ミニチュアピンシャーのすべて!特徴や性格、飼い方など気になる情報をまとめました
ドーベルマンを小さくしたようなミニチュアピンシャーは、愛らしい顔と細くてしなやかな小鹿のような足が特徴的な犬種です。
華奢で気弱にみえるミニチュアピンシャーですが、番犬としての能力が高く、大きな犬にもひるまず向かっていく負けん気の強さを持っています。その外見と性格のギャップに惹かれる人も少なくありません。
この記事では、ミニチュアピンシャーの歴史や飼い方などについて詳しく解説いたします。
ミニチュアピンシャーの歴史
ミニチュアピンシャーの活躍の歴史や名前のルーツについて見ていきましょう。
活躍の歴史
ミニチュアピンシャーの起源には色々な説がありますが、約300年前のドイツで小さな害獣駆除のために飼われていた、中型犬のヘル・ピンシェルが祖先だといわれています。
ミニチュアピンシャーは、外見が似ていることからドーベルマンを小型化したものだと思われがちですが、犬種としての始まりは17〜18世紀頃で、ドーベルマンより100年以上も前に生まれています。
祖先であるヘル・ピンシェルが、ダックスフンドやイタリアングレーハウンド、ジャーマンピンシャー、ミニチュアシュナウザー、トイマンチェスターテリアなど数多くの犬種との交配を繰り返し、19世紀頃に現在のミニチュアピンシャーの姿になったといわれています。
名前のルーツ
ミニチュアピンシャーはドイツの農場で番犬やねずみ狩りやなどをしていました。ドイツ語でピンシャーは「テリア」という意味を持っています。
当時のテリアは小害獣を駆除する犬であったことに由来したものです。
また、ドイツでは小鹿のような体つきや毛色から、「レイ(鹿)・ピンシャー」とも呼ばれています。
日本ではミニピンという愛称で呼ばれていますが、アメリカなどでも「min-pin」という略称が使われることも多いようです。
分類される犬種グループ
JKCによるミニチュアピンシャーの犬種グループは2G(使役犬)となっていますが、用途は家庭犬及びコンパニオンドッグで、現在では愛玩犬として迎えられることがほとんどです
同じグループにはアーフェン・ピンシャー、ジャーマン・ピンシャー、セントバーナードなどがいますが、それぞれ役目は違ってきます。
ミニチュアピンシャーの特徴
ミニチュアピンシャーは細い手足に、筋肉質な身体が特徴です。小さな顔に大きな耳、歩き方が特徴的で前足を高く上げて歩きます。
過去には断尾と断耳が慣例となっていましたが、動物愛護の意識が高まり世界的にも断尾や断耳を禁止するようになってきています。
そのため日本でも垂れ耳と長い尻尾のミニチュアピンシャーが多くみられるようになりました。断耳をしないときは、根元が立ち上がり途中から垂れ耳になるものや、自然と立ち耳になるものなど、個体によってそれぞれに形状が違ってきます。
適正体重・標準体高
- 体高:オス・メス共に 25~30cm
- 体重:オス・メス共に 4~6kg
もともとのミニチュアピンシャーは中型犬くらいの大きさでしたが、1700年以降に少しずつ改良され、現在の小型犬のサイズになりました。
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被毛の特徴
ミニチュアピンシャーの被毛は滑らかで光沢のある短毛のスムースコートです。
毛色
ミニチュアピンシャーの毛色は単色ではディアー・レッド、レディッシュ・ブラウン、ダーク・レッド・ブラウンがあり、バイカラーでは目の上、喉の下、足、胸などにブラウンやレッドの斑があるブラック&タンとチョコレート&タンがあります。
コートタイプ
ミニチュアピンシャーは、アンダーコートのない短毛のシングルコートなので、ダブルコートのような換毛期(春と秋にある大量の抜け毛)がありません。
短毛は毛の抜けるサイクルが短いですが、日頃のブラッシングケアは比較的楽と言えるでしょう。
お手入れ方法と注意点
短毛なので毎日のブラッシングは必要ありませんが、週に1〜2度はラバーブラシなどで身体をマッサージしてあげるといいでしょう。
シャンプーは1〜2ヵ月に1度程度で十分です。過度なシャンプーは必要な皮脂まで取ってしまうため、かえって皮膚を弱めてしまいます。
散歩などで体が汚れた場合には、濡れタオルなどできれいに拭き取ってやりましょう。
また、断耳をしていない垂れ耳のミニチュアピンシャーの場合は、耳の中が蒸れて外耳炎などをおこさないために、定期的に耳掃除をしてやる必要があります。
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ミニチュアピンシャーの魅力はシャープな精悍さ!
ミニチュアピンシャーの最大の魅力は、コンパクトながらドーベルマンを彷彿とさせるシャープな体躯と、その精悍で俊敏な行動力にあります。
愛犬と共にドッグスポーツや山遊びなど、体を使って一緒に遊びたいという人にとっては、これほど魅力的な犬種はいないかもしれません。
ミニチュアピンシャーはこんな性格
ミニチュアピンシャーは小型でも運動能力が高く、番犬としても有能なエネルギッシュな犬種です。
家庭犬として迎えられることの多いミニチュアピンシャーですが、決して大人しい愛玩犬ではありません。
ミニチュアピンシャーとのより良い関係性を保つためには、その性格の特徴をよく知っておく必要があります。
人見知りと攻撃性
ミニチュアピンシャーは人見知りなので、初めて会う人や犬にすぐに慣れるということがありません。
その性格は番犬として働いていたころには有益でしたが、今ではその防衛本能の強さが、他者への攻撃へと繋がる恐れがあります。
また、神経質なところもあるので、怯えや不安から聞きなれない音や見知らぬ人などに対する無駄吠えも多く見られます。
好奇心旺盛でイタズラ好き
小害獣を追いかけていたため、初めて見るものや動くものにはとても敏感に反応します。好奇心が旺盛で動きも俊敏なので、子犬の頃はイタズラに悩まされることも少なくありません。
気になったものを追いかけていく習性があるため、部屋からの脱走や散歩中の暴走などには注意が必要です。
ミニチュアピンシャーにはこんなしつけが必要
家庭犬としてはそれほどしつけやすい犬種ではありません。
もともとは番犬としての役目を果たしていたこともあり、外界の刺激には敏感に反応します。ミニチュアピンシャーは子犬期からのしっかりとしたしつけが必要です。
しつけは叱らずほめて、根気よく!
ミニチュアピンシャーは頭も良く学習能力の高い犬種ですが、気が強く頑固なところがあります。厳しく叱ったり怒鳴ったりすると、反抗的になったり攻撃的な態度を取ることがあります。
ミニチュアピンシャーは飼い主が大好きなので、ほめてもらうことでより忠実になり、素直に従うようになります。
しつけはほめながら、あせらずゆっくり根気よくやるのが成功のコツです。
子犬期からの社会性と主従関係の徹底
ミニチュアピンシャーのしつけで一番重要なのは主従関係の確立です。ミニチュアピンシャーは好奇心旺盛で初めてのものや人に興奮しやすい傾向にあります。
意図せず人に吠えかかったり、飛びついたりすることがあるので、飼い主の指示には忠実に従がわせる必要があります。
もともと飼い主に対する忠誠心が強く従順な性格なので、飼い主がリーダーであることを認識すれば素直に従うようになります
子犬期に甘えさせたり、わがままを許してしまうと、無駄吠えや破壊など手に負えなくなります。
また、社会性を身につけさせるためには、子犬期からいろいろな場所で、多くの人や犬に触れさせることが大切です。
ミニチュアピンシャーの性格を考えると、子犬期に犬の幼稚園やパピースクールなどで社会性を身に着けさせるのも有効的です。
しつけについてはこちらの記事もチェック!
ミニチュアピンシャーに適した生活環境
ミニチュアピンシャーは小型犬なので、室内で暮らすことに問題はありませんが、とても活発な犬種なので、広い庭などで走り回れる環境であればベストです。
ミニチュアピンシャーは運動能力が高く、毎日30分以上の散歩や運動が必要です。
運動不足になるとストレスから吠えや破壊行動などをおこすことがあるので、体力に自信のないシニアや、運動が苦手な人などには飼うのが難しい犬種です。
室内でも走り回ることも好きなので、骨折や脱臼の多い犬種です。滑りにくい床にしたり、高い段差のあるところでの飛び降りはさせないようにしましょう。
また、ミニチュアピンシャーは寒さに弱いので、冬には暖房機などを使って室温調節をする必要があります。短毛で皮下脂肪が少ないので、冬の外出時には服を着せるなどの工夫が必要です。
ミニチュアピンシャーが注意したい病気と平均寿命
ミニチュアピンシャーの平均寿命は?かかりやすい病気にはどのようなものがあるのでしょう。
気をつけたい病気
大腿骨骨頭壊死(だいたいこつこっとうえし) − レッグ・ペルテス
股関節にある大腿骨頭(太ももの骨と骨盤の連結部)が壊死し、関節が炎症をおこしたり、骨折したりする病気で、小型犬に多く見られます。
股関節の痛みや後ろ足に歩行異常が見られるので、注意深く観察しましょう。
軽症の場合はレーザー療法や鎮痛剤での痛みの緩和、運動制限などの内科的治療を行い、症状の改善が見られない場合は大腿骨頭を切除する外科的手術を行います。
白内障・緑内障・進行性網膜萎縮(もうまくいしゅく)
白内障には若齢で発症する若年性白内障があります。若年性白内障は進行が早く治療が遅れると失明することがあります。
眼が白く濁っていることに気付いたときには、白内障がかなり進行していることがありますので、若年から定期的に眼科健診を受けるようにしましょう。
緑内障は眼圧が高くなる病気で、眼が赤くなり痛がることで気付きます。眼圧が高い状態が続くと網膜に障害がおこり失明します。
治療法としては緑内障の進行を抑えるための、眼圧を下げる点眼薬治療やレーザー照射による外科的治療があります。
進行性網膜萎縮は遺伝性の眼病で、生後半年から4歳くらいまでに発病します。暗いところで目が見えなくなる夜盲症から始まり、発症してから2~4年で失明してしまう怖い病気です。
予防や完治が望めない進行性の疾患ですが、少しでも進行を遅らせるためには、早期に発見して内科的治療を始める必要があります。
耳介辺縁皮膚症(じかいへんえんひふしょう)
ミニチュアピンシャーのように耳の大きい犬種に多く見られる病気で、耳の先端まで十分な血液が流れないことにより起こる病気です。ひどくなると耳が壊死してしまうこともあります。
耳の血行をよくしてやること以外に予防法はありません。冬の寒い時期の外出にはスヌードを着けたり、フードを被せたりするといいでしょう。
平均寿命
ミニチュアピンシャーの寿命は12〜16歳で、比較的丈夫で長生きだといわれています。
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ミニチュアピンシャーはとってもアクティブな犬種!
小型でスマートなミニチュアピンシャーは、今では愛玩犬として人気の高い犬種ですが、もともとは番犬や小害獣を捕獲するための使役犬でした。
そのため俊敏で運動能力も高く、どんな相手にでも向かっていく気の強さを持っていますが、飼い主には忠実で家族に対しては愛情深く従順です。
ミニチュアピンシャーは、体を使って遊んだり走ったりすることが大好きな犬種なので、愛犬とアクティブに行動したい人にとっては最高の相棒になってくれるでしょう。
この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!