捨て犬からセラピードッグになった名犬チロリについて。チロリが残した功績と考えるべき社会問題とは
皆さんは、名犬チロリの存在をご存知ですか?
殺処分される直前の捨て犬だった「チロリ」が生涯セラピードッグとして活躍し、多くの人に笑顔や癒しを与えた功績は今や広く知られていっています。この記事では、セラピードッグとして多くの人を救ったチロリについてご紹介します。また、名犬チロリが残した功績から、私たちがいま考えるべき社会問題についても見ていきます。
名犬チロリとは?
名犬チロリは、捨て犬という境遇からセラピードッグになって活躍した犬です。捨て犬でセラピードッグになった犬はチロリが日本で初めてで、亡くなるまでの12年もの長い間、介護施設や医療現場で高齢者や患者に触れ合い心身のケアをして貢献しました。
5匹の我が子とともにゴミ捨て場に・・
チロリは1992年に自身が生んだ5匹の子犬と共にごみ捨て場に捨てられており、殺処分される直前に音楽家であり一般財団法人国際セラピードッグ協会の代表でもある大木トオル氏によって保護されました。保護されたのち子犬たちは無事に里親が見つかっていきましたが、後ろ足に障害を持つ子犬の母犬のチロリはもらい手がなかなか見つからなかったため、大木さんが育てることを決意しました。
偶然発見されたセラピードッグとしての素質
当初、チロリをセラピードッグとして訓練するつもりはなかったのだとか。しかし、大木さんが運営するセラピードッグ訓練施設にチロルを連れて行き、しばらく経ったある日、病気を患っている犬の横に寄り添って寝ているチロリの姿を見て、チロリがセラピードッグの素質を持っていることに気づき訓練を始めることにしたそうです。
足の生涯をものともせずセラピードッグに
セラピードッグになるまでには、さまざまな教育課程をクリアしなければなりません。チロリは足に障害を抱えながらもそれをものともせず、見事に全ての過程を修了して立派なセラピードッグになり、数多くの介護や医療の現場で活躍しました。
セラピードッグとは・・・
人とふれあい、接触やコミュニケーションを通じて人の心に元気や癒しを与える役割を担った犬のことです。セラピードッグは日々高度な訓練を受けています。
主な活動は高齢者や障がいのある方が入居されている施設や、闘病中の子どもたちが入院する病院、保育園や学校関係などを訪問します。
交流を通じて人々の不安を払拭し、希望や勇気を与え、身体のリハビリ効果を高めたり、動物愛護の精神を養い、命の尊さ、弱いものへの思いやりなどを体験する情操教育の手伝いをおこなっています。
名犬チロリが残した功績は教科書にも載っている
チロリは心の病を和らげたり、病気で元気がない人に癒しを与えたりと、たくさんの高齢者や患者に寄り添って心身のケアに貢献しました。チロリと触れ合っていくうちに、リハビリを頑張る元気が出て歩けるようになった人や、固まってしまっていた関節が動くようになった人なども多くいます。この奇跡を生んだチロリの功績は教科書にも載っています。
障害を抱えながらも、多くの人に笑顔や元気をもたらしたチロリからは学ぶべきことがたくさんありそうです。
名犬チロリの功績を通して私たちが考えるべき社会問題
チロリの貢献は人間だけでなく、チロリと同じような境遇の犬たちにも希望を与える結果になったと言えるでしょう。というのも元捨て犬のチロリが、セラピードッグとして生きられる道があることを示してくれたからです。
昨今、まだまだペットブームが続いていますが、その裏では乱繁殖され飼育放棄される犬や、安易にペットを飼っては育てられないからと捨てられてしまう犬がいます。このような行き場を失った犬たちは、新たな家族が見つからなければ殺処分されています。
ペットには癒し効果があり、緊張感が和らぎリラックスできる、悲しみが癒える、気力が増す、笑顔で接することが多くなるなどの効果をもたらすことが研究により分かっています。そのため捨て犬をセラピードッグに育てるという選択肢が増えれば、社会福祉の貢献になるだけでなく「ペットの殺処分」という社会問題を解決するための糸口のひとつにもなるのではないでしょうか。
名犬チロリは人々に勇気をくれる奇跡を起こした
後ろ足に抱えた障害をものともせず、福祉や医療の現場で癒しや活力を与え続けたチロリ。セラピードッグとして高齢者や患者を献身的にケアしたチロリの貢献は、教科書に載っているだけでなく国内外で書籍化もされています。
チロリと同じような境遇の捨て犬たちがセラピードッグとして活躍し、殺処分される犬がいなくなることを願うばかりです。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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