犬の尻尾の役割は?尻尾で分かる気持ちや尻尾を追いかける原因とは
言葉が話せない愛犬の気持ちを知りたいと思う飼い主は多いのではないでしょうか?
犬の感情が表れる場所といえば「尻尾」と応える方が多いかと思います。
また、尻尾といえば愛犬が自分の尻尾を追いかける姿を見たことがある方もいるでしょう。
遊んでいると思われがちですが、実は見逃してはいけない愛犬からのサインであることも。
この記事ではそんな不思議な「犬の尻尾」について詳しく解説します。
犬の尻尾の役割
犬の尻尾には大きく3つの役割があります。
- 感情を表現する
- 全身のバランスをとる
- 体温を維持する
1.感情表現
尻尾の役割として一番知られているのがこの感情表現です。
犬が喜んでいるときに尻尾をぶんぶん振る姿は簡単に想像できますよね。
実は犬は喜び以外の感情も尻尾で表現しています。
尻尾の振り方の強さや速さ、位置によってそのときの感情は異なります。
2.バランスをとる
犬の尻尾は体のバランスをとるという、とても大事な役割も担っています。
全力で走っているときや、急に曲がるとき、泳いでいるときなどに尻尾を上下左右に動かしバランスをとっています。
3.体温維持
寒い時期に犬はどんな姿で寝ていますか?
尻尾まで丸くなって、体をぎゅっと縮めている姿を想像する方も多いのではないでしょうか。
そんなとき犬の尻尾は鼻を押さえ、冷たい空気を吸わないようにして体温が下がらないようにしています。
このように犬の尻尾には感情表現以外にもいろいろな役割があります。
ではその役割を一つずつ詳しく見ていきましょう。
尻尾の状態からわかる犬の気持ち
犬が尻尾で感情表現をする場合は、「嬉しい」以外にもさまざまな感情があります。
よく見かける「尻尾でわかる犬の気持ち」を5つ紹介します。
1.尻尾を激しく振る
嬉しくて興奮しているときに尻尾を激しく振ります。
飼い主が家に帰ってきたときや、餌の時間、仲の良いほかの犬に会ったときは、よくこの振り方をします。
びっくりするほど激しく尻尾を振る姿はとても愛らしいですよね。
2.尻尾を足の間に入れる
恐怖を感じたときは尻尾を下げ、足の間に入れてしまいます。
姿勢を低くし、動かない場合は攻撃するか迷っている場合もあるので、早くその場を離れる、抱っこするなどで愛犬を安心させてあげましょう。
震えている場合は体に痛みを感じていることもあるため、傷や炎症がないか、体をしっかりと観察しましょう。
3.尻尾をだらんと下げる
この場合も恐怖や不安、ストレスを感じています。
周りに犬が怖がっているものがないか観察しましょう。
4.尻尾を立てたまま左右に振る
挨拶をしているときや何かに興味を持っているときに、尻尾を立てたまま左右に振ります。
その状態で吠えている場合は、興奮していたり警戒していたりすることが多いようです。
知らない人が家に来た場合にこのような反応をすることがあります。
5.尻尾をぴんと立てる
何かに集中しているときや、攻撃しようとしているとき、遊びに誘っているときなどに尻尾をぴんと立てます。
散歩中にほかの動物を見かけたときに尻尾をぴんと立て、集中・警戒している姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
尻尾の左右の動かし方で感情がわかる?
先ほど5つの感情を紹介しましたが、一つひとつ覚えるのは大変ですよね。
感情によって尻尾の動かし方はいくつかのパターンに分かれるため、このパターンだけでも覚えていると犬の感情が想像しやすくなります。
1.尻尾が右寄りになっている/右寄りに振っている
犬を後ろから見て尻尾が右寄りなときは、喜んでいるといったポジティブな感情の場合が多いです。
2.尻尾が左寄りになっている/左寄りに振っている
反対に左寄りの場合は不安なときや怖がっているときなど、ネガティブな感情の場合が多いです。
尻尾を左右に振っているからといって喜んでいるとは限らないので、左右のどちらに寄っているかも観察してみましょう。
3.尻尾が上がっている
自信があるときやテンションが上がっていると犬の尻尾は上がります。
尻尾を上げて右寄りにぶんぶん振っていると嬉しい、左寄りに振っていると警戒したり怒っていたりするかもしれません。
4.尻尾が下がっている
反対に尻尾が下がるのは落ち着いているときや不安なときです。
尻尾を下げて右寄りに振っているとリラックス、左寄りだと何か落ち着かない気持ちになっているのでしょう。
病院が苦手な犬は病院が近づくと尻尾が下がってしまうこともあります。
このように犬の尻尾の動かし方を観察すると様々な感情が読み取れます。
また、尻尾を上記のように振ったり、ピンと立てたりする以外にも、自分の尻尾を追いかけて遊んでいる姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
思わず「かわいい」と思ってしまう光景ですが、実は病気のサインであることも。
次は犬が尻尾を追いかける理由を紹介します。
なぜ犬は自分の尻尾を追いかけ回すのか
犬が自分の尻尾を追いかけるのは、子犬の場合は遊びの一種として考えられます。
しかし、成長した後も続くようであれば、ストレスや病気を疑いましょう。
犬が自分の尻尾を追いかける原因は大きく分けるとこの3つです。
- 遊んでいる
- ストレスを感じている
- 病気にかかっている
1.遊んでいる
特に子犬の頃によく見られます。
尻尾を動くおもちゃに見立てて遊んでいる場合や、飼い主の気を引きたいときに尻尾を追いかけることが多いようです。
とても可愛い光景ですが、もし5分以上追いかけ続けたり、飼い主が止めても追いかけ続けたりする場合は要注意です。
しっぽを噛んで出血している場合は、ストレスや病気の可能性もあるため、原因について考えましょう。
2.ストレスを感じている
ストレス発散のために尻尾を追いかけ、激しく動き回る場合もあります。
エスカレートすると尻尾を噛んで、自分自身を傷つけてしまう可能性もあるため、ストレスの原因を取り除く必要があります。
ストレスの原因には心理的なものと、身体的なものがあります。
心理的ストレスの原因は以下のようなことが考えられるため、心当たりがない場合は病気の可能性も疑ってみましょう。
- スキンシップ不足
- 引っ越しによる飼育環境の変化
- 多頭飼いの場合の犬同士の相性
3.病気
病気が原因で尻尾を追いかけまわしている場合、以下のような病気の可能性があります。
- 皮膚炎
- てんかん
- 認知症
皮膚炎は見た目で炎症や傷ができているため発見しやすいですが、それ以外のてんかんや認知症はほかの症状や、犬の年齢なども併せて考える必要があります。
自分の尻尾を追いかけ回さないようにする方法
犬が尻尾を追いかけまわす原因のうち、ストレスと病気は対策が必要です。
それぞれの原因への対策を紹介します。
1.心理的ストレスへの対策
心理的ストレスが原因の場合は、スキンシップの時間を増やしたり、おもちゃで遊んであげる、犬用ガムを噛ませてあげるなどで犬のストレスを解消してあげましょう。
引っ越しによる生活環境の変化が原因の場合は、引っ越し前から愛用している毛布やおもちゃなどを新しい環境に慣れるまで使い続け、一気に環境を全て変えないように気をつけましょう。
多頭飼いによるストレスが原因の場合は、いきなり同じスペースで生活させるのではなく、少しずつ一緒に過ごす時間を増やしていくことが重要です。
このように環境の変化によるストレスは「少しずつ慣れさせていく」ことがポイントとなります。
2.身体的ストレスへの対策
飼育環境が合っていない、運動量が適切でない場合は、犬が身体的ストレスを感じている可能性があります。
飼育環境が犬に合っているか不安な場合は、まずは犬が安心して過ごせる場所があるか確認しましょう。
犬はもともと巣穴で生活していた動物なので、静かで暗く、狭い場所を好む習性があります。
キャリーバッグのような中が暗くなるようなスペースを用意してあげると良いでしょう。
適切な運動量は犬種や犬の年齢によって変わります。
運動が好きな犬は散歩だけでは物足りない可能性もあるため、たまにドッグランで走らせて、ストレスを発散させてあげましょう。
また、散歩に行こうとするとリードを着けたがらない場合は、散歩がストレスの原因になっている場合もあります。
人通りや交通量が多い道を散歩コースにしている場合は、犬がリラックスできるような公園や静かな道などに散歩コースを変更してみましょう。
3.病気への対策
病気が原因の場合は、一番わかりやすいのが皮膚炎です。
まずはお尻や尻尾に傷や湿疹などができていないか確認しましょう。
皮膚炎になっている場合、放置するとかゆみを感じて犬が炎症部分を噛んでしまい、余計に悪化する可能性があるため、早めに動物病院に連れていきましょう。
目立った傷がない場合でも、犬が座ったままお尻を引きずって前進する行動をとる場合は、肛門嚢(肛門の左右にある肛門腺が袋状になっているもの)が詰まっていて、痒がっている可能性が考えられます。
その場合はペットサロンや動物病院で肛門腺絞りをしてもらうと良いでしょう。
犬が急に意識を失ったり、痙攣したりする場合は、てんかんを患っていると考えられます。
意識喪失等の症状以外にも、尻尾を追いかける症状もあるからです。
てんかんの症状により、犬が尻尾に追いかけられている錯覚を起こすといわれているため、尻尾を追いかけまわしてしまうと考えられます。
老犬が尻尾を追いかけるようにくるくると歩き回る場合は、認知症を発症している可能性が高いでしょう。
そのほかにも、壁があっても進もうとしたり、狭い場所に入って出られなくなったりする場合も認知症の症状です。
このような場合は認知症が疑われる行動をスマートフォンに録画しておき、動物病院を受診しましょう。
まとめ
犬の尻尾には感情表現以外にもいろいろな役割がある、大事な部分だということがわかったのではないでしょうか。
尻尾をいつまでも追いかけまわしている場合には注意が必要です。
言葉が話せない犬だからこそ、尻尾や表情、行動で飼い主に自分の状態を常に伝えています。
そんな犬としっかりとコミュニケーションをとることで、気持ちや健康状態を理解し、犬の要求にきちんと応えてあげましょう。
その積み重ねが犬との信頼関係を築き上げ、愛犬との生活をより幸せなものにしてくれるはずです。
この記事のライター
momo
動物に関わる仕事がしたいと思い、トリマーを目指して勉強中です。犬にまつわる疑問などについて発信していきます。
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