲンが付着しやすい被毛を吸い込んでしまったり身体に付着してしまうことが少なく、犬アレルギーを発症する確率は低いかもしれません。しかし、「トイプードルであれば犬アレルギーでも飼える!」、「トイプードルは犬アレルギーを発症しない!」というわけではないということを留意しておきましょう。
また、同じ犬種でも個体によってアレルギー反応が出ることもあるようです。「先代の子はアレルギーがでなかったけど、2代目の子はなんだか目がかゆくなる」といった可能性があることも覚えておきましょう。
唾液やフケ、尿といったアレルゲンを含むものは生き物なのですべての犬にあります。そのため、絶対にアレルギーが出ないという犬種はいないのです。
犬アレルギーかどうかを事前に確認する方法
「犬を迎えたものの、犬アレルギーを発症したから飼えない」という理由で飼育放棄される子は少なくありません。飼育放棄された子は殺処分されてしまうこともあります。そうならないように、犬を飼う前には犬アレルギーがあるのか検査すると良いでしょう。内科や耳鼻科、皮膚科、アレルギー科などで検査することができます。基本的には予約制なので、気になる場合は料金面なども含めて事前に問い合わせると安心です。
血液検査
血液検査は微量の血液を採取し、血中のたんぱく質(IgE)を検出してアレルギーの有無を調べます。血中に含まれるIgE抗体が多いほどアレルギーの可能性が高くなります。
検査結果が出るまでに1週間ほどかかることが多いです。検査方法によって保険適用となる場合とならない場合があります。
生体検査
生体検査は皮膚にアレルゲンを塗布しアレルギー反応が出るかどうかをみる方法です。採血の必要がないので小さな子どもでも受けられるメリットがあります。
検査結果が出るまでの時間が比較的短く、数十分ほどで分かります。保険が適用されることが多いです。
実際に触れ合う機会を作る
血液検査や生体検査をして陰性だったのに飼い始めたらアレルギーがでた、という可能性もあります。犬を迎え入れる前に、犬がいる空間に赴いたり、触ってみると良いでしょう。ドッグカフェを利用したり、犬を飼っている友人に協力してもらい触らせてもらえると犬アレルギーの症状が出るかどうかを探ることができます。
ただし、他のアレルギー症状と同じで、アレルゲンが蓄積された結果、身体の免疫機能が過剰に反応してある日突然犬アレルギーを発症してしまうこともあります。症状の重さは個人差があり、重度だと日常生活に支障をきたしてしまいます。可能であれば実家や親戚などのお家でお世話してもらうことができるか聞いておきましょう。
先ほども触れましたが、陰性であってもすべての犬種で同じ結果が当てはまるというわけではありません。「ヨークシャーテリアは大丈夫だったけど、柴犬と触れ合ったらくしゃみが出た」など、抜け毛が少ない、多いなどの理由で変わることもあれば、同じ犬種でも個体差でアレルギー反応が出てしまうこともあります。
犬アレルギーと猫アレルギーは違う
猫アレルギーを持っていると分かっている方は、犬と触れ合うことに消極的になっているかもしれません。しかし、犬と猫ではアレルゲンとなる物質が異なるので、猫アレルギーだからといって必ずしも犬アレルギーであるとは限らないのです。
猫アレルギーについてはこちらの記事で解説しています
犬アレルギーでも一緒に暮らしたい!対策方法は?
同じ家の中でアレルゲンを完全に避けるのは難しいですが、いくつかの対策でアレルギーの症状を緩和できるかもしれません。アレルギーがあっても犬と暮らしている人はたくさんいます。どんな工夫をしているのか見ていきましょう。
犬が立ち入れない空間を作る
もっとも有効なのが、アレルゲンから物理的に距離をとることです。アレルギー物質に触れる可能性を減らすため、寝室やリビングなど、人が過ごすことが多い場所には犬が入れないようにすると、アレルギーの症状を抑える効果が期待できます。また、反対に犬が過ごすスペースに入らないようにすることも大切です。
「犬アレルギーだから外飼いにした」という話も聞きますが、それはおすすめできません。犬の長寿化の理由の1つとして、飼育環境の向上が挙げられているほど、犬が生活する環境は大切です。トイプードルは小型犬なので寒さに弱いですし、飼い主さんが大好きな犬種です。室内で飼うようにしてください。
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犬に身体を舐めさせない
犬の唾液にはアレルゲンが多く含まれているので、顔や手足などを舐めさせないようにすることも対策の1つです。犬が飼い主さんを舐めることは愛情表現の1つではありますが、アレルギー症状の重症化や感染症のリスクを下げるためにも、舐めないようしつけることも大切です。
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こまめに手を洗う
一緒に暮らすうえで愛犬と触れ合うことはもちろんあるでしょう。手袋やマスクをして触れ合う飼い主さんもいるようですが、症状が重くない場合は素手で撫でたりブラッシングしたりすることもありますよね。その手で目や口元などを触ってしまうと痒みが酷くなったり咳が止まらなくなってしまうことも考えられます。こまめに手を洗いアレルゲンとの接触を減らしましょう。愛犬が遊んだおもちゃやフードボウルなど、唾液がついていると思われる物を触った後も意識して手を洗ってくださいね。
毎日ブラッシングする
トイプードルはブラッシングが欠かせない犬種なので、毎日行うのが理想ですが、難しい場合でも2〜3日に1回はブラッシングするようにしましょう。フケや抜け毛をできるだけ取り除くことで、アレルゲンを吸い込むリスクを減らすことができます。愛犬の被毛や皮膚トラブルを防ぐためにも、飼い主さんのアレルギー症状を軽減するためにも大切です。
しかし、ブラッシングすることでアレルギー症状がでてしまうときには、家族に協力してもらうと安心です。
ブラッシングのやり方についてはこちらの記事をチェック!
犬の身体を清潔に
フケを減らすためにシャンプーをすることは効果的ですが、頻繁に行うと犬の身体に負担がかかってしまいます。トリミングサロンでシャンプーも一緒にやってもらうことが多いと思うので、定期的に通っている場合には、サロンに行った2~3週間後に自宅でシャンプーをする程度に留めましょう。シャンプーのしすぎは乾燥を招き皮膚トラブルの原因にもなりかねません。
シャンプーについてはこちらの記事で解説しています
服を着せる
犬の抜け毛対策として服を着せている人も多いかもしれません。愛犬が嫌がらないようであれば服を着せるのも有効です。しかし、服をずっと着せていると蒸れて皮膚トラブルを起こしてしまったり、擦れた部分が毛玉になってしまったりとデメリットもあるので、長時間着せるのは避けましょう。
布製品の洗濯
絨毯やクッション、ソファ、カーテンなどはフケや抜け毛などのアレルゲンが付着しやすいです。しかし、トイプードルは骨折しやすいので、滑りやすいフローリングにはマットなどを敷いてあげるのが理想です。できるだけ丸洗いのできるものや防ダニ効果のあるもの、掃除しやすくアレルゲンが付着しにくい素材のものを選ぶと良いでしょう。
こまめな掃除と空気清浄機の活用
定期的に掃除機をかけ、フケや抜け毛を取り除きましょう。空気清浄機を使えばより効果的です。ペット用のものも販売されているので、アレルギーが気になる場合はそちらを活用するとより良いかもしれません。フィルターは定期的に替えるようにしてくださいね。
部屋を喚起する
空気清浄機だけでなく、定期的に新鮮な空気を取り込むことも大切です。アレルゲンは空気中に漂っていることも少なくありません。よく晴れた日などは窓を開けて換気しましょう。
その他
免疫細胞の70%は腸に集中していると言われているため、腸内環境を整えることでアレルギーの症状が緩和される可能性があるとされています。花粉症にはヨーグルトや納豆が良いと言われているのは、善玉菌を増やすことで腸内環境を整える効果が期待されているんですね。そのため、悪玉菌のエサとなる糖質の多い食べ物を避け、バランスのよい食事を心がけましょう。免疫力が落ちるとアレルギー症状は悪化するとも言われているので、食生活の改善や良質な睡眠により、症状が緩和するかもしれません。
トイプードルはアレルギーがでにくい犬種だけれど
犬アレルギーになりにくい犬種として最初に名前が挙がることの多いトイプードルですが、必ずしもアレルギー反応が出ないというわけではありません。犬アレルギーは一度発症すると完治することは難しく、効果的な薬もありません。そのため、対症療法となり、体質に合った抗アレルギー薬を服用することになります。
個人差もあるので、生活環境を少し工夫するだけで症状が緩和される人もいれば、かなり気をつけないと深刻な症状を引き起こしてしまう人もいるので注意しなくてはいけません。
ご紹介したさまざまな対策をすることでアレルギー症状を緩和することは不可能ではないしょう。事実、アレルギーがあっても犬と一緒に暮らしている人はたくさんいます。
しかし、症状が重度の場合や、飼う前からアレルギーがあることが分かっている場合はおすすめはできません。人も犬も悲しい思いをしないような選択をしてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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