【獣医師監修】犬に生卵を食べさせても大丈夫?栄養素や与えるときの注意点など
卵は生のままでも、加熱しても栄養価がほとんど変わらない「完全栄養食材」として知られています。ペット用療法食にも用いられるほど栄養豊富な食材ですが、生卵のまま犬に食べさせても問題はないのでしょうか?
ここでは、犬に生卵を与えても大丈夫なのか、また卵の栄養素やおすすめレシピなどについて解説します。
生卵は犬が食べても大丈夫な食材!
加熱した卵、生のままの卵、いずれの場合も犬が食べることに問題はありません。
生卵には犬の健康維持に役立つ栄養素が多く含まれています。良質なたんぱく源としても優良な食品ですが、そのぶんカロリーも高いので与え過ぎには注意が必要です。
生卵の基本情報
全卵(生)の可食部100g当たりに含まれる成分(文部科学省の食品成分データベースより)
- エネルギー:151kcal
- 水分:76.1g
- たんぱく質:12.3g
- 脂質:10.3g
- 炭水化物:0.3g
- カリウム:130mg
- カルシウム:51mg
- マグネシウム:11mg
- リン:180mg
- 食物繊維:0g
生卵に含まれるうれしい栄養素や成分
生卵には犬の健康維持に役立つさまざまな栄養素が含まれています。どのような栄養素や成分が含まれているのかを見ていきましょう。
ビタミン類
生卵には、ビタミンCを除くほとんどのビタミン類が含有されており、その多くは犬の健康にとって必要不可欠なものばかりです。
【ビタミンA】
抗酸化作用で細胞の働きや再生を活発にしてくれます。免疫力も上がるので、体力が落ち気味の時に特に効果を発揮します。
また、皮膚や被毛の健康維持にも役立つため、犬にとってはなくてはならない栄養素だと言えるでしょう。
【ビタミンD】
ビタミンDは「骨のビタミン」とも言われ、腸管からカルシウムやリンを吸収する手助けをしています。
体内では生成できないビタミンですから、食物から摂取した上で日光に当たることが望ましいでしょう。骨格や筋肉の維持に繋がっている大切な栄養素だと言えるでしょう。
【ビタミンB12】
コバラミンとも言われ、ビタミンの中で唯一、分子の中にミネラルを含んでいます。赤血球の形成に重要な役割を果たし、たんぱく質の合成にも深くかかわっています。
たんぱく質
卵は動物性たんぱく質ですから消化吸収が容易で、犬にとって重要なエネルギー源となるものです。筋肉量の維持や皮膚、被毛の健康維持にも欠かせません。
特に、筋肉量が落ちる傾向にあるシニア犬の場合ほど大切な栄養素となります。
コリン
コリンは、神経細胞や脂肪の代謝の働きに必要なビタミン様栄養素です。
通常は肝臓で合成されますが、作られる量が少ないため、必要な量を卵黄などコリンが多く含まれている食品などで補う必要があります。
犬に生卵を食べさせる際に気をつけること
犬に生卵を与える際に注意するべき点がいくつかあります。これは人間にとっても共通することなのですが、とにかく与えすぎには注意することです。せっかくの栄養素も、過剰摂取になると逆効果になる場合もあります。
アレルギーに注意!
犬の卵アレルギーはそれほど多くありませんが、まったくアレルギーが出ないというわけではありません。
卵を与えたあとに何らかのアレルギーの症状が出たら、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
卵を与えたあとの便の様子に異常が見られないか、皮膚や被毛の状態は変わりないかをよく観察し、痒がる仕草がないかについても、日ごろから気を配っておくことが大切です。
生卵に含まれる注意が必要な栄養素や成分
アビジンの大量摂取はビオチン欠乏症になる恐れがある?
生卵の白身にはアビジンという物質が含まれており、腸内でビオチン(健康な皮膚や被毛を保つために必要な栄養素)と結合してしまいます。
その結果、ビオチン欠乏症を引き起こし、食欲不振、脱毛、皮膚炎などを起こすことがあります。
そのため「犬に生卵は与えてはいけない」といわれることがありますが、ビオチン欠乏症は大量の生卵を継続して与え続けることでおこるもので、生卵を1、2個食べさせたからといってビオチン欠乏症になるわけではありません。
アビジンは白身を加熱することで不活性化することができますので、ビオチン欠乏症に対する不安や心配があるのであれば、ゆで卵にして与えるといいでしょう。
高カロリーで肥満の原因に
卵は栄養素が豊富であると同時に高カロリーな食材でもあります。卵1個で約80kcalもあり、与えすぎは肥満に繋がります。
いつものドライフードの分量を少し減らすか、日にちをあけて与えるようにしましょう。
少し古い卵は生では与えないこと
人間の場合もそうですが、少し古くなった卵は生の状態で与えずに加熱してから与えましょう。
サルモネラ菌など、食中毒の原因となる菌は殺菌処理済みですが、古くなると雑菌が繁殖してくる可能性があります。
卵の加工食品は与えてもいい?
最近では卵を加工した犬用おやつをよく見かけます。卵の加工食品そのものは犬に与えて悪いものではありませんが、おやつに含まれている添加物には十分注意する必要があります。
防腐剤や合成着色料など有害とされるものが使われていることがありますので、卵を用いたおやつを選ぶときは無添加であるものを選ぶようにしましょう。
犬のカルシウム補給に卵の殻を粉末にしたものも売られていますが、卵の殻をミキサーにかけるだけで、自宅でも簡単に作ることができます。
ただし、生の卵の殻はサルモネラ菌の感染などの心配がありますので、よく洗って5分以上ゆでた卵の殻を使いましょう。
生卵の調理法は何がおすすめ?
生卵には豊富な栄養が含まれていて、犬の健康維持にも役立つ食材ですが、生で与えることに多少心配なところもあります。
卵にはいろいろな調理法がありますが、油や調味料を使わないスクランブルエッグやゆで卵なら手間もかからず簡単にできます。また、野菜や肉などと一緒に煮込んでやるのもいいでしょう。ただし、卵に豊富なたんぱく質は熱に弱いので、加熱のしすぎには注意しましょう。
愛犬のための卵を使ったおすすめレシピ!
ネットには卵を使った犬用レシピがたくさん掲載されていますが、その中でも簡単にできて愛犬が喜んで食べてくれるごちそうレシピをいくつかご紹介します。
卵チャーハン
お肉もお魚も使わず栄養豊富な卵だけでつくる、彩りがきれいな卵チャーハン。 油なしで炒りますが、オリーブオイルなどを使ってもOKです。
材料
- 卵全体の1/2
- 野菜(お好みの野菜で可)全体の1/4
- ご飯全体の1/4
作り方
- お好みの野菜(ここではピーマン、ニンジン、キャベツ、乾燥パセリ)を小さく切ります。
- 野菜とごはん、卵を一緒にフライパンに入れ炒り上げます。焦がさないように注意してください。
- お皿に盛り、水を少量かけてできあがり。
ミモザサラダ
いつものドッグフードにトッピングするだけでお洒落なご飯に早変わり! ゆで卵の菜の花のような黄色が可愛いミモザサラダです。
材料(4kg程度の小型犬2頭分)
- ゆで卵1/2個
- じゃがいも約30g
- 豆苗約15g
- プチトマト2個
- ドライパセリ適量
作り方
- 卵1個を固ゆで卵にする。卵の殻をむいて、半分に切る。
- ゆで卵1/2個を黄身と白身にわけ、黄身はフォークで細かくし白身はみじん切りにする。
- じゃがいもは3mm角に切り、やわらかく茹でる。豆苗はやわらかく茹でてからみじん切りにする。
- プチトマトは食べやすい大きさに切る。
- 卵の白身、新じゃが、豆苗をあわせて、さっくり混ぜる。
- いつものカリカリフードに5のサラダ、4のプチトマトをトッピングして、一番上に2の黄身をふわっとかける。
- 仕上げにドライパセリをパラパラとかけたらできあがり。
- トッピングご飯はフード:トッピングが8:2です。愛犬の体調や様子を見て調整してください。
■参考サイト
ケークサレ
野菜嫌いなワンコでも喜んで食べる可愛いカップケーキ! ラップをして冷蔵すれば3日間保存できるのも嬉しいですね。
材料(カップ型4個分)
- かぼちゃ100g
- ブロッコリー適量
- <生地>米粉または薄力粉50g
- ベーキングパウダー2g
- 卵1個
- 豆乳または犬用牛乳15ml
- ごま油またはオリーブオイル10g
- 粉チーズ3〜5g
作り方
- 生地を混ぜ合わせます。
- かぼちゃは皮をむいて小さく角切りにし、600w電子レンジで5分加熱します。ブロッコリーは茹でて小さく細かく切ります。
- 生地に2を入れて混ぜます。
- 型に入れて、180度に予熱したオーブンで25分焼いて、少し冷ませばできあがり。
■参考サイト
栄養豊富な生卵を愛犬のごはんに取り入れてみよう
犬に生卵を与えることの是非についてはさまざまな情報があります。適量の生卵を犬に与えることは、犬の栄養補給には最適だといえます。
ただし、卵は生でも加熱してもほとんど栄養価は変わりませんので、必ずしも生卵でなければならないというわけではありません。
生卵を食べ慣れていない犬や、生で与えるのが不安なときは、ゆで卵や炒り卵にしてあげるといいでしょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!