【獣医師監修】愛犬が発作を起こしたらどうすればいい?併発していたら要注意な症状と代表的な3つの病気
愛犬が発作を起こしたのを目撃した経験はありますか?
元気にしていた愛犬が突然痙攣したり、倒れて意識を失ったりしてしまったら、飼い主さんとしてはとてもびっくりするとともに、心配になりますよね。犬の発作は何が原因で起こるのでしょうか。今回の記事では、犬が発作を起こす原因や考えられる病気、発作が起きたときの対処法についてご紹介します。
目次
犬に発作が見られた場合に考えられる原因は?
犬の発作は、脳内の異常により発作を繰り返す「てんかん」や、心臓病によって起こる「心臓発作」などがあります。
てんかん
犬のてんかんは、原因により「特発性てんかん」と「症候性てんかん」に大きく分類されます。
てんかんのほとんどは特発性てんかんで、検査をしても原因は特定できず、遺伝的な要素が関係していると考えられています。症候性てんかんは脳腫瘍や脳炎、水頭症、交通事故の後遺症などにより二次的にてんかん発作が引き起こされます。
てんかん発作が起こると、痙攣や身体の硬直、よだれ、失禁などが見られます。
心臓発作
犬の死因第2位は心臓病で、10才以上の犬の30%以上が心臓病ともいわれています。犬の心臓病として代表的な病気には「僧帽弁閉鎖不全症」や「心筋症」「フィラリア症」などがあります。
犬が心臓発作を起こすと、力が入らずふらついて倒れる、失神するなどの症状が見られ、突然死してしまうこともあります。
発作を起こしているときに併発していたら要注意な症状
舌の色が紫色になる「チアノーゼ」が見られるときは、酸欠になっていて危険な状態です。チアノーゼは心臓発作のときに見られることがあります。
一日に2回以上発作が起こる、一回の発作が5分以上続くといった場合も注意が必要です。
犬が発作を起こすときに考えられる代表的な病気
犬が発作を起こすときに考えられる病気はさまざまですが、ここでは3つの病気についてご紹介します。
特発性てんかん
犬の発作の中でも特に多く見られる特発性てんかんは、生後6ヶ月~5歳くらいの間で発症し、その多くは2~3歳頃までに発症するといわれています。どの犬種にも起こる可能性はありますが、好発犬種としては、ビーグルやプードル、ミニチュア・ダックスフンド、ゴールデン・レトリバー、シェットランド・シープドッグなどが多いといわれています。
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は高齢の小型犬に多く見られる病気で、中でもキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは若いうちに発症することが知られています。
心臓の左心室と左心房の間にある僧帽弁が変性し、上手く閉じなくなることで血液が逆流してしまいます。
早期のうちは無症状で、定期健診のときに聴診で雑音があることから、病気が発見されることがあります。
脳炎
脳に炎症が起き、痙攣発作や麻痺などの症状が現れます。原因には感染性と非感染性のものがあります。
感染性脳炎はジステンパーウイルスや狂犬病ウイルス、細菌、寄生虫などの感染により引き起こされます。非感染性脳炎には脳にできる腫瘍や、脳実質に炎症や壊死が起こる病気などがあります。
愛犬に発作が見られた際の対処法について
犬が発作を起こしたときに取るべき対処法について、ご紹介します。
失神する場合
心臓病の子が散歩で長距離歩いたり、夢中になって遊ぶと、心臓に負担がかかり失神してしまうことがあります。急に立ち止まるなど、少しでも様子に変化が見られれば抱っこして帰り、安静にしましょう。
意識を失ってしまった場合、舌が喉を塞いでしまうことがあります(舌根沈下)。舌を引っ張り気道を確保しましょう。
心臓病の子は、発作が起きたときの対処法について獣医師に相談しておくと良いでしょう。心臓マッサージの方法や、酸素室のレンタルについて紹介してもらえるかもしれません。
痙攣発作を起こす場合
痙攣発作を起こしている場合、犬の脳は興奮状態にあり、正常な判断ができなくなっています。
まず、高い場所にいたら、落ちないように平地に寝かせるようにしましょう。犬の周囲にぶつかると怪我をするような危険なものがあればどかしてください。首輪、胴輪、服が絡まっていないか確認してください。
発作中は、顔周りに触れようとすると強い力で手を咬まれてしまうことが多いので、手を出してはいけません。抱っこも、犬がバタバタと暴れ、落としてしまうことがあるので危険です。もどかしいですが、発作が終わるまでは見守りましょう。
発作後はなるべく安静にさせてください。発作後に怖がっていないか、飼い主さんや家族を認識できているか、ふらついていないか、攻撃的になっていないか、目はきちんと見えているか、などを確認しましょう。気づいたことがあれば、受診の際に正確に獣医師に伝えてください。
可能であれば発作の様子を動画撮影したり、発作の日時や時間を記録しましょう。発作中に観察するポイントは以下の通りです。
- 発作がどのように始まったか? なにかきっかけに心当たりはあるか?
- 頭部(顔、口元、目、鼻)、口をくちゃくちゃするなどの症状の有無はあったか?
- 四肢はつっぱっていたか? (横倒れになり、固くガクガクしていたか)
- よだれや失禁はあったか?
- 呼びかけに反応したか?(耳は聴こえていたか)
犬が発作を起こしたら、落ち着いて対処しましょう
犬が突然発作を起こすと、飼い主さんは慌ててしまうかもしれません。しかし、犬が発作を起こしたときには、周りの危険なものをどかしたり、犬の意識がなければ呼吸を確認するなどやるべきことがたくさんあります。初めて発作を目の当たりにしたときはなかなか冷静になれないかもしれませんが、発作が起きたら慌てず、適切に対処できるようにしましょう。そして、落ち着いたらすぐに病院に連絡し、受診するようにしてください。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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