犬のそのしぐさ、実はストレスサイン?ストレスの原因や解消法を解説
犬は敏感で神経質な生き物です。
人間と犬とでは感覚が全く違うため、同じシチュエーションでも感じ方が全く異なります。
犬はストレスを感じると飼い主にサインを送っていますが、飼い主がそれに気づくことができずに放っておくと、ストレスが蓄積し、病気を引き起こしてしまう可能性もあります。
本記事では、犬と飼い主が良好な関係を築くために、繊細な犬が日常で感じているストレスを見つける方法、ストレスの原因や解消法についてご紹介します。
犬のストレスサイン
犬のストレスサインは数多くあります。
ここでは、ストレスサインを軽度・中度・重度の3種類に分けました。
愛犬にこれらのサインが現れていないか、ぜひチェックしてみてください。
軽度のストレスサイン
犬が軽度のストレスを感じているとき、以下の行動がみられます。
- しっぽを下げる
- 耳が寝る
- あくびをする
- 目をそらす
- 体をかく
- 舌なめずりをする
- 足を舐める
- 床のにおいをかぐ
これらの行動は日常的にも行われる一方で、軽度のストレスサインかもしれません。
飼い主が気づきにくいしぐさではあるものの、だからこそ愛犬の様子を日常から気にかけることが大切です。
日ごろの様子から、愛犬がストレスを感じているのか、日々のルーティンなのかを判断しましょう。
判断の基準となるのは、「行動の頻度」です。
例えば、餌を与えてもしっぽが下がっていたり、いつも以上に舌なめずりをしたりする場合は軽度のストレスを感じている可能性があります。
そのほかにも、飼い主だからこそわかる普段とのしぐさの違いを読み取ることも重要です。
軽度のストレスであっても積み重なることによって、犬にとっては大きなストレスとなり、心に大きなダメージを受けることに繋がります。
軽度のストレスサインについては、「行動の頻度」に着目して日頃から注意深くチェックしておきましょう。
中度のストレスサイン
犬が中度のストレスを感じているとき、以下の行動がみられます。
- うなる
- 震える
- 吠える
- 噛む
- 逃げる
- 呼吸が早い
ストレスが日常的に増えると、ストレスサインも激しくなります。
しっぽを下げるような軽度のストレスサインと比べると、上記の行動はいずれも飼い主が気づきやすいしぐさです。
ストレスがこのレベルになった場合、放っておくとドアを引っ掻いたり、おもちゃを乱暴に扱ったり問題行動を起こす可能性があります。
問題行動が起きると原因や解決方法がわからずに、改善することが難しくなるケースも少なくありません。
そうなることを未然に防ぐためにも、上記の行動がみられたら、早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
重度のストレスサイン
犬が重度のストレスを感じているとき、以下の行動がみられます。
- 軽・中度のストレスサインを繰り返す
- 出血するほど自身の尻尾を噛む
- 皮膚炎を起こすほど体を舐め続ける
- よだれを流し続ける
- 吠え続ける
- いろいろな場所で粗相する
- 食欲不振
- 下痢
- 嘔吐
- 血尿
- 激しい脱毛
軽度のストレスサインに気づくことができず、中度のストレスサインを放置することが重度につながります。
これらの行動がみられた場合は、重度のストレスを感じている状態なので、すぐに動物病院を受診しましょう。
また、犬は極度のストレス状態になると、問題行動を起こすだけでなく重度の病気につながりかねません。
愛犬を病気から守るためにも、一刻も早くかかりつけの病院でみてもらいましょう。
犬のストレスの原因とは
犬のストレスの原因には、大きく分けて心理的原因と身体的原因の2つがあります。
犬は敏感な体質であり、人間にとってはなんでもないことも、犬にとってはストレスに感じてしまうことがあります。
特に心理的ストレスに関しては、人間が理解してあげられないことが多いため、意識して改善しましょう。
心理的ストレス
犬が受けている心理的ストレスには、以下のようなものがあります。
引っ越し
人間にとってもストレスになる引っ越しは、犬にとっても同様の影響をもたらします。
引っ越しで住む家が変わることによって一気に環境が変わると、馴染みのない環境に不安や緊張を感じ、犬もストレスを感じるのです。
犬によっては、散歩のコースが変わるだけでもストレスになることがあります。
特に、気候が全く違う場所への引っ越しや家族構成が変わる引っ越しはよりストレスを感じやすいため、配慮が必要です。
家族の増加
飼い主の愛情が自分以外のほかの何かに向いたとき、犬は不安からストレスを感じます。
例えば、飼い主に配偶者ができたり、新しい子どもが増えたり、別のペットを飼い始めたりといったことが挙げられます。
スキンシップの時間が減ると、自分のことを愛してもらえなくなったと錯覚し、ストレスになるのです。
そのストレスが原因でペット同士で喧嘩をしたり、子どもに噛み付いたりする危険性があるので、注意が必要です。
ヤキモチを妬かないように、これまでどおり接することを意識しましょう。
家族の不仲
飼い主同士の喧嘩が原因で犬に餌を与えなかったり、愛情を注がれなくなったりすると、犬は心理的ストレスを感じます。
また、愛犬には直接関係なくても、家族の仲が悪いと家族間のストレスもしっかり感じとってしまいます。
犬によっては、飼い主同士の喧嘩を止めようとすることもあるでしょう。
余計なストレスを与えないためにも、愛犬の前ではなるべく喧嘩をしないようにすることが大切です。
お留守番時間の増加
犬はそもそも集団で行動する生き物であり、一人になることに本能的にストレスを感じます。
そのため、お留守番の寂しさから「分離不安」を起こしてしまうことがあります。
分離不安とは、寂しさや不安から過剰に吠えたり、家具を壊したり、トイレでない場所で排泄をしたりといった問題行動を起こしてしまうことです。
愛犬にとって留守番が苦手な場合は、長時間一人にするのは避けましょう。
身体的ストレス
犬が受けている身体的ストレスには、以下のようなものがあります。
飼育環境
犬は、最大で人の約1億倍の嗅覚をもつといわれます。
眠いときに犬の鼻が乾いているのは、心地よく寝るためににおいを遮断する必要があるからです。
愛犬のベッド付近に芳香剤や香水などの香りの強いものを置かないほうが、犬は快適に過ごせます。
運動不足
犬も人間と同様に、運動不足によるストレスを感じます。
特に運動が好きな犬は、飼い主の都合で急に散歩やドッグランに行けなくなると、家の中で走り回ったり、ドアに噛み付いたりといった問題行動につながることもあります。
不適切な運動量
運動不足とは逆に、散歩が嫌いな犬を無理やり外に連れ出したり、小型犬に大型犬並みの運動をさせたりすることもストレスにつながります。
過度な運動はかえって体にとって負担となるため、愛犬のサイズや年齢、体力に応じた適切な運動をさせることを意識しましょう。
空腹
犬にとって空腹もストレスの原因になります。
犬の体に合わせた適切な量を与えなければ、ストレスを与えるだけではなく、栄養不足になりかねません。
逆に餌を欲しがるからといって与えすぎても肥満の原因となります。
特に、一人暮らしや共働きで日中家にいられない場合は、犬に適量の餌を与えられる環境を整えましょう。
怪我や病気
怪我や病気によっていつもどおり生活することができなくなると、犬はストレスを感じます。
また飼い主がそれらに気づかずに、いつもどおり餌を与えたり、散歩に連れて行ったりすると、症状が悪化してさらにストレスを与えることになります。
犬のストレス解消方法
ストレスの原因について、心理的ストレスと身体的ストレスの2つに分けて解説してきました。
ここからはそれぞれのストレスを解消するためにできる、具体的な「ストレス解消法」について紹介します。
心理的ストレス
まずは心理的ストレスの対処法です。
一人になれるスペースを確保する
犬は集団で行動する生き物であるとはいったものの、犬にだって一人になりたいときはあります。
特に疲労が溜まっている状態では、飼い主からも放っておいてほしいものです。
そんなときのためにも、犬が一人で過ごすことができるスペースを確保しておくことをおすすめします。
新しい家族とは距離をとる
新しい家族が増えることにより、飼い主の愛情が自分以外へ向くと、犬はヤキモチを妬いてしまいます。
そうならないためにも、ヤキモチの対象と少し距離をとったり、部屋を別々にするなどの工夫をしましょう。
慣れさせる場合も、徐々に距離を近づけることが大切です。
スキンシップを増やす
犬は寂しがり屋な生き物です。
少し離れたところから見つめていたり、子犬のような声で泣いたりする場合は、スキンシップ不足で寂しい証拠です。
忙しくてつい愛犬とのスキンシップを怠っていた場合は、マッサージをしてあげたり、おもちゃで遊んであげたりしましょう。
身体的ストレス
次に身体的ストレスの対処法を紹介します。
飼育環境を整える
人間にとって快適な環境も、犬にとってはそうではないかもしれません。
犬は五感が優れているため、芳香剤のにおいやテレビの騒音、エアコンの設定温度が、犬にとってストレスになっている可能性があります。
現状の飼育環境が犬にストレスを与えていないか、一度確認しましょう。
硬いおやつを与える
ストレスや不安を感じるとどこかへ発散したくなるものです。
犬はモノを噛むことでストレス解消になります。
靴や家のドアなどを噛んでいる場合は、代わりに犬用ガムやジャーキーなどを与えましょう。
適度な運動をする
運動や飼い主と遊ぶことは、犬にとって最大のストレス解消法です。
愛犬との時間を確保して思いっきり走り回りましょう。
犬種やサイズによって適切な運動量には違いがあるため、愛犬に合わせた運動をすることを心がけましょう。
ストレスが原因の病気
犬のストレスは分離不安の原因となることを紹介しましたが、ストレスによる病気はほかにもあります。
また、ストレスにより免疫力が低下すると、免疫系、自律神経系、内分泌系などの疾患を引き起こす原因にもなります。
犬のストレスが原因で発症・悪化の一因になる具体的な病気は、以下のとおりです。
- 癌
- 皮膚病
- 膵炎
- 糖尿病
- クッシング症候群
- 胃腸障害
これらはいずれも犬の人生に関わる病気です。
大切な愛犬が深刻な病にかかるのを未然に防ぐためにも、愛犬の様子をしっかりとチェックしてストレスの少ない快適な生活を提供しましょう。
まとめ
本記事では、犬のストレスに関して、ストレスサインとその原因、ストレス解消法について解説しました。
犬のストレスサインを理解し、ストレスの少ない環境や接し方ができるようになると、犬と飼い主の関係性が良好になります。
また、重度のストレスは深刻な病気の原因となるため、良好なスキンシップや適度な運動をすることで愛犬がストレスの少ない、よりよい生活を送れるようにしましょう。
この記事のライター
nana
泳ぎも走りも得意な運動神経抜群のゴールデンレトリバーと暮らしています!今は愛犬とタンデムサーフィンの練習中。いつまでもアクティブに楽しく過ごせるような情報を発信していきます。
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